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ビジネスカウンセリング協会(BCA)会長、そったく塾代表
岡本 英二(
プロフィール
)
企業が従業員の心のケアをトータルに支援すれば、総合的な生産性が上がり、売り上げや、利益率の向上が現実化します。前回は、日本でのEAP導入の成功例と、その困難さについて教えていただきました。今回は、EAP導入の詳細についてお伺いいたしました。
編集部
:
EAPを導入する場合について、読者の方からもう少し詳細が知りたいとのお問い合わせがありましたので、ご解説を再度お願いできますか。
岡本英二氏
:
お問い合わせありがとうございます。まずはアウトソーシング型にするのか、社内型にするのか、もしくは両方を使うのか検討していただきますね。アンケートやヒアリングを行い、企業のレベルチェック、いわゆる初診をします。なお、個人的な感覚なんですが、コミュニケーションが非常に悪いとか、人事評価が非常に曖昧であるとか、不公平感があるとか、会社内はいいが現場が非常にきついとか差があるじゃないですか。それをチェックします。全部一律にチェックできるというわけにはいかないこともありますが。
編集部
:
次のフェーズではどうするのでしょうか。
岡本英二氏
:
あとは、社員の人数に対して、どれだけのフォローを行おうとするか。カウンセラー1人が診ることができるのは多くても何百人です。同時に診ようと思うと、ほんの数人しか診ることができないものなのです。どれが誰とか、どの問題がどうだったのか、記憶に残らないことが多々あり申し訳なく思います。もし、1000人の社員に年1回カウンセリングを受けさせるのであれば、カウンセラーは1人でよいかと思います。
編集部
:
企業の人数はカウンセラーにとって難しい問題なのですね。
岡本英二氏
:
どうやっても体は1つですから。また、月に1回受けさせようと思っても、30日しかありません。そこで、どうやっていけばいいのかと考えます。1日あたり何人で、何時間やっていけばいいのか計算できますよね。カウンセラーが何人必要であるとかというところまでいきますので。本当に良くしようと思うと、カウンセラーの数が必要となってきます。あとは、どういう体制でバックアップしていくかということですね。リスク管理体制といいますか。つまり、連絡網の構築であったり、申し込み窓口はどうするかなど諸々の体制を構築して初めて社員に告知することができます。EAP制度の開始です。
編集部
:
レベルチェックとは、どういうことをするのでしょうか。
岡本英二氏
:
待遇がどうかや、どれぐらい社内においてストレスが溜まっているかをチェックします。
編集部
:
企業の空気を読むということでしょうか。
岡本英二氏
:
そうですね。人間関係が悪そうだなとか、会話がないようなところであるとか。会話はするのだけど、それを許さないほど忙しい部署がいくつあるのかとか。例えば、ライン工場なんて会話できないですから。また、国が指導しているように、きちんと休みが与えられているのか。1時間あったら10、15分とか小休止があるとか。コールセンターとかでもそうですよね。そういうのがちゃんと与えられているのかどうか、談話室が禁煙室と分かれているのかとかね。そういうのも含んだところで、チェックをしていきます。結構、会社の中でもバラバラなんですね。会社の中でもストレスが溜まる部署、溜まらない部署があったりします。
編集部
:
IT系企業であれば、開発の部署などはストレスが溜まりやすいと思います。
岡本英二氏
:
IT系については、そういう傾向が顕著ですね。さて、その上で前回申し上げたようにアウトソーシング型にするのか、社内型にするのかということを検討します。アウトソーシングをやっている企業は結構多いです。組合があったりして、無料でカウンセリングを受けることができますよというのが結構あるのですが、受診するように言っても誰も受けにいかないようです。つまり、ほとんど活用されていないという状況ですね。僕なんかは、アウトソーシングで受けるんですけれど、逆にいうと社内型にしていこうという提案をしています。つまり、社内に「ミニカウンセラー」を育成していく手法です。これは、お金が非常に安く済みます。2年〜3年計画で、管理職もしくはリーダーに対して、メンタルヘルスの教育を行っていきます。そういうことで早く前兆に気づけるようになります。できれば専属を何人か作り、また、ある程度の役職になれば、メンタルヘルスを受けてリーダーになりましょうということをすすめています。その対策を1通り知っていますよという人がいるととても心強いです。そうすることで企業での、現場のフォローにもつながりますし、育成にもつながっていきます。困ったときには僕ら専門家に相談、依頼すればOKです。治療までにはいかなくてもいいけれど、早く気づくためのリーダーを作っていくこと。それが予防につながって、企業にとってもコストが一番安く済むということです。最初2年ぐらいは、教育費用が要りますけれど、それ以上の利益率が生まれるはずです。
いったんメンタルヘルススキルとマインドが身につきますと、発見が早いですよね。また、教育を受けたものがほかの人にも教えることができるじゃないですか。1番安く済みますし、企業の人材育成にもつながると、一石二鳥みたいな形になりますよね。なお、専属は人数に応じて、何百人に1人とか一定のルールを決めたほうがいいと思います。
編集部
:
産業医はあまり活用されていない状況なのでしょうか。
岡本英二氏
:
「来た方に対しては診ますよ」というスタンスで、積極的に予防に行くかというとそうでないですね。
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