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特集4:企業内教育の現状と課題・調査報告 後編
HRD部門での教育研修の運営と改善の取り組み実態を明らかにすることを目的に、人材開発協会の「教育プログラム改善・最適化研究会」が2004年7月に調査紙による調査を実施した。調査対象者は従業員500人以上の民間企業のHRD担当者と、ネクストエデュケーションシンク(株)主催インストラクショナル・デザインセミナー参加者の合計1000事業所担当者。1000通の調査紙の送付で79社の82事業所から回答を得た。

>> 前編はこちら

 

■ 日本企業の人材育成方針の特徴
1)人材育成方針で用いられるキーワード
 人材育成方針が組織として設定されているという回答者の中から、人材育成方針のキーワードについて自由に記入を促したところ、以下の項目が使用されていた。

図:キーワード
 
■ 教育効果測定の実態
1)プログラム変更・改善に影響を与える要素

□ 影響項目ベスト3は「経営幹部の評価や意見」「参加者の評判や意見」「HRD部門スタッフの意見」

  変更や改善に影響を与える項目は、「その他」の項目を除外して考えた場合、「経営幹部の評価や意見」(平均値4.16)、「参加者の評判や意見」(平均値4.11)、「HRD部門スタッフの意見」(平均値4.10)がベスト3を占め、ワースト3(影響されない)は「参加者以外の社員からの評判や意見」(平均値2.59)、「トレーニング団体の社会的評価」(平均値3.00)、「導入他社での評価」(平均値3.11)であった。

グラフ:プログラム変更・改善の活用データ
グラフ:プログラム変更・改善の活用データ
出展:人材開発協会 教育プログラム改善・最適化研究会著
『「教育研修の運営と改善の取組み」実態調査報告書 2004年9月』
(有限責任中間法人 人材開発協会)
※ 以下掲載のグラフはすべて上記報告書より引用

 ただ、ここで次のような疑問が生じる。前編の「教育実施結果の活動報告」で述べたように、今回の調査では、HRD部門以外への積極的な報告活動が見られなかった。それにもかかわらず、「経営幹部」「参加者」からの評価がプログラム改善に大きく影響しているという現象は何を意味するのだろうか。特に、十分な結果報告(情報)がないまま経営幹部は、何を根拠にプログラム変更を指示し、何を根拠にHRD部門は指示を受け入れ、修正を加えているのだろうか。

  教育効果の有無、社内手続きや基準に則り、合理的な変更が行なわれるのではなく、組織のパワーバランスによって修正がなされている実態が表れたといえそうだ。
2)影響項目のランキング

□ 影響度も「参加者の評判や意見」「経営幹部の評価や意見」「HRDスタッフの意見」が高い

  影響度第1位と回答された上位項目は「参加者の評判や意見」「経営幹部の評価や意見」「HRDスタッフの意見」。第2位での上位項目は「参加者上司の評判や意見」「経営幹部の評価や意見」「参加者の評判や意見」「担当講師の実施感想や所感」。第3位の上位項目は「参加者の評判や意見」「HRDスタッフの意見」「参加者上司の評判や意見」「担当講師の実施感想や所感」「経営幹部の評価や意見」。また第4位の上位項目は「担当講師の実施感想や所感」「HRDスタッフの意見」であり、1位から4位に選ばれた影響項目は、ほぼ同じものが並んだ。優先順位5位になって初めて、「コストの多寡」が上位に選択された。前述1)の影響項目の重要度を裏付ける結果となった。

グラフ:影響度ランキング
グラフ:影響度ランキング
(数値=回答数)
 
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