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客観型スキル診断の必要性
Mr.サイトウ
:
最近、他に困られたことはありますか。
山本雅啓氏
:
そうですね、産休者の後任の問題があります。後任を社内で見つけるのは中々難しい状況です。
このような状況ですのでやはり外部に求めることになります。しかし、現在、外に求めるときの採用基準となるとまったくなくて、採用担当者にはいわば「動物的な勘」が必要になってきます。この作業だけは科学的じゃあないんですよね。そうすると、客観的な指標としては職務経歴書しかないわけです。しかし、やはり、その経歴の後ろにあるバックボーンはなかなか見えません。是非スキルチェックや適性・適職診断ツールを活用したい場面です。特に、実務は「客観型」のスキル診断がいいですね。やはり評価結果がフェアです。
Mr.サイトウ
:
そうした採用をされるのがよろしいと私も思います。「企業を支えるのは人」ですよね。その「人」がどういう人かわからないとなると会社もその方も悲しい時間を過ごすことになります。見えないところでの機会損失が起こってきます。
山本雅啓氏
:
おっしゃるとおりです。大昔は、そこの企業に新入社員で入って、そこの企業文化とか先輩たちに教えてもらって、まあ、勉強しながらというのが一般的なスタイルでした。しかし、現在のケースというと、そこの会社のイメージについて、その会社の経歴が世の中一般に「あの会社だったら、このぐらいのレベルの人がいいだろうな」というのがほんの少し前の話だったのですけれども、最近は雇用の形態が激変して、皆さんどんどんいいところに移られたり、能力を付けられたらほかに転職されたりしています。しかし、現在は、そのような職務経歴書を見て、「ああ、こういう会社を渡り歩いて来たのだな。だったら大丈夫だろうな」ということだけで、その方の実務能力やスキルを判断することはできない状況になってきています。大企業や有名企業に優秀な人材がいるかというとそういうわけではない。大量に採用するので、優秀な方ももちろんいらっしゃるとは思いますが、1〜2割はそうでもない。そうすると、職務経歴書でいくら大企業や有名企業の名前が記述されていても、スキルの証明にはなりません。つまり、採用の判断材料にならない。一方で、無名の企業やベンチャーでとても優秀な人がいる。つまり、人の能力を判断することが非常に困難になり、わけがわからなくなってきてしまいました。そんなときに、スキル標準に準拠したものさしがあると本当に助かります。 ITSS のような一定のものさしでレベルを可視化しておけば、なかなか就職できない方や、フリーターとかニートと呼ばれる方も含めて雇用機会、チャンスが広がるのではないかと思います。
Mr.サイトウ
:
そうですね。大昔と今では採用の基準が全く変わってしまいました。
山本雅啓氏
:
少し昔は、新卒の採用では、どこの大学のどこの学部ということだったら安心かなというのがまだありました。しかし、現在はそうではないですね。「人」ですね。特に適性やモチベーションなどは非常に重要視しています。頭がよくてスキルや経験があっても、モチベーションがなければパフォーマンスの維持や発揮ができない人がいるんですよ。生産能力が落ち、同時に引きずられて周囲の生産能力も落ちます。それに長年勤めていただいた方はとても貴重な財産ですので辞めていただくわけにはいかないし、末永く会社とともに成長していって欲しいのです。だからぜひモチベーションを上げてともに成長していきたいですね。
Mr.サイトウ
:
ほかにモチベーション UP の秘訣はありますか。
山本雅啓氏
:
外の方に期待する部分というのがかなりありまして、社内より外の方がいいということがあります。社員は怠け癖がついてしまっているとか、安住しているとか、安定している傾向があります。そういうところを見ると、モチベーションは外の方のほうが高いですね。そういう人材の方が外部にはたくさんいらっしゃいます。採用というわけには行きませんが、こういう方に入っていただいて活性化に繋がればと思っています。ただし、そこの費用もかかって大変ですけれどもね(笑)
