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eラーニングマガジン編集部
elmag2@nextet.net
編集部
:
ところで、インストラクションデザイン(以下、ID)に沿った教材制作のメリットを具体的に教えてくださいますか。
宮本氏
:
IDは手法ですが、教育しっぱなしということではなく、研修の目的を明確にして継続して行動変容を起こして業績につないでいく、ということが本質と考えます。これからは、教材自体もIDに沿った設計にしていくということだと思います。そこで、当社ではさらに、進んで踏み込んでやろうとしていることがあります。研修で得たノウハウやスキルを現場で使ってもらい、どういった結果がでるか、うまくいくかいかないかを見定めて、正式なコーチングの資格を持ったナビゲータが、個人個人にヒアリング、アドバイス、悩み事の相談などをして業務に適用する上でのフォローをし、この方法がうまく現場に浸透できれば業績アップにつながりますよというアナウンスをさせていただきたいと考えております。しかし、必ずしも個人のレベルアップだけでは業績アップにつながらない場合もあります。その原因の1つとして、企業内の文化や制度が邪魔をしているということがあります。そういったときは、企業の業務体系を変える必要があります。その場合は、ナビゲータが収集したさまざまな情報を分析して、企業側に改革案をフィードバックします。単に研修だけで終わるのではなく、その後のフォローも含めて業績アップにつなげようとする試みです。業績は個人のスキルアップと企業側の改善の両方が成り立たないと前進しませんので、当社としては、ここまでをフォローしたいと考えています。
編集部
:
それはすばらしいですね。
宮本氏
:
手順としましては、まずアセスメントを実行し、自分の強み弱みを理解して、eラーニングまたは集合教育を受講します。そのノウハウを現場で活用します。次に、現場での業務に関してナビゲータがフォローし、分析レポートを提示します。
編集部
:
いいですね。双方向を実現してeラーニングの弱点を補っていますね。
宮本氏
:
はい。
編集部
:
また、有名な各LMS(Learning Management System:学習管理システム)への移植のしやすさを特徴にあげられていますね。
宮本氏
:
企業で導入済みのLMSをまず最初に確認します。これより最終ターゲットがわかりますので、そのLMSに合わせて教材を制作します。もし、複数のLMSを持っている場合は、SCORM(Sharable Content Object Reference Model)に準拠した教材制作もできますので、ご安心ください。
編集部
:
具体的な制作の流れを他社と比較して、特長があるようでしたら教えてください。
宮本氏
:
まずプロトタイプを作成しますので、イメージを最初から具体的に確認できます。したがって安心して次の制作ステップに進めるのではないかと思います。
編集部
:
ところで、「オリジナルeラーニングおまかせ制作パック+Webテスト」のメリットはどのようなものでしょうか。
宮本氏
:
単に教材の表示だけでは内容を理解したかどうかがわからないので、必ず確認用のテストを入れることはeラーニングではある種常識的な部分です。ただ、LMSが自社にない、または、自社のLMSを使うまでもない、といった場合などに、簡単にテスティングシステムを搭載したASPサービスを合わせて使うことができます。また、教材毎に一括でASPに載せることもできます。こうすることによって一連のサービスが簡単に受けられるようになります。
編集部
:
ここまでお伺いしてきて失礼な物言いをお許しください。本当に"お任せで大丈夫?"ということなのですが、いかがでしょうか。
宮本氏
:
大丈夫です。お見積りの時にお客様のところに伺って、教材の位置づけや品質レベルを確認します(条件確認)。しっかりヒアリングさせていただきますので大きな間違いはないかと思われます。また、はじめにプロトタイプを提供して、イメージを確認する機会を設けますので安心です。さらに、もしご提供させていただいた段階で、イメージと違うと判断されてしまった場合は、制作の費用に関してはご請求しないで無償とさせていただきたいと考えています。お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
編集部
:
eラーニングを作成したことが無い企業でも、企画段階から相談にのっていただけますか。
