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特集2:IPAX2007最新レポート2 IT人材国際化シンポジウム〜アジアはフラット化するか? (アジアIT人材の役割)〜 を聴いて
 『日本とともに歩むアジアの人材について』
(講師:日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社 相談役 小川 健夫氏) 
 日立ソフトウアエンジニアリング株式会社の小川健夫氏は、アジアのIT人材は日本のIT産業にとって極めて重要であり、各国においても経済発展を担う人材として、力を入れて組織的に育成しており、我が国のソフトウェア産業にとっては、アジア各国へのオフショア・アウトソーシングはコスト低減と開発量を消化する上で必要な手段となっているが、文化の違い、言語の壁で色々な課題があるため、難しい現状もあるとの認識を示されました。

 そして、このような現実を踏まえたうえで、日立ソフトウアエンジニアリング株式会社 としてのオフショア・アウトソーシングの現状、IT人材育成計画などについて解説されました。要旨は以下のとおりです。

 アジアでの技術提携やシステムの共同開発は、1983年ごろから韓国、1986年ごろから中国と、ハードまたはシステムの輸出のために現地の人の力を借りて進めており、ハードの現地化は現在も継続している。そのころは、アジア全域で人件費も安かったのが大きな理由の1つであり、ソフトウェアの開発の委託順序としては韓国、インド、中国、ベトナムの順番で開始された。しかし、韓国の賃金上昇により、韓国に関してはソフト開発のアウトソーシングのメリットが減ってきた。

 現在のアジア主要国の日本向けIT技術者のレベルは、JITECによると、韓国、インド、中国が上位グループとされており、ベトナム、フィリピンなどがそのほかのグループとなっている。

 アウトソーシングの現状は以上のようになっているが、人材の育成には課題がまだまだあり、それぞれの国へ発注した感想を次のように挙げています。

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1. 日本語が理解できる人材が少ない
2. 実務を担当する期間が短い
3. 日本の高品質なソフト開発には、徹底した開発プロセスを勉強しなければならない
4. 発注側の開発プロセスが標準化されていないので個別の教育が必要
5. 組織で仕事をすることが得意ではない
6. 個人の力は付いてきている→2と同様転職の問題
7. 賃金の上昇によるコストメリットの減少
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 このような課題がある中で、日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社での、人材育成例としては、

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・ 開発センタの設置
・ 発注元設計部門の設立
・ スタッフ部門の教育
・ 発注元幹部の意見交換
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 また、育成項目としては、
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・ 開発プロセスや生産方法の見直し
・ 適用ツール利用方法の見直し
・ 進捗・品質・要件・懸案等の取得と報告方法
・ ソフトウェアを開発するにあたっての日本語の教育
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 育成方法としては、
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現地開発部門への開発プロセスの指導と実地教育の実施
・ 利用ツールの説明
・ コミュニケーションの活性化
・ 懸案事項摘出と解決促進、定例会議
・ プロジェクト成果発表会・反省会などの実施
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などを実施されているとのことです。

 また、各国での今後の人材育成の目標は、次のように定められ進められています。

 インドは、80%近い企業が、SEI/CMMレベル5の取得、中国とベトナムでは、ソフトウェアの売り上げの上昇とソフト従事者の増加、日本では高度ICT技術者の育成、日本語の教育によって言語の壁を低減させるなどを目指している。

 これらの状況を踏まえて、小川氏は、各国ともに、国家の強力なバックアップによって実力をつけてきているが、現時点で速戦力になる人材かというと課題も多く、日本人の応援を期待している企業も多々あり、それぞれの国にとって経済力に相当な差があることを認識することなどが必要であると述べられました。

 最後に、小川氏は今後のアジア間におけるIT人材育成の課題を、次に挙げられました。
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1. 日本語教育の充実
2. 系統的な日本語によるIT教育
3. 日本向けの品質認証制度の設置
4. ITSSなど、テキストの作成
5. 知的財産権とセキュリティ精度の徹底
6. 日本のコア技術の確保
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 まとめ
 今回の公演を拝聴して、アジア諸国のIT産業の成長の現実がより具体的に認識できました。さらなるアジア諸国の経済発展のためには、日本とアジア間の今後の人材育成の方法や方向性の共通化、標準化などが重要であり、日本がとるべき姿勢や政策がアジア全体の今後のビジネス発展を大きく担っているということを感じました。

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