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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(24)
 ● 問題は自ら判断し、処置する・・・まず、自ら、正しく問題を把握する。

 プロジェクトに限った話ではないが、目的をもって何かを進めていけば、必ずといっていいほど「問題」に直面する。システム開発プロジェクトでも、多くの問題が発生するのだ。例えば、

・スケジュールが遅れる。
・コストが当初予定より膨らむ。
・人が足りなくなる。
・人が辞める。
・メンバーの能力不足
・客先の担当者の力量不足
・プロジェクトメンバー間の不仲
・予定していた機能が技術的に実現できない。
・開発場所が不足。
・見積りが甘かった。
・プロジェクトマネージャの準備不足(プロジェクト計画不足)
・経験不足メンバーだけの開発になってしまった。
・コンプライアンス(法令順守)を無視した開発になってしまった。
・要件が決まらない。
・仕様が確定しない、などなど……。

 上記は、問題そのものや問題の引き金になる事項だ。一口に問題といっても、その影響度、解決の難易度はさまざまである。

 この「さまざま」というのがキーワードになってくるのでよく考えてほしい。例えば、能力の低い、経験不足のプロジェクトマネージャは、「見積りが甘かった」、「仕様が確定しない」ということを大雑把な「問題」としてしか把握できない人たちがいる。

 彼・彼女らの考えは、「見積りが甘いこと」が問題なら、問題解決は「見積りを甘くしない」ようにすべきだし、「仕様が確定しない」ということなら、「仕様を確定」すればいいという非常に簡単な考えである。

 その解決方法は、メンバーに

「君らの見積りは甘い、なぜ、もっと厳しくしなかった」、「なぜ、仕様が確定しない、仕様が決まらないのは大きな問題だ。決める方法を考えろ」

と叱責することである。これを読んだ読者の方々は、非常に稚拙な話のように思われるかもしれない。

「そんな馬鹿な話はない、世の中のプロジェクトマネジメントはもっと高度だ」

という反論が聞こえてきそうである。しかし、多くのプロジェクトや組織では、このような稚拙な問題認識、問題解決が行なわれている。要は、問題を正しく認識できていない、そして、掘り下げられていないのである。このことが、混乱をもたらす失敗プロジェクトを生む。

 では、次回以降、これを具体的に説明していくことにしよう。


■芦屋 広太(Asiya Kouta)氏プロフィール
芦屋広太氏 OFFICE ARON PLANNING代表。IT教育コンサルタント。SE、PM、システムアナリストとしてシステム開発を経験。優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座・研修に活用している。著書に「SEのためのヒューマンスキル入門」(日経BP社)、「Dr芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」など。

サイト : http://www.a-ron.net/
ブログ : http://d.hatena.ne.jp/officearon/
連絡先 : clinic@a-ron.net

 
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