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デジタルハリウッド大学/デジタルコミュニケーション学部 教授 匠英一(
プロフィール
)
コンビニなどに行くと、いつものアレ的な感じで牛乳やパンなど何も考えることなく商品を買っています。そして、レジのカウンターでは小さなチョコなど衝動的に買ったりする「ついで買い」もよくありますね。
こんな購買行動の特徴を把握し、それに即した販促・セールス活動をすることが顧客見える化で重要なのですが、今回はこうした行動パターンを分析する方法を紹介しましょう。
■「購買行動」の見える化で販促・セールスのシナリオ化
買うという行動を心理的にみると、意図的な「目的買い」と場当たり的な「ついで買い」に大まかに分けることができます。さらにそれぞれを図1のように、「目的買い」は「商品名指定」や「企業名指定」、「従業員名」で指定して買うブランド重視のもの、機能や「品質指定」のもの品質重視のもの、そして、その他はコミュニケーション重視のものであり、売り手の従業員指定といったものがあります。
また、「ついで買い」も分類すると、お奨め案内で思い出して買う「想起買い」、セットにする「まとめ買い」、場当たり式で買う「衝動買い」、特別な条件付きでの「条件買い」といったものなどです。
ここで問題なのは、商品特性やブランドイメージに即した売り方が必要だということです。たとえば、コンビニでの購買行動は、雑誌を読むのについでに朝食のおかずを買うことを思い出して豆腐を買い(想起買い)、その横にセットになっていたハンバーグと玉子焼きを買って(セット買い)、さらにレジに置かれていたチョコを買う(衝動買い)。このような一連の購買行動をシナリオ化することで、どういった商品をどの棚やタイミングで一緒に置くか、どこでお薦めすることが効果的かがわかってきます。
■購買動機に影響を与える3つの要因:品質、ブランド、コミュニケーション
品質がよくても、従業員の対応が悪くてもクレームになります。最近の全国的なクレーム調査では、品質の違いはあまりないため、むしろ従業員の対応の仕方によるクレームが増えているとのことです。
逆に、その対応の仕方であるコミュニケーション値が高い企業は、企業の評判(ブランド値)も高くなってくるわけですね。
このようなことから、購買行動を生む"動機"には、その商品の機能・品質がよいかどうかと、それ以外に見えない心理的な要因となるブランドイメージがあり、さらに販売員や営業担当などの対応の仕方、クレーム対応のようなコミュニケーションの3つの要因が相互に関連しているといえるのです。
■「ついで買い」から「目的買い」への転化によるブランド創りへ
資生堂は高級化粧品のブランド値を下げないために、コンビニで売っている化粧品は別ブランド名にしていますが、これは正しいといえます。コンビニのオニギリは衝動買いの商品例ですが、セブンイレブンのようになケースでは、それを自社のブランド値の高い目的買い商品へと育てあげることに成功しました。
自社のブランド化までにするには時間がかかりますが、一度ブランド化できれば、それを軸にしたセット・クロス販売も見込めることから、こうした購買行動の動きを見える化することが現場で求められてきているといえるでしょう。
■匠 英一(Eiichi Takumi)プロフィール
デジタルハリウッド大学/デジタルコミュニケーション学部:教授
和歌山市生まれ。東京大学大学院教育学研究科を経て東京大学医学部研究生修了。
90年より(株)認知科学研究所を創立。95年より中堅IT企業に入社し、インターネット活用の企画営業や顧客管理(CRM)のコンサルに従事。これまで11の異業種団体や資格団体を創設。公的な役職として、中央職業能力開発協会OA検定中央委員、CRM協議会理事・事務局長、早稲田大学客員研究員など歴任。
現在は上記大学の教授職を兼務しながら、(株)人財ラボ(上席研究員)と(株)ミリオネット(非常勤取締役)などで顧客サービス発想法、eラーニング、CRMシステムのコンサル業務に従事。
著書には、「顧客見える化」、「心理マーケティング」、「CRM入門」訳、「カスタマーマーケティングメソッド」訳、「意識のしくみを科学する」、「イラストでわかる心理学入門」等多数あり。
E-mail:
takuei@netlaputa.ne.jp
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