最近、IT業界では「SaaS」(Softwere as a Service)というコトバが注目されてきています。これは、月額固定料金でのソフト利用がネットでできるだけでなく、そこに複数のベンダーが開発したツールを組み合わせて共同サービス化したものです。
サービスというのは形がなく、時間とともに消費される"見えないもの"ですので、これを顧客にわからせるように"見える化"することは満足度をアップしていくうえでも大変重要なことです。
今回はそうしたサービスの見方を検討してみましょう。
IT業界では、ソリューションというサービスをSLAとして顧客に見える化するようになった背景として、ネット技術での回線保証の問題がありました。2000年前後に登場した「ASP」(Aprication service provider)というネット上からのソフト利用方式が、これに拍車をかけたといえます。ユーザはシステムが欲しいのではなく、業務に必要な機能とその利用サービスが欲しいのです。
図1にあるように、初期の自社構築式はITを"所有"することが前提でしたが、顧客のハードをプロバイダー側に置くホスト式、そしてアプリ自体もプロバイダー側から借りて"利用"するASP式と発展してきます。その進化型がSaaS式です。従来のソリューションという構築型の所有モデルではサービスの内容よりも、システムのハードレベルでのコスト効果を問題にするものでした。それが、SaaSの利用モデルでは、経理や開発などの業務レベルでの機能を組み合わせて利用できるネット上のサービスに発展し、そのサービスをどう"見える化"するかが重要になってきているというわけです。
■SaaSの基盤としての"PaaS"によるIT活用と「見える化」の課題
さらに最近では、SaaSの基盤としての"PaaS"(Platform as a service)によるIT活用が注目されるようになってきています。Platformとは、土台的なものという意味ですが、ソフトやハードの組み合わせを自在化する技術の総称と思ってもらったほうがよいかもしれません。
グーグルやアマゾンはまさに広告や本の業界でPaas型サービスを提供している世界最大の企業です。
図2にあるように、「見える化」の多様なレベルをこうしたSaas型やPaas型のIT活用で実現することができる可能性が広がってきているのです。新たなIT化の流れといえるわけですが、筆者が会長を務める「見える化経営協会」(www.mieruka.org)でも同様なPaas型サービスを開始しています。
結局は水道のようにオンデマンドで必要なときに必要な機能を自在に利用できるサービスモデルの発達こそが、サービスの「顧客への見える化」を加速してきているといえるでしょう。