通常、社内のシステム化案件は、社内のユーザ部門、開発部門のエンジニア、ベンダーのエンジニアくらいで完結する。
一方、今回のシステム統合は、6社のユーザ部門とそのシステム部門が何らかの作業を行う。さらに、受け入れる方の会社のユーザ部門とシステム部門、関係するベンダーも多くの作業が発生する。
まず最初に行う議論は、カスタマイズの有無である。消滅させるシステムにある機能やデータが、残るシステムに全て存在すればよいのだが、そうなっていないことがほとんどである。したがって、システムを消滅させることが決まった会社は、どうにかして、自社の機能を残そうとする行動を行う。これが、システム統合の大きな特徴の1つである。
通常、システム統合では、残すシステムにカスタマイズが多く入るほどプロジェクト管理は難しくなる。したがって、システム統合を成功させるには、この「カスタマイズ」をできるだけ排除することが必要なのである。1社でさえ、交渉が困難なカスタマイズ調整を、6社を相手にどう対応していくのか。これだけでもこのプロジェクトの大変さが分かっていただけると思う。そこで、このプロジェクトでは、マネジメントにおいてさまざまな工夫を行う必要があった。
次回は、これらについて詳しく説明していくことにしたい。
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