(本文は、日本能率協会マネジメントセンター刊「人材教育2002年2月号『日本メディアサポート
利用者に聞く ―内定者向けe-ラーニングパックの利用価値』より、許可をいただいて転載しているものです。掲載時点での情報となっておりますので、ご了承ください。)
学校を卒業したての新入社員は、語学に堪能な者、PCスキルの高い者など、能力に差があるのが普通である。それを入社前から均一化し、入社後はすぐに業務に専念できるようにとつくられた日本メディアサポート社、株式会社廣済堂、タナベ経営の提供する新入社員/就職内定者向けe-ラーニングパック。導入した企業の反応はどんなものだろうか。
来年度新規採用者向けに同e-ラーニングパックを日本メディアサポートから導入したクラリオン、廣済堂から導入した大成建設の人事部の方々から、途中経過を聞いた。
■カスタマイズできる「研修」 カー・マルチメディアと情報通信機器をメーカーのクラリオン社では今年10月1日の来年度新規採用内定式の前に、12人の内定
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室井氏 |
者に日本メディアサポート社の提供するe-ラーニングパックの無料総合事前テ ストを受けてもらった。
結果はまちまちで、皆ある程度の成績ではあるものの、それぞれになんらかの弱点が見つかった。彼らは半年後の入社に向け、e-ラーニングパックで学習して弱点を克服し、4月から始まる業務に問題なく携われるようにするのだ。
同社でこのe-ラーニングパックを導入するのは今年がはじめてである。
以前は通信教育に頼っていたが、回答を書いてポストに投函して、という手間が卒論などで忙しい学生たちに嫌われ、あまり成果が見られなかったという。
また昨年は英語のWEB教育システムを導入したが、レベルに応じた取り組みは可能であったものの英語以外のリテラシー教育の欠如を痛感していた。
「内定者は全国各地に住んでいます。遠方の学生を、研修のたびにわざわざ呼び出すことはできません。それに研修といっても、内定者を十把ひとからげにして一律教育をするのではなく、多岐にわたった選択肢が欲しかった」
クラリオン社人事部課長の室井孝浩氏は、この度のe-ラーニングパック導入の動機をそう語る。
事前テストで学生それぞれの能力が点数で表される。内定者の配属先はある程度決まっているので、海外対応の部署に配属になる予定の学生には語学を重点的に、あるいは、すでに語学が得意な学生にはもっと別な学習を、というふうに、こちらから内容を個別にカスタマイズすることができる、その充実したコンテンツが導入を決意させる決め手になったようだ。
現在はビジネスマナーや財務、ウィンドウズ入門、エクセルとワードの使い方を含むPCスキル、ビジネス英会話、トラベル英会話の6つのコンテンツのうち、特に弱い2つを抜き出して重点的に学習させている。長所を伸ばすのではなく、苦手なものを少なくするのが目的だ。
「入社までに最低限のレベルを備えて欲しいですね」(室井氏)
英語など継続してやらなければ真に身につけることができないものもあるが、自主学習は個人差ややる気の有無で結果に違いがでてくる。そういったことも一括して管理できるのも魅力のひとつである。
■独自の研修にプラスすることで研修効果を上げる 一方、大手建設会社の大成建設は今まで、社内の担当者が独自で研修テキストを作り、それを内定者に配布して入社までに各自で自習してきてもらうという形式をとっていた。
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金田氏 |
ビジネスマナーから会社の歴史や変遷などを盛り込み、会社とのつながりを感じつつ社会人になる前のウォーミングアップをする。そこへ、今年からe-ラーニングパックを取り入れた。「4月の入社時までにテキストをどこまで読んだかと問えば、恐らく半分程度しか読んでいない者もでてきます。海外にも内定者がいますから、学習の進捗状況を把握することは困難でした。e-ラーニングなら、ポンと(キーを)押せば進捗状況は一目瞭然。当社で働くのに際して必要な基本的知識を先に頭に入れておいてもらえれば、入社後の集合研修にかかる時間や手間が格段に少なくなります」と人事部教育担当次長の金田進氏。
e-ラーニング方式は卒業前で忙しい学生の生活を妨げることなく、かつきちんと管理もできることが最良のポイントであるようだ。
同社では入社後に建築業界の特殊性を学ぶ集合研修が行われる。e-ラーニングは集合研修の前段階なのである。そのためビジネスマナーは全員必修とし、ワードやエクセルなどを含むITリテラシーと会社財務は興味のある者だけが申し込める選択制にした。
「若い人はこの方式を簡単に受け入れて、必修ではない科目も興味を持って自ら進んで選択してくれます。本で学習するよりとっつきやすいのでしょう。パソコンがもうできる人はやらなくてもいいわけですし。
ただ、知識だけ与えても意味がありませんから、e-ラーニングで学習してもらった後(入社後)も集合研修でフォローして、効果を上げていきたいと考えています」(金田氏)
集合研修ではグループごとに企画を出させ、検討していく比較提案など、Face to Face(顔をつき合わせて)でやることに意味のある内容が盛り込まれる。また、一般的なビジネスマナーに加え、社独自のマナーや常識は、実地で研修するのが臨場感もあり高い効果を発揮する。同社の新しい研修方式は、e-ラーニングと集合研修の利点だけを組み合わせた、画期的なものといえよう。
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