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■双方向性を持った管理能力 クラリオンでは今年の内定式の際、学生自身にこのe-ラーニングパックを半年で終わらせるスケジュールを組んでもらった。週に1回はアクセスして、1章は進めるなど、具体的な計画を立ててもらったのだが、実際に始まってみるとどうしても予定通りに進行しない者が出てくる。
アクセス数が極端に少ない学生には、人事部からメッセージを送る。また、内定者全員へのお知らせには掲示板を利用することもある。学生の本分であるところの卒業研究や論文などの邪魔をしてはなら
小林氏
ないので、強要はしないが、アクセス数が少なければ内定した企業からの通知を見そびれることにもなりかねない。
「冬休みの宿題みたいに、これを“やること”そのものが目的になってしまっては困るんです。ですから、アクセスできない、進まない理由を学生からきちんと聞いて、焦らせることのないように努めています」(クラリオン人事部 小林恵美氏)
現在までで学習が進んでいない内定者はほとんどいないということだが、やはりそれは学生側に“人事の人から見られている”という感覚があるからだろう。
実際、人事部では内定者の学習進捗状況をすべてきちんと把握している。担当者が特にコンピュータに精通していなくても、月に一度、システム管理者からの報告で細かく学習の様子を知ることができるのだ。
「以前はそれほど厳しく管理していませんでしたから、いくら事前にテキストを渡したり通信教育を利用したりしても、結局は基本的な研修で5月くらいまではかかってしまっていました。
システムは6月まで使えるから、入社後に知識の部分で遅れを感じた者がいても、自分で学習することができるのも利点です」(小林氏)

大成建設内定者の学習進捗状況を見る限り、来年は4月の時点でさっそく、もっと内容の濃い、集中的な集合研修ができるのではないかと、金田氏は期待する。
学習の進み具合が上がるのは、やはり管理されていることを知ることにより、学生側の自己管理意識も高まるからにほかならない。また個人管理ができることで意外な利点も生まれている。
「学習の進捗状況を見ていると、誰がどの科目で何点取れたかということのほかに、それぞれの学生の性格が見えてきます」(金田氏)。

クラリオンの室井氏によると、ある学生は合格点である80点を取得しても、100点になるまで何度でもがんばって同じ科目を受け直す。完全主義なのであろう。また、学習の仕方を見ていても、好きなところだけ飛ばし飛ばしに学習していく者、丁寧に順番を守って進めていく者というふうに、性格のちょっとした部分が見えてくるという。これはこの先、新入社員の配置を決める人事としては大きなポイントになる。
「一度にたくさんの学生と顔を合わせる集合研修では、ひとりひとりの性格までは見えてきません。おもしろい発見でした」(室井氏)

■すべての壁を取り払った新しい学習方式 e-ラーニング方式が入社前の学生たちにも受け入れられ、効果的に学習が勧められているというのは、企業がそれを勧めるから、という単純な理由からだけではない。クラリオンの室井氏によれば、環境の変化が大きな理由であるという。
「まず、パソコンを持っていない学生が少なくなりました。例え自宅になくても、自由に使えるマシンが学校に必ずある。連絡だけなら携帯電話のメールが使えますし、電話回線をつなぎっぱなしにしなくてはならないという問題も、最近では料金一律のADSLなどがあるので、学生にかかる負担が大幅に削減されています」(室井氏)

自分のペースで学習を進められることも手伝って、e-ラーニングは学生たちにはむしろ歓迎されている。かつては首都圏(就職先企業に近い地域)に住む学生がどうしてもそうでない学生よりもアドバンテージを得ていたが、どこにいても同様に教育が受けることができるようになったため、居住地域による差がなくなったことも、遠隔地に住む学生にとってはうれしい限りだ。
また、大成建設では内定者に限らず、関連会社すべてにe-ラーニング方式を適用したときの効果にも視野を広げている。集合研修となるといくらグループ会社とはいえ、他社の社員とは互いに一線を画してしまう。しかし、この方法ならアクセスIDさえ持っていれば、誰でも関係なく同じ場所にアクセスして交流を持つことも可能だ。
同じ経営理念を持つ会社間の壁が取り払われることの意義は大きい。 入社前の数ヵ月というのは、非常に重要な期間だ。企業としては内定者たちの心を会社に引きつけ、これから社会人になるのだという自覚を持たせなくてはならない。そして学生にとっては学生の本分をこなしていくだけでなく、この間に他の内定者たちより遅れをとっている部分があれば正していきたいところである。つまり、双方にとってこの時期は学習期間なのであり、e-ラーニングを導入することによる利益は、今後も利用の仕方によって計り知れないものとなっていくだろう。

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特集2直撃!eラーニング体験レポート
特集3:新入社員研修でのeラーニング活用 〜リードレックス様の事例〜
特集4:新入社員研修でのeラーニング活用 〜クラリオン様、大成建設様の事例〜

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