■入社後に関してはいかがですか。
4月から、研修のメインとして、今度はイントラ型のeラーニングシステムで、C言語、Javaに関して社内でセルフラーニングをしています。
研修というと、講師が前に立って、一番遅れている人に合わせて教えていく「護送船団方式」になるか、ほどほどのところで妥協して、「できる人は退屈で、できない人は落ちこぼれる」研修になってしまいがちです。
ですから、自分のペースでできるeラーニングはそれを解消する格好のツールだと思います。
■「自分のペースで」というと、研修修了の足並みがそろわないのではないでしょうか。
はい、早い人は5月末に、遅い人はもう少しじっくりとやってから、業務に携わることになります。「人によって業務への移行時期が異なる」これは当然のことで、当社では問題とは思いません。むしろその方が、業務に入ったときに各人が確実に同水準にまでスキルアップしているわけですから、生産的です。
■1日中セルフラーニングというのは、正直キツそうですね。
そうですね。WBTはコミュニケーションがないと暗くなりがちです。そこで当社では、マイクロソフト社の「シェアポイントサーバ」を活用して複数の掲示板を作り、先輩に気軽に質問できるようしたり、受講生同士情報交換できるようにしたりと工夫をしています。
また、順調な人は楽しく進めるのですが、一度つまずくと行き詰ってしまうため、イントラならではの詳細な進捗管理機能を利用しながら、教育担当者が受講生のつまずいたポイントを把握、つまずきのポイントになるところに戻してあげるような指導を行っています。
これがうまくできないと、運用が難しいでしょうね。 eラーニング導入で、完全に手間いらずになるかといえば、そうではないのです。
■新入社員一人当たりにかかるトータルコストをお聞かせいただけますでしょうか。
このほかのカリキュラムも含め、入社前に一人二十数万円の計算で、入社後がプラス十万円/人くらいでしょうか。サーバ環境や人件費は抜きです。この金額は、戦力化されるまでのコストとして妥当だと思います。
もし入社後から同じことをしていたら、給与などを含めると、それ以上かかるのではないでしょうか。 また、早期に教育を集中することで、その後の教育コストは減らせるという認識でいます。
■今後のeラーニングに期待するものをお聞かせ下さい。
現状では、カリキュラムは前から後ろへ、巻物的に進んでいくものが主流です。 しかし、セルフラーニングとしての利便性や、コンピュータベースという特性を考えたとき、受講生の理解度にあわせて教材が自在に組み合わせられていくような仕組みを希望します。
「アダプティブラーニング」という考え方が理想ではないでしょうか。 また、eラーニングの情報が氾濫していく中で、本当によいものをセレクトして紹介してくれる会社、目的別に複数のコースのセット商品を組み立てて提案してくれるeラーニング会社の登場を希望しています。
■最後に、これからeラーニングの導入を検討される企業、eラーニングマガジンの読者に一言お願いします。
eラーニングのコースウェアは、仕組みとして必ずしも完結しているわけではありません。 用途に合わせて、自社独自のスタイルで使っていくことが肝要です。
また、ユーザーには最適なeラーニングコース・教材を組み合わせて選んでいく、またカリキュラムを考案していく力が求められます。
それがユーザサイドでの、「インストラクショナルデザイン」のノウハウではないでしょうか。 最近ではネクストエデュケーションシンク社のように、多くのeラーニングコースウェアの中から
最適なものを、最適な組み合わせで提案してくれるeラーニング企業も出てきているようなので、そうしたところに相談してみるのもよい手かもしれません。
■ありがとうございました。
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ASP型とイントラ型の双方のeラーニングを活用するリードレックス社。
ASP型の魅力は購入後、即始められ、またシステムの知識も要らないところだ。 コースによっては、講師やメンターのサポートが受けられることも、大きなメリットだ。また、やめたり、別の製品に変えたりしたければすぐにやめられるという手離れのよさもある。
しかし、1人1コースいくら、という従量型の課金形態のものが多く、人数が増えれば増えるほど、また毎年やればやるほど一定のコストが継続してかかっていく。
一方でイントラ型は、システムの知識とサーバ設備さえあれば、社内で強力な管理ができることが魅力。また、ライセンスの買取という考え方を取っているベンダーの製品を買えば、
一度購入したシステムやコースを次年度も使うことができ、経済的なケースもある。
自社ではどちらがいいのか、規模や用途に応じて検討してみるのが良いようである。 |
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