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特集2:平田周のキャンパスライフからビジネスライフへ 第6回 英語をどうするか
三田教育研究所首席研究員 平田 周(プロフィール
 第6回 英語をどうするか
 採用条件に、「TOEICの成績が600点以上」を求める企業が増えています。大学の後期で英語を習ったという人はほとんどいないといっていいでしょう。英語、どうしますか?

 ある大学の商学部のクラスで、英語に自信があるという生徒は10%未満、日本人だから英語は不要だと答えた生徒がやはり10%未満でした。では残りの生徒は? 英語はやらなければいけない、できたらいいとは思うけれど、実際には、なかなか思うように実行できない、勉強しても成果が出ないという答えでした。

 あなたはどうですか?

 大学受験で英語が必須でない大学も多く、大学に入って1年、2年で英語を教えてはいるものの、英語を習うことに興味のない生徒がほとんどです。単位をとるためにというのでは、英語が上達するわけはありません。

 何事も目的なしには、熱中はできないものです。

 しかし、採用試験を受ける時期になって、急にTOEICで600点以上が必要だ、なんて言われても困ってしまいます。常識テストのように、短い時間で覚えてしまうということは、英語の場合は不可能です。

 会社に入って、英語が必要なのかどうか。わが国のビジネスパーソンで、英語ができるという人はどのくらいの比率なのでしょうか。TOEFLやTOEICを受けた人の点数の国際比較はあり、日本が最下位に近いということは知られていますが、日本人成人、とくにビジネスパーソンの英語力について調べた結果というのは見たことがありません。身近な実感からすれば、英語ができるという人はごくわずかではないでしょうか。ただ、アルファベットの識字は、ほとんどの人がローマ字で名前が書けます。

 ということは、べつだん英語ができなくても、日本ではちゃんと仕事ができるということになります。

 前述の大学での調査で、英語を勉強しない理由として「毎日生活していて、英語が必要だということを感じない」という意見がありました。これには、なるほどと思いました。たしかに英語を話したり、読んだりする機会は日常まったくないといってもいいでしょう。このごろは、街を歩いている外人だって、流暢な日本語を話すほどです。

 ではなぜ、企業は英語力のある人材を求めているのでしょうか。グローバリゼーションが進み、海外に直接、間接、海外との関係を持たない企業はきわめて少なくなっています。ビジネスマンであれば、いつ海外出張や赴任を命じられるかもしれません。原材料の海外からの調達も急増しています。

 さらに重要視されているのが、英語が話せる、話せないのを超えて、国際感覚です。翻訳や通訳を使えば、英語ができなくても、ほとんど用は足りるでしょう。本当はいちばん英語ができなくてはならない政治家ですら、英語が堪能だというと有名になるほどですから。しかし、国際感覚はどの政治家にも必要不可欠です。

 英語に自信があれば、国際感覚はいっそう高まることは間違いありません。ビジネスパーソンにとって大事なのは、英語力もさることながら、それを必要とする国際感覚であって、ただ外国人とぺらぺらとしゃべれることではありません。

 実力が評価される時代にあって、企業で働く人たちは同僚たちと差をつけるには、やはり英語は“見えやすい”能力だといえます。

 どうすれば英語がうまくなるか。私の考えで次の5点をあげておきます。

1. 学習する目的を明確にしておく
TOEICの点数を上げるため
入社して国際部門で働きたいから
海外勤務で困らないようにするため
外資系企業で働きたいから
通訳や翻訳家として仕事ができるようになるため
留学をしたいから
外国人との会話に困らないため
外国人と文通やメールができるようになりたいため
海外旅行に行ったとき困らないため
教養として英語力は身につけておきたいから
外国の雑誌や新聞を読みたいから
海外の情報に精通していたいため
2. 上記の目的と自分の特徴(高校時代英語が得意だった、記憶力がいい、海外に強いあこがれがあるなど)に合った学習方法を決める
3. 楽しみながら、あわてず、持続して学習をする
4. 生活の中に英語がある環境をつくる
字幕のない英語の映画やテレビ番組を定期的に見る
英語しか話せない外国人と友達になる
海外にメールの交換ができる友だちをつくる
英字新聞や海外の雑誌を購読する(家に届く)
5. 海外の政治・経済情勢、文化などに興味を持つ


■平田周 氏プロフィール
平田周氏 三田教育研究所首席研究員
どうしたら若い人たちの知力、思考力、英語力を高めることができるかを研究しています。大企業、外資系企業、中小企業などでの勤務、ベンチャーの立ち上げ、大学で教鞭など、さまざまな体験をしてきました。元東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科客員教授。専攻:国際情報論。

 
 

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