宮本氏
:
もちろんです。相談のレベルによってはコンサルティング料などが発生することはありますが、まず現状の資料を提供していただいて、研修の目的や出来上がりのイメージなどを話していただければほぼわかりますので、それを基にサンプルをご提供させていただきます。それを見ながらディスカッションすれば設計できます。
編集部
:
ここは、ご経験が豊富だからできることだと推察いたします。
宮本氏
:
いいえ。しかし、あらゆる種類のものを数多く作ってきておりますので大丈夫です。
編集部
:
今まで作成されたもので一番印象に残っているものは何でしょうか。
宮本氏
:
「会社の数字」という経理のeラーニングです。これは、キャラクターが関西人でそろばんを持って出てきて、関西弁でしゃべるものです。
編集部
:
それは面白そうですね。楽しみながら学習できるのですね。
宮本氏
:
キャッシュフローゲームなどもついていて、評判は上々でした。受講する人もそうですが、作る側も楽しみながら作らないと面白さは出ないですね。
編集部
:
ものづくりは、幼少の時代から得意でしたか。図工や美術はお好きでしたか。
宮本氏
:
どちらかというと私自身は理数系が好きで得意でした。アートとかは得意ではなかったですね。しかし、eラーニング作りは、プログラムだけではなく、デザインの部分も必要になってくるし、それらをコーディネイトできるプロジェクトマネージメント的な人が必要です。これら3つを兼ね備えている人はなかなかいません。私はプロマネ的な部分を受け持つことが多いのですが、うまくチームを組んでやっていくことが必要ですので、この経験の積み重ねは私にとって深い自信につながっています。
編集部
:
最後に、これからの目標やご展望などをお教えくださいますか。
宮本氏
:
はい。先日、eラーニングワールドに行ってきましたところ、業界は少し停滞している感じがしました。私個人の考えですが、SCORMによって教材の標準化は実現できましたが、それによってSCORMにあわせなければならないためにLMSの進化が止まってしまったのではないかと思っています。また、eラーニングとは見るだけのものという固定概念ができてしまったように思います。ここを打開しないとeラーニングの発展はないと思います。
これからは、ブログの機能を取り込むなどして、単に形式知(知識のうち、言葉や文章、数式、図表などによって表出することが可能な客観的・理性的な知のこと)をeラーニングで学んで共有するだけでなく、暗黙知(知識のうち、勘や直観、個人的洞察、経験に基づくノウハウのことで、言語・数式・図表で表現できない主観的・身体的な知のこと)の部分も取り込むような仕掛けを考えていきたと思っています。知りたい人に知りたい情報を提供できるようにできないかと模索している状況です。今のeラーニングの殻を破る必要があると思います。
編集部
:
私は、最近のアメリカのeラーニングのほうが、リアリティが高いように思います。また、若い世代からしますと、eラーニングはゲーム感覚といった感がありますが、そのあたりはいかがでしょうか。
宮本氏
:
まさに、eラーニング業界にゲーム制作者が移行していかないと発展しないかもしれません。ただ、日本の企業は堅いので、そのまま受け入れられるかどうかは疑問です。また、アメリカとは雇用体系やスキルに対する考え方も違います。アメリカでは、たとえば経理をやっている人は経理マンと自覚し、自分でスキルアップして、どんどん違う上の企業に入ろうとします。しかし、日本は、教育は企業がしてくれるもの、与えられるものという考え方があり、どちらかというと保守的ですね。
また、eラーニングを使う側も単に既存教材を受講させるのではなく、社員のスキル診断をベースにした人事戦略の見直しや、研修後のフォローアップから業務改革への連動など、eラーニングの新しい使い方も模索していくべきだと思います。
編集部
:
本日は、お忙しいところ貴重なご意見ありがとうございました。
■宮本芳広氏プロフィール
1958年生まれ。日立ソフト(株)に入社。その後(株)リクルートを経て、 (株)野村総合研究所に15年勤める。
野村総合研究所で教育システム(eラーニング)の新事業を責任者として立ち上げ、 大手IT企業60社、大学50校に販売し、新規事業の基礎を築き上げる。
情報処理資格:特殊情報処理技術者、第二種情報処理技術者
メール:
y-miyamoto@aegisc.cc
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