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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(27)
 ● 事情確認の注意点・・・メンバーを追い込まない

 もう一つのテーマは、具体的な質問テクニックである。前回は、定期的な進捗報告で質問をしながら問題の兆候を探る必要があると説明したが、ここで「おかしい」、「なんか変だ」と思う事象についてはさらに深く確認することが必要だ。

 ただし、メンバーが多く参加する進捗会議で個別メンバーを追及するのは避けてほしい。なぜなら、相手は関係者の前で尋問を受けている印象をもち、意固地に「問題はない」という主張を繰り返すからだ。

 人間は思い込みを意志に変える厄介な特性をもつ・・・つまり、責めることで、「自分には責任はない」という強い思いが発生、問題発見が遅れるのである。

PM: 問題ではないのか?
メンバー: 問題ではない。
PM: 今は問題でなくても、これは早く処置するべきではないのか?
メンバー: 正常なのに・・・何が問題なのか?
PM: 正常かどうかもっと確認する必要があると言っている。
メンバー: その必要はない。
PM: どうしてそこまで言い切れる?
メンバー: 私は信用されていないのか?
PM: そうではない。念のためだ。
メンバー: とにかく、問題はない。信用していないのなら、そう言ってほしい。
PM: ・・・・

 これは、賢いやり方ではない。メンバーを追い込んで、何もよくなっていない。プロジェクトを成功させたいなら、メンバーに配慮しながら、事実を抽出していかなくてはならない。

 では、メンバーを追い込まずに、「事実を抽出していく」とはどういうことなのか。

 それについては、次回に説明する。


■芦屋 広太(Asiya Kouta)氏プロフィール
芦屋広太氏 OFFICE ARON PLANNING代表。IT教育コンサルタント。SE、PM、システムアナリストとしてシステム開発を経験。優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座・研修に活用している。著書に「SEのためのヒューマンスキル入門」(日経BP社)、「Dr芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」など。

サイト : http://www.a-ron.net/
ブログ : http://d.hatena.ne.jp/officearon/
連絡先 : clinic@a-ron.net

 
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