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特集1:IPAX2007最新レポート トップ鼎談 「トップが語るIT人材育成の勘どころ」 〜ビジネスを成功させるプロフェッショナル人材とは〜 パネルディスカッションを聴いて
 「トップが語るIT人材育成の勘どころ」 〜ビジネスを成功させるプロフェッショナル人材とは〜 パネルディスカッションは、今回のIPAX2007の中でも特に大きな目玉と考えられ、基調講演直後にプログラムが組まれていた。本パネルディスカッションが目的の来場者も多かったようでほぼ満席。関心の高さを伺わせた。
 本パネルディスカッションはSI・IT企業、ユーザー企業、情報処理推進機構(以下、IPA)のトップ鼎談という企画であり、司会進行は、日経BP社 プロジェクト推進部部長の田口潤氏が務め、限られた時間の中で鋭い問題提起を行った。
 SI・IT企業、ユーザー企業、IPAそれぞれのパネリスト(鼎談者)は以下のとおり。
● SI・IT企業: NECネクサソリューションズ株式会社 代表取締役執行役員社長 渕上岩雄氏…日本電気株式会社入社後、パッケージ開発(販売管理・経理管理・人事管理、インストア・マーチャンダイジングシステム等)、汎用機、デュプレックスシステム、POSシステム、デュアル・システム、公営競技トータリゼータシステム開発などを経て、流通・サービス業SI事業部長、システム事業本部長、執行役員、取締役を経て、NECネクサソリューションズ株式会社 代表取締役執行役員社長に就任。大学卒業後、コンピュータに高い関心を持ち、SEを目指して開発のキャリアを積んできたとのこと。経営者としては「とんがりカンパニー」という標語を掲げユニークな事業展開を行い、各界から注目を集める。
● ユーザー企業:株式会社情報システム総研 代表取締役社長 繁野高仁氏…大学卒業後、日本NCRにてSEを8年間経験(百貨店の流通システム開発等)、その後現KDDI(当時のDDI)に入社し、DDIポケット(現ウィルコム)の立ち上げ、システム開発を担当。その後、KDDIのシステム責任者として、また、ユーザー企業としてのキャリアも積む。2006年独立、株式会社情報システム総研を創設し、CIOや情報システム部門の重要性を掲げ、現在さまざまな立場の顧客とビジネスを展開中。
● IPA:藤原武平太氏…独立行政法人 情報処理推進機構 理事長。通商政策局等、海外を中心に39年公務員として活躍後、シャープ株式会社に入社。代表取締役専務・海外事業本部長等を経て、IPAの理事長となる。
 今回の議論のポイントは以下の4点に絞られ、各界のトップがそれぞれ意見を述べるという体裁をとった。
1. 学生のIT産業に対する関心低下や人気低迷をどう見るか。
2. 現役IT技術者(ユーザー、ベンダー)の育成をどう見るか。
3. ITSS、UISSなどのスキル標準、情報処理技術者試験などのツールを企業はどう活用すべきか。
4. プロフェッショナル人材育成に向けて


 1.学生のIT産業に対する関心低下や人気低迷をどう見るか

 田口氏より、IT業界に対する学生の人気低下が議題として上げられた。ある程度景気が回復したといわれる中で、ほかの業界に人が採られてしまう、IT産業に優秀な人材がなかなか来ない。優秀な人材か来なければ、その業界は衰退してしまう……という深刻な懸念があり、この問題に対してどう考えるか討議がなされた。

渕上氏われわれの時代、40年前の自分の頃と比べると、確かにある種、尊敬されるような特別な職業ではなくなった。また、納期のスパンがどんどん短くなり、"3K"の仕事と呼ばれるようになってしまった。それに、お客さま(ユーザー側)とSI側との役割分担・責任分担の組み合わせが、昔から徐々にうまくいかなくなってきたという事実があったように思う。こういうことを考えると、われわれは「エンジニアリング」という方向にしっかり進んでいかなければならない。また、根本的なところで「楽しむ」ということを考えた場合、「開発して動く楽しみ」だけではなく、このシステムを導入したことで出た効果や実績に対して継続して「達成感」を感じられるものを組み込むようにするとよいのではないか。上記のようなことを鑑みて、ユーザー側とSI側との仕切り直し、再調整が大事ではないかと考える。そして、そのことを学生にアピールしていく、伝えていくことが大切だ。

繁野氏学生の人気低迷は非常に深刻に受け止めている。将来を考えると暗澹たる思いだ。自分の経験からいうと、自分が開発したシステムがきちんと動くということと同時に、お客様に喜んでもらえるという二重の喜びを味わうことができた。「作る喜び」「使ってもらって喜んでもらう喜び」の2つに触れることが非常に重要だ。また、学生の相談を受けたときに「キャリアパスを描けない」とよく言われる。1つの会社に入ってしまうと、そこの中でのキャリアになってしまうというイメージがあるようだ。社会横断的な適材適所を行うというインフラが無いのが問題であると考える。情報システム部門の地位が低いことや、下請け構造の問題なども鑑みると、上記の2つの喜びや達成感に触れることができるのは非常に稀なことだろう。

藤原氏基本的には繁野氏の意見に賛成だ。外部に丸投げしてしまうというのは喜びも何も無い。中に残すものをきちんと決めるべきだろう。なお、IPAとしては、「未踏ソフトウェア」というスーパークリエーターを育成する認定プログラムを用意しており、魅力を伝えて行きたい。一例としては、現在、Googleでスーパークリエーターが4人働いている。

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