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せっかく入社したのに3年経たずして辞めてしまう若者が増えていることを危惧する意見が数多く紹介されている。もはや、終身雇用という考えはかなり薄れているのは事実であろう。ただ、就職氷河期に入社した者たちは、とにかく仕事を見つけなければと、採用されそうなところであれば、どこでもいいということで応募し採用されたケースが多い。この人たちの多くは、景気が回復し、一転して求人難となると、あらためてもっと自分にふさわしい仕事があったのではないかと迷うのは無理もないと思われる。
会社選びでのマッチングミスということをしばしば耳にする。そして識者の多くが、自分の転職はまだビジネスマン駆け出しの頃にはわかるわけもなく、長くその仕事をしているうちに、これこそ自分がやるべき仕事だと思うようになるものだと諭す。
確かに、若い世代の人たちに、辛抱がなくなっているのは否定できない。
しかし、世の中は昔のようにゆっくりとは進んでいない。十代から大金を稼ぐタレントやスポーツ選手が増えている。そういう人たちはごく少数でむしろ特別な存在だということはわかっていても、やはりあせりを感じるのはわかるような気がする。彼らは同年輩の人たちと比べて考えている。先輩たちの助言と同年代で語られていることのギャップや矛盾に遭遇し、自分がわからなくなっているという事情があるのだと想像する。 |
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これについても、たくさんのアドバイスや提案がなされている。要は、3年でやめてしまう人たちの言い分を聞いて、辞める原因を解決すればいいだろうということになりかねないが、必ずしもそうはいかない。辞める理由というのが、本音なのか言い訳なのか区別しにくい場合が少なくない。
辞めさせないためのアドバイスには、コミュニケーションの大切さを指摘するものが多い。しかし、昨今の若い人たちとは、腹を割って話をすること自体が難しくなっている。家庭の中ですらそうである。彼らは、大人が常識あるいは正論として語ることに抵抗を覚える。どっちみち成人の価値観を押しつけようとするものだと最初から警戒している。
「会社というところはそういうものではない」「年をとるとわかってくる」
「仕事は理屈ではなく、慣れるものだ」といった発言が無性に腹立たしくなってくるのだ。
彼らと親しくなることは容易なことではない。しかし、その反面では教えてもらいたいと思っている。どうあっても、会話がなければ理解し合えないのは確かである。いきなりメールで「辞めさせていただきます」と言ってくるという話を聞いたことがあるが、いかに普段、会話がなかったかを示すものであろう。 |
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