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昨今、アジアは、世界的なITサービス市場において、急激な発展を遂げております。そのような中、日本とアジアにおける人材はどのような役割と政策を進めていくべきなのでしょうか。eラーニングマガジン編集部では、IT人材国際化シンポジウムの特別公演(主催:独立行政法人 情報処理推進機構/開催日 2007年6月28日<東京ドームホテル>)を取材してまいりましたので、先月号に引き続きご報告いたします。 |
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IT人材国際化シンポジウム 〜アジアはフラット化するか? (アジアIT人材の役割)〜
特別講演『IT人材評価基準の国際発展への期待』 |
(講師:株式会社NTTデータ通信 代表取締役社長 山下 徹氏) |
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株式会社 NTTデータ通信の山下 徹氏は、アジア経済圏が、高度な情報システムやソフトウェアを活用してさらなる経済発展を遂げるには、国を超えた優秀なIT人材リソースの共有と活用が不可欠であり、IT人材の流動と価値向上を促進するIT人材評価基準の策定が必要であると述べられ、そのために日本が果たすべき役割を認識するべく、欧米間とアイルランドの成功事例から説明されました。 |
アイルランドは、2006年度におけるソフトウェア分野の輸出高は世界第3位、コンピュータおよび情報サービスの輸出高は世界第1位(GDPの約10%)となっているそうです。
このアイルランドのIT産業の発展経緯ですが、1970年代に、そのころは貧しい国であったために仕事を求めて若い労働力が海外に流出し始るという社会現象があり、これを食い止めるために1980年代からは積極的な外資誘致政策を取ったため、IT・ソフトウェア企業が拠点を次々と設立していき、2000年代に入ると、より付加価値の高いオペレーション機能を保有することによってソフトウェアおよび情報サービスの輸出額で世界No.1となったということです。 |
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アイルランドのより付加価値の高いオペレーション機能を保有するというような例は、日本としても是非とも見習うべきことの1つだと山下社長は強調されました。また、成功の背景には、欧米諸国と言語・文化が同じであったこと、時差を使った24時間体制での開発、政府の人材に対する教育や海外誘致・低い法人税率の政策があったからだということも述べられました。
次に、インドの成功事例について説明がありました。
インドは、ITサービス輸出額が年々伸びており、2006年度は236億ドル、成長率は平均で2000年以降は35%となっているとのことです。インドの成長の要因の1つには、高い利益率を確保していることと、アイルランドと同じように欧米と言語を同じくする人口が多く(ただし文化は違う)、豊富で優秀な人材がIT産業へ流れたこと、アメリカとの時差、そして一番の要素はCapability Maturity Model / Capability Maturity Model Integration(以下、CMM/CMMI:ソフトウェア開発の組織能力を評価するための基準。5段階のレベルがある)取得による初期信用の獲得に力を入れていることだということです。インドでは、CMM/CMMI Level5取得企業が75社あり、実に世界の約2/3をインドが占めています。
インドにおいては、CMM/CMMIなどの取得がインドの成長の要因であり、日本とアジアにおいてもこのような共通の指標を持つことが成功のポイントだと述べられました。
また、インドの例を基準にして考えると、日本とアジアで共通に持つことのできる指標の例としては、次のようなものが考えると述べられました。
1. CMMI、ISO27000、ISO9000、ITIL(グローバルなもの)
2. プライバシーマーク(以下、日本独自)
3. 信頼性ガイドライン
4. 情報処理技術者試験
5. スキル標準
山下氏は、日本の人材不足を補う上でアジア諸国は欠かせないパートナーであり、「共通の指標や仕組みを有すること」が国際ビジネス強調の円滑化や拡大につながると主張されました。そして、その中でも、インドの例で出た共通指標として「ITSS」「ETSS」「UISS」などのスキル標準を中心に普及に努めることが大事なことの1つとしています。
また、人的および文化的な相互の交流(共通の言語や文化の理解)を促進して理解しあうことも大事であり、日本で培われてきたさまざまな仕組みを展開し、人材育成することでアジア諸国が競争力を高め、より強力なパートナーとなってくれのではないかと述べられました。
さらに、今後の日本の人材育成に関しては、育成すべきIT人材の質はアーキテクトやデザインアナリストなどの上流工程の人数を増やすべくシフトするべきであり、ITの活用促進によって、日本全産業の競争力を高め、それによってアジア圏のIT市場の競争力の強化を促進することが、日本がアジア圏で果たすべき役割であると結ばれました。 |
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