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eラーニングマガジン編集部
elmag2@nextet.net
編集部
:
そうですね。会社の状態が浮き彫りになり、相談相手も自然と増えそうですね。
岡本英二氏
:
はい。コミュニケーションはそれだけでもとても効果があります。
編集部
:
しかし、日本のEAPで難しいなと思うのは、それぞれのプライベートの部分をどこまで知ればいいのかというところだと聞いたことがあります。例えば、自分の部下の業績がみるみる落ちている。なんとか聞き出してみると、実は家庭の事情で、お子さんが最近難病に犯されてしまったので仕事に集中できないなどです。
岡本英二氏
:
業績が落ち始めたころにプライベートであっても何か手が打てたのではないでしょうか。企業の方、特に管理責任のある上司には、普段から部下のことを良くみて観察するということを伝えています。身近な人ほどよく気づけるじゃないですか。そういう中で「おはよう」とか「元気ないな」という声がけをしていくという、そういう毎日の積み重ねでより深い信頼関係を自然と醸成させることに注力させます。そこの中で普段世間話をしますよね。例えば、この連休はどこか遊びに行くのとか聞いたりすると、ある程度プライベートな情報が自然と入るようになっていきます。それをしっかり記憶にとどめておき、具体的な内容は知らなくても、プライベートのことに対して上司は気を配れるようにと指導しています。
編集部
:
仮に、上司が「これはやばいな」と思った場合、EAPのプログラムに従うとどういったフローになるのでしょうか。
岡本英二氏
:
直接、本人から担当のカウンセラーにカウンセリングの申し込みをしてもらうのもOK。上司から部下を受けさせたいと予約をもらって、部下にきてもらうのもOK。もしくは私自身が出向いていくということもやっています。私の場合だけかもしれませんが、ケースバイケースで千差万別な対応ができるように心がけています。
編集部
:
一般のカウンセリングとEAPを導入した企業のカウンセリングに違いはありますか。
岡本英二氏
:
一般のカウンセリングは時間をかけてゆっくりと支援をしていくということができるのですが、企業のカウンセリングは短期間でのカウンセリングが基本となります。それに関しては早期の現状把握というのがあります。時間をあまりかけすぎると企業の損失につながるおそれがありますので。しかし、その人の秘密がもれないように短期間で現状把握をするというのは非常に困難ですね。そして、早めに現状を把握したうえで、本人をどう支援していくか考えます。
また、単に「会社を辞めなさい」とはいえないので、その人が生活をしながら、どうやって仕事をしていくのか、というのを一緒に考える。たいていの方は、安易に「休みなさい、休みなさい」というんですね。しかし、例えば、医者が休業の診断書と薬を出すからといっても、もちろん「休むと給料がもらえないし、それで出世が遅れてしまうほうが心配だ」という人もいますし、「家建てちゃったしね」と言う人もいますから……。EAPでは、非常時での経済面も考慮して、企業がバックアップ的に考える必要があります。そこのところをトップや上司がよく理解してあげないといけませんね。「休みなさい」という言葉には、それなりの責任が伴うのです。
編集部
:
企業が従業員を支援する、バックアップするという考え方は安易なものではないようですね。
岡本英二氏
:
そうですね。理解のない人は「休むような奴は根性がない」とかいいますから。しかし、いずれにしても企業のトップがきちんとEAPを理解し運用するのであれば、企業がお金を出して、カウンセラーが問題の発見から回復までの窓口をこなし様子を見るということになります。あまりにも酷いようであれば、適切な医者に通って薬と共に治したりとか、病院を紹介するとか、弁護士をつれてきて解決を図るとか、あっちいったり、こっちいったりする番頭さんとかホテルのコンシェルジュのような、そういう役割になっていますね。ケースに応じて的確に判断して支援のマネジメントすることが重要になってきます。
編集部
:
そこまでいってしまうと本当に大変ですね。前回もお伺いしましたが、やはり「どうやって予防していくか」というのが、EAPの視点なんですね。
岡本英二氏
:
そうですね。非常に状態が悪くなってからだと、その時点ですでに非常に生産性が落ちています。そうならないようにみんなの気持ちを心地よく、健康的に楽しく働いてもらえるように支援することが大切です。それが生産性を向上させ、企業の成長、収益性につながっていくということはアメリカでは実証されていますから。全ては「予防」につきますよね。カウンセラーというのは、まだまだあなたには自分の力があります、まだまだ大丈夫です、みんな悩みはあるんだから、まだまだ頑張れますよというところで、良くしていこうとします。
編集部
:
「頑張れ」という言葉はあまり使ってはいけないと聞いたことがありますが。
岡本英二氏
:
それは、主に鬱にかかっている人に対してですね。鬱には頑張れというのは駄目ですね。鬱になりながらも仕事をこなしている人は、すでに限界まで頑張っていますから……。これ以上頑張れというのはとても酷に聞こえることでしょう。
つづく
■岡本 英二氏プロフィール
昭和37生まれ。ビジネスカウンセリング協会(BCA)会長、そったく塾代表。歯科医院、不動産会社、保険会社、流通、開発、通信、コンサルタントなどさまざまな仕事を経てプロカウンセラーになる。幅広く豊富な経験を生かし、「カウンセリング」と「体験ワーク」を上手く取り入れた企業研修が好評。日本企業に合った従業員支援を提唱し、総合的な生産性の向上をサポートする。経営者や社員の心の病を治すだけでなく、予防医学の見地に立ったリスクマネジメント的な効果を狙った研修も注目を浴びている。とくにIT業界やセールス、接客、サービスや現場でのコミュニケーションを必要とする業種での人気が高い。同時にビジネスカウンセリング協会を通し、さまざまな癒しを企業に提供している。また、主婦などを中心とした女性向、個人向けセミナーも積極的に行っている。【研修実績】松山大学/高知大学/ダイキ株式会社/JPSA(日本パーソナルコンピューターソフトウェア協会)/株式会社クイック/ニスコム株式会社/東京応化工業株式会社/マイウェイ技研株式会社/日興コーディアル証券株式会社/久光製薬株式会社/テプコワーク&キャリアスクール/その他
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