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特集4:現場の事例で学ぶマネジメント連載 ヒューマン・マネジメントのテクニック(31)
 ● 方向性を指示する

では、次の話に移る。今回は「方向性を指示する」ということだ。

PMの関与のポイント
メンバーを放置しない。
問題が起きた場合に叱責しない。
常に一緒に考える。
方向性を指示する。
問題が起こったときは一緒に解決する。

 方向性は非常に重要である。方向性がずれると解決しないばかりでなく、かえって問題を複雑にしてしまうからだ。例えば、何か新しい仕事を行うためにプロジェクトを進めていて途中で「予定していたことと違う因子が見つかった」としよう。具体的に言えば、システム開発をしていて、要件が大きく変わった場合などだ。

 この場合、プロジェクト初期で何も作っていなければ「計画を見直す」のがよいかも知れないし、そのまま若干の補正をして進む方がよいかも知れない。それは細部まで調査をしてからでないと適切な判断はできない。また、プロジェクトの終盤だったらまた判断が異なるだろう。もう、計画を綺麗に見直すことなどできないから、どうにか手直しをして進むしかない。

 これらの判断には経験と知識、度胸、そして胆力がいる。この判断について大まかな方針を決めて徹底するというのが「方向性を指示する」ということだ。方向性を間違えると酷い結果になる。だからこそ、方向性を指示することがPMとして非常に重要になるのだ。

 筆者も、チーム運営をしているとき、何か問題が起こったら、すぐメンバーと一緒にディスカッションをして、意見交換をし、方向性を指示するようにしていた。

 前回と同じことの繰り返しになるが、これをチーム運営として定着するまで徹底的にメンバーを教育した。それは、PMの考え、思考プロセスをチームに植え込むためである。

 問題の捉え方、処置のやりかた、再発防止策……。これらの調査、立案手順をメンバーがまねるようになり、PMと同じ「方向性」が判断できるようになる。これが、チームビルディングにおいて重要なことである。

 やや話が育成やチーム運営の話に振れたが、重要なことは、「方向性を指示する」のがPMの役割ということである。これができないPMは、PMとは呼べないのだ。

 次回は、「問題が起こったときは一緒に解決する」について説明する。


■芦屋 広太(Asiya Kouta)氏プロフィール
芦屋広太氏 OFFICE ARON PLANNING代表。IT教育コンサルタント。SE、PM、システムアナリストとしてシステム開発を経験。優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座・研修に活用している。著書に「SEのためのヒューマンスキル入門」(日経BP社)、「Dr芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」など。

サイト : http://www.a-ron.net/
ブログ : http://d.hatena.ne.jp/officearon/
連絡先 : clinic@a-ron.net

 
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