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欧米はいま、これまでの経営姿勢やシステムや資本主義自体にも疑問の目を向け、動揺が見られる。このような状況にあって、わが国が独自の経営システムを創り出すことはきわめて意義のあることだと思う。もはや一般論の盲目的追従や、評論家のあるべき論に盲従することはやめ、自社としてどうすべきかを戦略としてとらえる姿勢が求められる。
人事戦略ではなく、「戦略的人事」が必要である。戦略とは、目先の状況にとらわれることなく、これまで当然のこととして疑問を感じなかったことにも問題を設定し、目標を定め、それを実現するために、最も効果的な方法論を打ち出すことだ。どうありたいかをまず明確にして、そこに至る道を考えねばならない。それには、確かな状況分析と方法論についての調査や研究が必要となる。
一般論だが、人事部において、これまであまり戦略的に考える伝統や習慣に乏しかったのではないかと感じる。新卒採用の問題、社員教育、入社後の早期退職の防止、社員の意識改革といった問題への取り組みは真剣になされてきたことは疑問の余地はない。長期的、あるいは本質的な人事戦略に欠けるところがあったのではないだろうか。
若い人たちが、今後、どのような人生観や仕事観を持つのか、仕事への能力発揮や生産性向上の有効方法は何かなどについてしっかりとしたビジョンや方法論を確立する必要がある。独自の体系的な社員研修プログラムを開発したという会社は少なくないが、めざす効果と実際にそれが効果を発揮するかどうかの確認なしでは、計画倒れ、理論倒れに終わってしまう。日本流の経営が復活すると安易に考えることは間違いである。
若者世代にこうあれと期待し、計画を立てても、流れを変えることはできないだろう。 変えられなければ、経営者のほうが考え方を変えるほかない。
「いまの若い人たちはどうも」といった愚痴は禁句だ。そうした人たちをどう活かすかが問題である。彼らもまた働かねばならず、生活を守る必要がある。いずれ自分自身で悟ることになろう。それでは遅すぎるという意見はあろうが、それは教育者の問題である。
いま日本の若者たちは変化の過渡期にいる。まだ確かな方向をつかんだわけではない。「自分探し」に夢中の若い人をおかしいと否定する評論家がいるが、過渡期だからこそ悩むのだ。新たな流れを探しているのであって、これまでの潮流をうまく泳いできた人に批判する資格はないと思う。
企業もまた同じ状況に置かれている。企業も人事部も、「自分探し」をすべき時にあるのではないだろうか。
■平田周 氏プロフィール
三田教育研究所首席研究員
どうしたら若い人たちの知力、思考力、英語力を高めることができるかを研究しています。大企業、外資系企業、中小企業などでの勤務、ベンチャーの立ち上げ、大学で教鞭など、さまざまな体験をしてきました。元東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科客員教授。専攻:国際情報論。
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