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株式会社インストラクショナル デザイン 代表取締役 中原 孝子(
プロフィール
)
人材育成投資減税、ものづくり人材の育成など、人材育成を「投資」として定義づけ、人材育成の活性化を図りたいという政策が、企業のニーズとしてだけではなく、国家のニーズとしての総合的な取り組みが進んでいます。スキル・スタンダードの整備や技術人材育成のためのMOTの浸透など、さまざまな側面から育成機会の提供が試みられています。そして、企業の人材開発部門にも「研修」の提供やさまざまな育成プログラムを整備するだけでは「投資」として成立しないため、人材育成評価や研修効果の測定をしたい、という動きが高まりつつあるようです。しかし、現状の「人材育成の効果測定」への関心は、「効果測定の仕方」という「部分」に注目をしていて、効果測定そのものが目的になっているような印象を受けます。つまり、人材育成を投資として成立させるための、組織としてのシステマティックな取り組みや、システマティックに人材育成を機能させることができる人材が企業の中に少ないのが現状ではないでしょうか。
企業における人材育成プログラムや研修の提供はいうまでもなく企業としての成果に貢献することという認識と、経営戦略に沿った研修を提供することが人材開発を企画・プラン・施行する部署の役割であるということにも疑いはありません。そのために自社に求められる人材のコンピテンシを明確にし、その人材を育成するためのプログラムを提供しているはずなのですが、実際にはありものの研修やプログラムを購入し、研修カタログと研修や人材開発プログラムという「イベント」を行っているだけになってはいないでしょうか。企業における人材育成の評価や効果測定も1つの「イベント」としてしまわないためには、
特定の研修プログラムの評価というよりは、組織としての学習の成果や効果性を示す、学習機能としての全体的な評価も視野に入れた「評価」のシステムを知る必要があると考えられます。また、そのためには、人材開発部門のより戦略的な位置づけと、専門性が求められるでしょう。
では、人材開発のシステムについては、eラーニングマガジン2005年3月号の「
組織パフォーマンスをサポートする人財開発部門のために
」の回でも触れましたが、今回はインストラクショナルデザインの観点から人材開発プログラムの効果測定について考えてみます。
■インストラクショナルデザインのプロセス
効果測定にフォーカスした場合、インストラクショナルデザインプロセスの最後のプロセスのやり方だけを注目しがちかもしれませんが、評価の目的がなんであるのか、その「目標」は測定可能なものになっているのか、というインストラクショナルデザインプロセスのスターティングポイントである「ニーズの分析」が大変重要になってきます。
ニーズ分析の結果によって、全面的なプログラムや組織における学習機能への改革が必要なのか、プログラム設計への変更が必要なのか、内容の変更が必要なのか、という評価ポイント、評価の目的が違ってきます。研修や人材開発プログラムを提供したそもそもの目的、ニーズはなんだったでしょうか? まず、その「何」("What to be evaluated")が明確になっているかどうかを確認する必要があります。その上で、どのような効果測定が必要なのかを検討します。
■効果測定レベルとニーズの関連
以下の図は、インストラクショナルデザインプロセスと効果測定の関連をしめしたものです。何に対しての評価をするための測定なのか、ニーズ分析の段階との関連づけです。
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