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大石雄氏
:
大きな企業は、それこそしっかりとしたコンセプトが最初からあって確立された会社もあるとは思うのですが、多くのIT系の企業は歴史が浅いものです。つまり、まだまだ成長期の段階です。戦略からスタートしたのではなく、自然に(自分の強みが特に分かっていなくても)開発・運用案件などをいろいろと請けるようになり、まぁ、来る案件でできる仕事を断るということはまずないですから……。それらを次々とこなしてゆくうちに、だんだんにある分野で強みや得意分野が出てきたというところが本当のところでしょう。そして、案件も増えたし規模も大きくなったから会社を作ることになり、会社になったという話も良くあります。しかし、会社にしたから「戦略」をいきなり創って、その戦略に該当しないから特定の案件は断るようになるということはまずないでしょう。
Mr.サイトウ
:
そうですね。ところで、世の中には沢山の企業があり、ITSSの職種にない分野があるということを良く聞きますが、これにはどう対応すればよいのでしょうか。
大石雄氏
:
「Uメソッド」では対応策が2種類あります。まず1つは、どれかの職種、専門分野に当てはめてしまうことです。大事なのは、「うちの会社ではこのような業務に関してはこの職種、専門分野と見なします」と社内統一ルールを明確にすることです。
Mr.サイトウ
:
しかし、それでも当てはまらない方がいる場合は実際にあるのですよね。
大石雄氏
:
その場合には、ITSSの職種に並列したかたちでその会社特有の職種、専門分野を作っていく方法もあります。しかし、なるべくならば、この方法はお勧めしていません。追加しないほうが良いでしょう。ITSSは共通のものさしとしての側面も大事にすべきですから。
Mr.サイトウ
:
仮に、会社特有の職種、専門分野を作る場合はどうすればよいのでしょうか。
大石雄氏
:
その会社の案件の受注状況ですとか、業務内容などを十分ヒアリングした上で、名前は一番しっくりしたものを付けます。そこからが少し難しいのですが、ITSSキャリアフレームワーク、つまり達成度指標やスキル塾都度とのレベル感の差がないように作っていきます。その場合、一番近いと考えられる職種、専門分野を参考にします。
Mr.サイトウ
:
会社特有の職種、専門分野を作る場合、どのくらい時間がかかりますか。
大石雄氏
:
一様に言えませんが、ITSSというモデルがありますから、2回話し合えば大体決まってしまいます。1回目はモデルの選定です。その中身を見て、乖離している項目を外していきます。そして2回目の打ち合わせの前に、その会社特有の職種の業務項目を分析しておいてもらいます。2回目では、分析していただいた業務項目をどのレベルに位置づけるかを話し合います。ほぼ一週間ぐらいでしょうか。
Mr.サイトウ
:
思ったよりも大変な作業ではないわけですね。
大石雄氏
:
そうですね。しかし、先ほども申し上げたように、会社特有の職種や専門分野を作ることはお勧めしていません。将来ITSSというのは基準になって行きますし、もし、日本の中で同じような職種、専門分野がほかにあるのであれば、経済産業省が既に付け加えているでしょうし(笑)。
次回につづく
■大石 雄氏プロフィール
昭和39年生。株式会社イーネット代表取締役社長。株式会社デュープロセスコンサルティング監査役。ITSSユーザー協会正会員。日本プロジェクトマネジメント協会正会員。プログラマ、SEなどの現場での豊富な経験を経て、現在ではコンサルタントおよびビジネスセミナー講師として活躍。コミュニケーション、問題発見解決力、プロジェクトマネジメント、オブジェクト指向などが研修の専門分野。リスク管理ゲーム、交渉力ゲームなど、独自開発のゲームを使ったユニークな研修も多数実施し、高評価を得ている。「誠実、真実、責任感」をモットーに、単なる理想論ではなく現場寄りで具体的なソリューションを提供している。著書に
「これならできる! ITSS導入・運用ガイド Ver.2対応」
(ラトルズ)がある。
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