今年の4月、いよいよ個人情報保護法が施行されます。個人情報の漏洩は企業の信用に関わるきわめて重要な問題であることから、施行を目前にひかえたいま、個人情報や情報セキュリティに対する意識を高めようと、企業内教育の動きがあわただしさを増しているようです。
そこで、今回は、2004年秋に株式会社日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)からリリースされた「個人情報保護&情報セキュリティ基本コース」を取り上げたいと思います。本コースでは、普段何気なくこなしている日常業務を振り返りながら、「個人情報保護」と「情報セキュリティ」についての必要な知識、スキルを無理なく具体的に学習することができます。
身近な顧客データ紛失のエピソードが語られる (c)JMAM
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第1章(オープニング)では、週末に自宅で仕事をしようとして顧客データを持ち帰ろうとしたある社員が、帰宅途中の電車で居眠りをしてカバンを紛失してしまうというエピソードが提示されます。カバンが見つからないまま数日が過ぎた頃、顧客データに含まれていたお客様のもとに、不審な勧誘や電話がしつこくかかってくるという事態になります。会社は対応に追われ、顧客データ紛失の事実を説明して深く謝罪しますが、結局会社は顧客の信頼を失ってしまいます。
しばらく経って冷静になったこの社員は、自分なりに反省点をまとめていきます。そこでは、「『個人情報を扱っている』という意識が薄かった」「顧客データの持ち出しについて社内の取り決めを確認していなかった」など、情報を扱う側の意識や体制に関する問題が挙げられます。個人情報漏洩の問題が、自分自身を発端として起こりうるかもしれないことを考えさせられます。
また、「安全性」「機密性」「可用性」の3つを確保する「情報セキュリティ」を成り立たせるために、個人がどのような意識を持ち、どのように行動すべきかを、日頃起こりがちな事例を交えて説明します。オフィスの机上で、守るべき「情報」がどのような形をとっているかをわかりやすく解説したイラストは必見です。企業の持つ情報資産を脅かすものは一体何なのかという概要を学習していきます。
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