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特集3:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(23)

IT教育コンサルタント 芦屋 広太(プロフィール

 あなたはヒューマン・マネジメント能力に自信をもっているだろうか? マネジメントで最も難しい"人間の問題"、これにうまく対処しなくては仕事の成功はない。"人を動かすためには何が必要か"を理解し、適切に行動しなければならない。
 2006年12月号では、以下[プロジェクトマネジメントの考え方]の(3)「メンバーにプロジェクト方針を徹底し、動機付けを行う」の具体的な話として、「リーダーはメンバーに満足を与えなくてはならない。そして、満足は、会話で与えることができる」ということについて説明した。
 
[プロジェクトマネジメントの考え方]
(1) できる方法を考える。
(2) できる人間を探す。
(3) その人間に方針を徹底し、動機付けを行う。
(4) 問題の兆候ができるだけ速くマネージャに届くようにする。
(5) 問題は自ら判断し、処置する。
(6) 再発しないように見直す。
 
 そして、満足を与えることで、よい情報も悪い情報もPM(プロジェクトマネージャ)に迅速に伝わらなくてはならないこと、そのために、メンバーが自ら、よろこんで悪い情報をPMにあげるための言葉の使い方について説明した。

 この方法は、すなわち、上記(4)「問題の兆候ができるだけ速くマネージャに届くようにする」の具体的な話である。つまり、メンバーに「満足」を与えれば、プロジェクトリスクコントロール(プロジェクトを失敗させないようにする一連の制御行動)で最も必要であるところの「問題の早期発見」が可能となるということだ。しかし、これはもしかすると、PMで失敗した経験を持つ人には腹の立つ話かもしれない。

「会話一つでプロジェクトリスクコントロールができるわけがない。プロジェクトは、そんな簡単なものではない」

……という批判が聞こえてきそうである。しかし、多くの優秀なPMが、プロジェクトでは、情報の収集、メンバーへの情報伝達が重要だと考えている。これは、近年、プロジェクトにおける「コミュニケーションスキル」の重要性が叫ばれていることと無関係ではない。

 「プロジェクトの成功は、優秀な人をいかに集められるか」というのは必要条件ではあるが、十分条件ではない。本当に大事なのは、もっと、コミュニケーションの基本的なことや、「満足」をどのようにあたえるかというモチベーション理論の話なのである。そこで、今回も、メンバーに「満足」を与えることが、どのような効果をもたらすかについて考えていきたいと思う。

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