この事例のB氏はあまりにも問題がある人物だと思われるかもしれないが、程度の差はあるものの“管理者には多かれ少なかれ不適切な行動がある”というのが筆者の実感である。つまり、管理者の能力不足がプロジェクトを崩すが、本人にはその自覚がない。これは非常に危険なことだと思う。管理者に起用される人材は成功体験も多く、押しが強く失敗を嫌う傾向が強い。したがって、“自分の非は認めなくない”という強い意識がある。このため、自分が悪くないのなら“他人が悪い”と思い込む。その他人とは、管理者からみて弱い立場の部下に向かってしまう。部下は面と向かって上司が悪いといえないので、ますます部下を責め、部下のモラールを低下させてしまうのである。
当然、すべての管理者がこのような稚拙な行動をとることはないが、注意しないと誰でもこのような行動をとってしまい、プロジェクトを失敗させるリスクがあるといえよう。
では、これを避けるためにどうすればよいか。それは“管理者は常に自分の能力を疑う”ということだ。管理者は常に自分のヒューマン・マネジメントスキルのレベルを自覚し、うまく他人をコントロールしなければならないというのが筆者の自論である。では、どのようなことに気をつければよいのか、次回以降はこれらについて紹介したい。
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