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ビジネスカウンセリング協会(BCA)会長、そったく塾代表
岡本 英二(
プロフィール
)
企業が従業員の心のケアをトータルに支援すれば、総合的な生産性が上がり、売り上げや、利益率の向上が現実化します。そこで、前回、eラーニングマガジン編集部(以下、編集部)は、『EAP』(従業員支援プログラム)について、心理カウンセラーの岡本英二氏に解説していただきました。今回は、EAPの事例を具体的に教えていただきます。
編集部
:
岡本様が関わったEAPの事例を教えていただけますでしょうか。
岡本英二氏
:
そうですね。最近の事例では、東京のIT系企業で、全従業員(80名前後)がEAPを受け、EAPの最大の特長である「予防」が、非常に機能してきていると感じています。
編集部
:
前回ご解説いただいた内容ですね。企業にとってEAPは「経費」ではなく「投資」であると。「急増している『うつ病』を例にあげると、『うつ病になってからカウンセリングを受ける』のではなく、『うつ病にならないために、カウンセリングを受ける』」――まさに「予防」ですね。
岡本英二氏
:
その企業では、社長のご理解もあり、積極的に「EAPをやろう!」という姿勢なので、従業員もカウンセリングを楽しく受けてもらっています。そのためか、従業員が元気に気持ちよく働いているようで、従業員間のコミュニケーションも非常に活性化していると聞いています。そして、コミュニケーションの活性化により、「心の病気」による生産性の低下などを防ぐのに効果がでてきています。
編集部
:
それは素晴らしいですね。ところで、EAPはアメリカでかなり導入が進んでいるとうかがっていますが。
岡本英二氏
:
はい。アメリカのカウンセリング協会などのホームページを見ていますと、アメリカの企業のほとんどが、なんらかのかたちでEAPを導入・運用しているといわれています。
編集部
:
日本ではいかがでしょうか。
岡本英二氏
:
残念ながら、日本での導入は遅れています。また、アメリカとは効果測定の尺度が違うと考えられるので一概に比較できないのですが、アメリカでは定点的、定期的にEAP導入の効果が長年調査されています。
編集部
:
FORTUNE誌のトップ500企業の約95%の企業はEAPを導入しているようですね。
岡本英二氏
:
そのようですね。有名どころでいうと、ゼネラルモーターズ社では、欠勤が 40%程度減少したり、社員からのクレームがなんと50%以上減少したと報告されています。
特に欠勤率の減少はポイントです。欠勤はなんらかの不具合が起こっている兆候、サインとみなすことができます。これを約4割減少させているというのはよほど上手にEAPを活用しているのでしょう。
編集部
:
それは、素晴らしいですね。ところで、ほかにEAPを導入したことによるメリットはありますか。
岡本英二氏
:
最近では個人情報などの企業機密流出のリスクマネジメントにも効果があるのではと期待しています。例えば、何らかの問題があって、やむなくリストラする従業員に対してカウンセリングを行うと、共感し理解しあうことができ、その従業員自身の怒りや恨みなどのマイナスの気持ちがかなり軽減します。実は、企業の情報流出は、そのほとんどが内部からのもので、報われない気持ちを持つ従業員が会社にこのようなかたちで復讐することで、うさをはらしたいと思うからだと思われます。つまり、EAPを活用して円満退社をしていただくことで、法廷で争うなど、最悪の事態に陥いらないように「予防」をするということですね。
編集部
:
なるほど。ところで、EAPを導入する場合、企業ごとにオーダーメイド、カスタマイズすることになるということですが、具体的にどのように行っていくのでしょうか。企画から運用までの流れを具体的に教えていただけますか。
岡本英二氏
:
第一に体制としては、カウンセラーを外部に委託するか、内部に専属のカウンセラーを置くのかを考えます。両方併用も出来ますが費用に負担が出るので、私は社内で「ミニカウンセラー」を養成するのを奨めています。具体的には、2年〜3年計画で管理職に対して、メンタルヘルスの教育を行い、メンタルヘルスのリーダを養成します。これは、企業のコストが低く抑えられますし、従業員に問題があった場合、気づくのが早くなり、すぐに手助けすることができるからです。もちろん、私たちプロのカウンセラーが「ミニカウンセラー」をサポートします。
編集部
:
なるほど。社内にカウンセラーがいれば察知も早いですね。
岡本英二氏
:
はい。同時に、アンケートやヒアリングを行い、あらゆる角度から企業の診断を実施します。企業が抱えている問題は、コミュニケーションが非常に悪い、評価システムが非常に曖昧である、仕事の内容が不公平であるなど千差万別です。それをチェックしていきます。待遇面だけではなく、どの部署で働いている人がストレスが溜まっているか、カウンセラーが感じ取りチェックします。それから、何人のカウンセラーが必要か検討してもらい、何か問題が合ったときの連絡方法を決めて、従業員に周知します。そうするだけでも、上司と部下のコミュニケーションがよくなります。
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