eラーニングマガジンに関するお問合せ、ご質問等は下記までご連絡ください。
eラーニングマガジン編集部
elmag2@nextet.net |
|
たとえば、プロジェクトで、あるプログラムにバグ(修正すべき不具合)があったとする。この場合、マネージャー(PM)は、以下のように感情に任せて担当者を叱ってしまうことがある。 |
PM: |
なぜ、このようなミスが起こるのか。今後、どうするのか。 |
担当: |
申し訳ありません。以後気をつけます。 |
PM: |
具体的に、何をどういう具合にすれば、再発は防止できるのか、その説明がほしい。 |
担当: |
それは…… |
PM: |
さあ、どうするのか? |
担当: |
…… |
|
このように、詰問していくと、担当者はどういう心理状態になるのか考えてみてほしい。多くの場合、PMに二度と不具合を報告したくなくなる。つまり、不具合を隠すか、常に自分で解決しようと常に強く意識するようになるのである。
本来、PMは担当者よりも、知識も経験も上の人間が担当する。だから、問題を解決する能力も高いはずである。だからこそ、担当者の上にPMがいて、問題を早期に把握して解決できるようにするのである。
しかし、先ほどの会話はどうか。これは、担当から、PMに情報があがらないように動機付けしてしまっている。つまり、負の動機付けがなされているのである。
これは、モチベーションコントロール(動機付けの制御)としては、もっともやってはいけないことであることを理解してほしい。本来、プロジェクトにおいては、メンバに正の動機付けを行い、元気を出してもらうことが必要だし、情報は何でも、すばやくPMにあがるようにしなくてはならない。
しかし、そうはなっていないのである。これが、言葉の恐ろしいところである。では、どんな会話をすればよいのであろうか。
大事なことは、「起こってしまったことは事実であり、どんなに怒っても、問題が起こる前に復旧できない」ということである。
だったら、1.「再発しないこと」、2.「今後、不具合が起こっても、情報がすぐPMにあがること」、3.「メンバのやる気を削がないこと」の3つを担保するような会話をすることである。これを目的に会話をしていけばよい。 |
PM: |
俺が見ていながら申し訳なかった。なぜ、このようなミスが起こるのか。今後、どうするのか考えよう。 |
担当: |
申し訳ありません。以後気をつけます。 |
PM: |
君だけの責任ではないよ。大事なのは、今後だね。具体的に、何をどういう具合にすれば、再発は防止できるのか、君の意見が聞きたい。教えてほしい。 |
担当: |
それは…… |
PM: |
この事象は、他のケースと違うことはなかった? |
担当: |
そういえば…… |
|
大事なのは、個人を必要以上に責めないということと、PMが自分の責任を認めることである。メンバのミスをPMが自分のミスとしないと、メンバは安心して仕事に打ち込めなくなる。悪い情報をあげず、失敗を恐れ、ダイナミックな仕事ができなくなるのである。
こんなことが、不満足につながり、組織を崩壊に導くので注意してほしい。
次回も、「満足」に関する話をする。 |
|
|
|
|