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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(29)
「一緒に考える」ことのメリット
常に生の情報を共有できる。
頭のトレーニングになる。
メンバーに頼りになると思われる。
プロジェクト状況が常に把握できる。
メンバーに問題解決の手順を教えることができる。
メンバーの問題解決に関する癖や能力レベルを知ることができる。

 これだけよいことがあるのだから、PMはどんなに忙しくてもメンバーと一緒に考えるべきである。私はPMの経験が長いが、これは非常に重要なことだと考えている。私は常にミーティングルームとホワイトボードを確保している。

 何か問題が起こったら、すぐメンバーと一緒にミーティングルームに駆け込み、若いメンバーを書記にすえて、あれこれ議論をすることをしていた。

 問題が起きたらすぐ私の耳に情報が入るようにしていたので、すぐメンバーを収集し、対策会議をスタートしていた。当然、メンバーとPMである私は常に一緒に考え、結果はすぐ行動に移すように徹底していたものである。

 全ては、スピードが大事である。そして、密度も大事だ。早く、深い検討、調査、洞察が必要だ。これをチーム運営として定着するまで徹底的にメンバーを教育した。

 いつも一緒に考えていると、どのようなことが起こったか。

 素晴らしいことに、PMの考え・思考プロセスと同じものがメンバーにうつっていくのである。問題の捉え方、処置の仕方、再発防止策等々、これらの調査、立案手順をメンバーが真似るようになる。そして、チーム全体が同じレベルの問題解決手法を共有化するようになる。

 私は、チームビルディングにおいて重要なことは、リーダの考え、手法をメンバー全員が共有化していくことだと思っている。「一緒に考える」ということは、この実現をもたらす。PMが関与する――「一緒に考える」ということで、よりチームがビルドアップされていくのである。

 次回は、「方向性を指示する」について説明する。


■芦屋 広太(Asiya Kouta)氏プロフィール
芦屋広太氏 OFFICE ARON PLANNING代表。IT教育コンサルタント。SE、PM、システムアナリストとしてシステム開発を経験。優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座・研修に活用している。著書に「SEのためのヒューマンスキル入門」(日経BP社)、「Dr芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」など。

サイト : http://www.a-ron.net/
ブログ : http://d.hatena.ne.jp/officearon/
連絡先 : clinic@a-ron.net

 
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