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eラーニングマガジン編集部
elmag2@nextet.net
編集部
:
中小企業で成功例はありますか。
岡本英二氏
:
名前は明かせませんが、社長のご理解があり成功した事例があります。社員数でいくと、80名ぐらいの企業です。IT系で、社長が交代して、社員のカウンセリングと上司の教育を行うということになりました。結果、コミュニケーションの活性化が非常に良くなった。社長の顔が見える人数なので、社長が「やろう!」となっただけで、みんなそうか!そうか!となり、カウンセリングを楽しく受けてもらっている状況です。家族のこととか、親戚の子のことでもいいですか?とか相談を受けていますね。
編集部
:
それはとても素晴らしいですね。
岡本英二氏
:
ここまでにいくのにとても苦労したんですが、全員受けてもらうと、非常に予防機能が働き始めるのです。
編集部
:
最初困難であるのは、打ち解ける時間がかかるからでしょうか。
岡本英二氏
:
確かにそうですね。でも何も難しく考えることはありません。信頼関係を築くだけのことです。では信頼をどう勝ち取るかですが、私は企業になるべく顔を出すようにしています。簡単なところで言えば、社内報やHPに写真を出してもらったりとか、会社のイベントがあるときは、社員が100人ぐらいは集まるので、30分でいいから、心理学とか面白い話をするんです。出来る限り顔を見せるのですね。すると、「ああ、あのひげのおじさんだな」とかで、その後申しこみが多くなります。そういう働きかけをしないとカウンセリングに来るまでのハードルが高くなってしまうといいますか、電話さえかけづらいというのがあります。
編集部
:
なるほど。
岡本英二氏
:
そして、早めに来訪させることで「予防」につながっていくと。実は、通常の状態に見えて、皆さん一杯いっぱいなんですよ。実際、死ぬという時に電話がかかってきますからね。逆に病院に行ってから相談に来る方も多いです。先に病院で診察を受け薬も飲んでいますという方も今、非常に増えています。
編集部
:
ところで、社長の理解があったというのは、何か理由があるのでしょうか。
岡本英二氏
:
社長が自分の代になってから採用した社員をリストラする羽目になりました。そのときに非常に心を痛められたことで、社員を家族のように大事にしたいと…。せっかく雇ったんだから、辞めさせたくもないしと。
編集部
:
東京の会社ですか。
岡本英二氏
:
そうです。今に始まったわけではないのですが、IT業界は慢性的な人手不足、技術者不足というのがあります。実際、新規に雇うというのは、非常に困難な状況になっています。お金もかかりますし、新卒採用にしてもそのようです。ならば、人財を大事にしていこうと。しかも徹底していこうと。人が育たないと、会社が大きくならないということに気がついたのだと思います。駄目なら切ればいいやとか、切りたくないけど業績が上がらないからしょうがないかで終わらせていたんですね。そこを待てよということで理解があったのだと思います。リーダーが育たないで辞めていく企業というのは結局淘汰されます。
編集部
:
ところで、EAPプログラムがリスクマネジメントにつながる理由を教えてください。
岡本英二氏
:
「予防」ですから、まず単純に生産性の低下を防げるというのがあります。また、辞めていくとき、会社に恨みを持たせないようにカウンセリングをしていくというのもありますので、情報漏えいに役立つという側面もあると思います。実際には自殺者が出た場合などを想定してのシミュレーションも立てます。労災も怖いですからね。
編集部
:
ようするに円満退社になって、けんかしないというか、法廷で争ったりしないということですね。
岡本英二氏
:
基本的には、なぜ内部からの情報漏えいが多いのかというと、報われない気持ちをどこにぶつけるかということなんですよ。怒りとか、恨みとか。負のエネルギーをぶつけたい、相手の鼻を明かしてやりたいと思ったときにする行為の1つなんです。もしくは、お金のためということですね。それが起こったときに、内部から情報漏えいしたりするんです。そこで、まず、その報われない気持ちを聞いてやると軽くなる。どうできるものでもないけれど、聞いて欲しい、理解して欲しい、というのがありますから、聞くだけでも相当のリスクマネジメントになりますね。
編集部
:
なるほど。「聞く」という姿勢が大事なのですね。
岡本英二氏
:
さっきの出退勤もそうなんですが、どこでも勤怠はとっているじゃないですか。とっているけれど、言ってしまうととっているだけじゃないですか。そして、休んだ分給与から引きますよとか…。そういうふうに見るものではなくて、どこに1番サインが表れているかというと、勤怠なんですよ。勤怠にこのようなサインが現れ始めたら、やばいなと見るんです。実際、生産性は低下し始めていますから。こうなる前に手を打たないといけません。ところが、1回休んで元気になって出てきたと思ったら、また休んじゃったとか……。というところまでみんな引っ張っちゃうんですね。上司も、「予防」の対応をせず、ごく普通の対応をしてしまって。
編集部
:
非常によくないパターンですね。
岡本英二氏
:
乱れた勤怠が3日ぐらい続いたら、上司が必ずチェックしておくようにとか、そういうことを仕組み化していくことで早めに手が打てるようになります。
編集部
:
勤怠の他に気をつけるポイントはありますか。顔色とかいろいろあると思うんですけど。
岡本英二氏
:
残業ですね。残業が80時間、100時間が当たり前、それが2ヶ月、3ヶ月続いたりすると、一応休みをとらせたりとか、状況聞いておかないと、大変なことになる可能性が高い。本人も気づかずに疲れているだけだと思っている場合がありますから。また、職務の性質も考慮する必要があります。営業成績上がってないとやばいなとか、あと顔色とか普段の中のちょっとした挙動不信行為についてのセンシティブな気づきですから。こういうのは普段気にかけてないとわからないです。信頼関係も関わってきますよ。信頼関係は要です。
つづく
■岡本 英二氏プロフィール
昭和37生まれ。ビジネスカウンセリング協会(BCA)会長、そったく塾代表。歯科医院、不動産会社、保険会社、流通、開発、通信、コンサルタントなどさまざまな仕事を経てプロカウンセラーになる。幅広く豊富な経験を生かし、「カウンセリング」と「体験ワーク」を上手く取り入れた企業研修が好評。日本企業に合った従業員支援を提唱し、総合的な生産性の向上をサポートする。経営者や社員の心の病を治すだけでなく、予防医学の見地に立ったリスクマネジメント的な効果を狙った研修も注目を浴びている。とくにIT業界やセールス、接客、サービスや現場でのコミュニケーションを必要とする業種での人気が高い。同時にビジネスカウンセリング協会を通し、さまざまな癒しを企業に提供している。また、主婦などを中心とした女性向、個人向けセミナーも積極的に行っている。【研修実績】松山大学/高知大学/ダイキ株式会社/JPSA(日本パーソナルコンピューターソフトウェア協会)/株式会社クイック/ニスコム株式会社/東京応化工業株式会社/マイウェイ技研株式会社/日興コーディアル証券株式会社/久光製薬株式会社/テプコワーク&キャリアスクール/その他
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