前回(第37号)のマガジンでは、「成果を生み出すサイクル」として、人材育成部門のパフォーマンスサポート機能の重要性と成果を生み出すサイクルについて解説しました。今回は、成果の連鎖の中で、何をどうチェックすれば人材パフォーマンスを支援することができるのか。そのチェックポイントを解説したいと思います。
どのような課題や企業活動においても同じことが言えるのですが、「実際の行動と目標は整合性がとれているのか」「目標達成の可否を図る基準は明確か」、そして「結果を測定し、改善点を洗い出す」といういわゆるPDCAが重要なのはかねてから言われてきていることです。しかし、実際には、「実施」や「導入」が目標になってしまい、「実施されたこと」「導入されたこと」が「成果」となり、「維持」「改善」のための測定や調査などがないがしろになってしまっている現状が、「人材育成」の場面では、多く見られてきたのではないでしょうか。
個々人のパフォーマンスを引き出すための戦略的人材育成設計システムとしての「成果の連鎖」をもう一度考えてみましょう。
まず、第一に、会社全体の目標と事業推進部門の戦略との整合性がとれていること。理想的な「成果の連鎖」では、会社全体の目標と事業部門との戦略の整合性をとるのは、上記の図では「経営」の部分です。その次に、楕円の中の人々の繋がりとグループからグループへの仕事の流れなどの「プロセス」が、会社全体の目標達成に適合していること。そして、そのプロセスを円滑に進めるための「仕事」や「部門機能」は、プロセスごとの目標と一致していること。最後に個々人の成果を達成するために必要な要素が「期待される成果」と一致していること。これらが、成果を生み出すための連鎖と考えられています(Geary A. Rummlerによる)。つまり、研修などを提供することによって、組織のパフォーマンス、成果達成へのサポート策を提供しようとする場合、それらの情報を把握、理解することが重要になってきます。
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