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特集2:平田周の“キャンパスライフからビジネスライフへ”第3回 好奇心こそ命
三田教育研究所首席研究員 平田 周(プロフィール
 第3回 好奇心こそ命
 小さい子どもは、好奇心旺盛です。幼児期、母親になんでも尋ねる発育期があります。人間だけでなく、動物でもそうで、散歩中の子犬はあらゆるものがめずらしいらしく、目を輝かせ、ちっともじっとしていません。これに対して、老犬になるほど周囲のことにも関心を示さず、人が近づいてもちらっと目を向けるだけで、顔は無表情なままです。

 大学で教えていて、もっと目を輝かせてなぜなのだろうという好奇心を見せて欲しいと感じたものです。しかし、よくよく考えると、私自身、先生の話よりももっと登山のことに興味がありましたから、あまり大きなことはいえないですね。好奇心というのは、未知の世界への想いですから、教師や大人が持ってほしいと思う方面に好奇心が向かないのは無理もないでしょう。

 教師が期待するのは、勉強することや、学問の世界のことへの好奇心です。ビジネスの世界では、もっと経済や政治や国際問題に好奇心の目を向けて欲しいと思っています。しかし、若い人たちの好奇心はそちらのほうに行かず、音楽やサブカルチャーといった世界にとりつかれます。

 それは一つの流行でもありますし、興味のあるものに心が惹かれるのを押しとどめる権利は誰にもないはずです。野球やサッカーに夢中の息子に、母親が「スポーツもいいけど、勉強もしなさい」と叱るのは、スポーツは一時的なものだが、勉強しておくことは一生ついて回ることだという思いがあるからです。それでもついつい面白いほうに心が向いてしまうのは、大人だって、誰だってみんな経験してきたことです。もしかしたら、自分がやらなかったから後で後悔し、その過ちを繰り返すと損をするぞ、と言っているのかも知れません。

 好奇心を持つというのは、幼子がそうであるように、べつだん難しいことではないのです。「どうしてだろう」「なぜだろう」と問いつづければいいだけですから。答えはすぐにはなくていいのです。質問を発すれば、いつか答えが見つかるものです。誰かに尋ねるチャンスもあるでしょう。

 机の前ではなくても、歩きながら、電車の中でも、車を運転しても、「何故だろう」を思いつくことはできます。試みに、家を出て、学校に着くまで、目をきょろきょろさせながら、「何故だろう」を言いつづけてごらんなさい。建築現場では、何が建つのだろう、駅の自動改札装置はどういう仕組みになっているのだろう、電車には中吊り広告がいっぱいあるから大変。商店街を歩いていて閉めてしまった店があれば、前は何の店だったのだろう、新しい道路の舗装が以前のものと違っていたら、どうしてだろう、と考える。

 先生の講義でも「何故だろう」をノートに思いつくまま書く。質問しなくてもいい。先生から「質問はありませんか」と言われてから、質問を考えるのとでは大きな違いがあります。

 自分の趣味や特定のことだけでなく、目に入るもの、耳にすること何でも「どうしだろう」「何故だろう」と自問自答する習慣を身につけておけば、ビジネスライフに入ってから最高の強みになります。これは間違いありません。ただ「どうしてだろう」と思うだけなのだから簡単でしょう。勉強するという面倒もないし、いつどこでもだれでもできます。

 どうして「この何故だろう」という疑問を持つことが効果を発揮するのか。疑問は「問題」となり、問題が情報を呼び集め、そしてその解答が新しい創造を生むことがあるからです。これについては次回に話しましょう。


■平田周 氏プロフィール
平田周氏 三田教育研究所首席研究員
どうしたら若い人たちの知力、思考力、英語力を高めることができるかを研究しています。大企業、外資系企業、中小企業などでの勤務、ベンチャーの立ち上げ、大学で教鞭など、さまざまな体験をしてきました。元東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科客員教授。専攻:国際情報論。

 
 

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