eラーニングマガジンに関するお問合せ、ご質問等は下記までご連絡ください。
eラーニングマガジン編集部

elmag2@nextet.net

特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(19)

IT教育コンサルタント 芦屋 広太(プロフィール

 あなたはヒューマン・マネジメント能力に自信をもっているだろうか? マネジメントで最も難しい"人間の問題"、これにうまく対処しなくては仕事の成功はない。"人を動かすためには何が必要か"を理解し、適切に行動しなければならない。
 前回は、システムを構築する目的がぶれた場合の危険性について説明した。

 本来、情報システムは経営戦略を実現したり、業務を効率化するために構築されるものである。しかし過去には「時代のキーワード」に浮かれた経営層が、情報システムを導入すれば全てが上手くいくと錯覚した時代があった。これを例に情報システム構築の意義・目的を正しく設定しなければならないという教訓を説明した。

 IT投資をする立場の人間は常に意識しなければならない。これを肝に銘じてマネジメントをすることが重要なのである。

 それでは、次に進むことにしたい。「何のためにシステムを構築するか」という目的の話は当たり前すぎてマネジメントの知識体系の中には入れない(前回、考え方、基本スタンスについては説明した)こととし、今回から以下の各項目について説明していくことにしよう。
 
[プロジェクトマネジメントの考え方]

1. できる方法を考える。
2. できる人間を探す。
3. その人間に方針を徹底し、動機付けを行う。
4. 問題の兆候ができるだけ早くマネージャに届くようにする。
5. 問題は自ら判断し、処置する。
6. 再発しないように見直す。


 1.できる方法を考える

 システム統合に限らないのだが、ある企業にとって前例がないことを成功させるためには、それなりの新しい考え方が必要だ。つまり、過去のノウハウを捨てて、新しいものを作ることが必要になる。
  もともと、企業には過去からノウハウとして積みあがっている仕事の進め方、価値判断基準がある。これは、その会社で過去に経験(成功・失敗)した内容を手順化したものであり、そこには、プロジェクトリスクを回避(失敗した場合、2度と失敗しないようにする行為)する工夫が随所に措置されているものである。

 たとえば、A社というメーカがあったとしよう。A社のシステム部門は、社内向けのシステムばかりずっと構築し、利用者は社内の人、社外のベンダーSEを使ってシステム開発・保守をしてきたと仮定しよう。

 A社のシステム部門は長年、このように仕事をしてきたため、仕事の手順、マニュアル、人の価値判断、知識、ノウハウが全て、社内システム構築を前提に出来上がっている。つまり、社内システムを効率よく、前例通りに構築できる人が優秀な人になる。

 たとえ、たまに活発な性格で、「もっと外に向けて仕事をしよう。もっと他の手順、知識を身につけよう」と考え、主張しても、多くの場合は周囲(上司や上層部、管理者層)から疎まられ、主張を引っ込めるか、強行に主張しつづければ排他されるだけである。このように新しいことは吸収されず、現状維持か緩やかに組織力が落ちながら(通常、上は、自分以上の下を育てないという法則)何年も進んでいくのである。

 
next
 
Copyright©2006 Next Education Think.All Rights Reserved.
掲載の文章・画像の無断使用・無断転載を禁止します。
特集1:小誌編集長 Mr.サイトウが直撃インタビュー!独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) ITスキル標準センター 平山利幸主幹に聞くITスキル標準V2の核心ポイント
   
特集2:人材開発担当者のためのインストラクショナルデザイン 効果測定を有効なものにするために
   
特集3:eラーニングコース紹介 英語コミュニケーション能力をIRTで効率的に測定 株式会社教育測定研究所
   
特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(19)
(2)