人材育成のポイントとは
Mr.サイトウ
:
山本様は人事・総務のご経歴をお持ちですが、それと人材育成についてお話していただけますか。
山本雅啓氏
:
はい。私は人事関係の仕事をやっている関係でたくさんの人とかかわりあるのですが、なんとなく標準というか平均が分かるようになりました。人材育成も標準的なものがないと、教育成果の把握も困難です。標準的基準がわかればそれにしたがって、人材の強みを伸ばしたり、弱みを補完したりすることができます。ビジネスのスピードも速いので、 OJT とかもどうしていいかわからないときがあります。それでも、一人ひとりが会社を支えていくことになるわけですから、育ててあげたい気持ちもあります。接し方によって気持ちは変わりますからモチベーションアップに繋がります。そういうことを意識することで、かなりの方が変わってきます。しかし、いまはモデルとなる先輩がいないですよね。御社では、客観テストをどのように活用していますか。
Mr.サイトウ
:
「 ITSS レベルチェッカー( TM )」という ITSS に準拠したアセスメントツールを導入した企業様の例で言えば、はじめはやはり点数が低かったのですね。社員の方は、初めは皆忙しいからと嫌がってたんですよ。ところが、トップの方が「自己確認のためにやりなさい」というふうにおっしゃってくださって、そこで、「データベース」や「セキュリティ」関連などいろいろやってみたところ、実際の姿が見えてきたようで、次にお伺いしたときは、「自分の強み、弱みが見えてこのテストをやって非常によかったです」と従業員の方におっしゃっていただけました。そして、2〜3ヶ月したら全社的に意識が変わってきたようで、いまではテストを毎年楽しみにしてくださっています。また、その会社では、自社の独自製品を営業するためのオリジナルスキルチェックを作られたんです。販売員として必要な商品知識、技術・販売スキルのチェックが全方位的に行なわれ、それを教育にも活用され、販売面で大きな成果を上げておられます。
山本雅啓氏
:
客観テストのメリットを活用したとてもいい事例ですね。自社の成長のために必要なスキルは何かを明らかにして効果的に教育をして競争力を持たせているのですね。それにしても、いま、 OJT にふさわしい人がたくさんいないですからね。「ああいう人になりたい」というモデルがいなくて、こういうスキル標準を使ったりして、自分でレベルを上げていくしかないのでしょう。そういう中で、会社の方針の真意が見えてくると、バーッと活性化したりするかもしれません。そういう方の給与との連動は、人事や総務としては考慮する対象となりえます。決して ITSS などのスキル標準だけが評価の指標ではありません。「人となり」というものは誰かが必ず見ているものですから。資格ばかりとって、肝心の仕事をしない人、実績を上げない人を人事や総務はちゃんと見抜いています。人間性と実務能力(スキル)、当たり前のことですが両方ないと駄目なのです。
Mr.サイトウ
:
「人」の見える化、可視化ですよね。本当に大事なことです。さて、最後になりますが、今後のビジネスの展望、もしくは今お考えになられていることを伺ってもよろしいでしょうか。
山本雅啓氏
:
WEBを使ってコミュニケーションをどんどん推進したいですね。人材育成にしても販売店会にしても、一箇所に集まってそこで情報発信や研修をするスタイルから、WEBで済ませるスタイルに出来ればと思っています。集合制のメリットがありますが、何とかWEB上でもそのメリットがだせないか色々考えております。直接的には関係ありませんがWEB 2.0 の概念を使うとか、ストリーミングの駆使などで、集合制のイベントに勝る何ものをWEBで何とか確立したいと思っております。
■山本 雅啓氏プロフィール
NECパートナービジネス推進本部 グループマネージャー
展示会やイベントを長年経験、現在も販売店会などの各種イベントを企画運営に関わり、いつも参加者には新しさ、驚きと興奮を感じてもらえるように奮闘中。
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