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では、感動を産出す思考方法とはどのようなものでしょうか? 私はそれを「インサイト・アウト思考」と定義したいと思います。つまり、マーケット・イン的な既存ニーズ調査をベースとして考える思考やプロダクト・アウト的な製品・技術を起点とする思考ではなく、ターゲット顧客、社内であれば上司の言葉には表されない本質的なニーズを読み取り(インサイト)、創造的な製品や成果物として新たに具現化(アウト)していく思考方法です。例えば、仕事で言えば、上司の期待を意訳し、上司が想像もしていなかった仕事を創造する思考方法です。ここに上司や顧客の期待への裏切りが発生し、感動が産出されるのです。
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インサイト・アウト思考は、上司や顧客の潜在的ニーズの読み取り、提供側の圧倒的な創造力によるニーズの具現化が特徴です。潜在的ニーズの読み取りには、アンケートなどによる定量調査よりも、現場での行動観察の方が有効です。また、創造力によるニーズの具現化には、ずばり構想力が要求されます。この思考方法で上司からの仕事をこなした時、上司はきっと「思いもよらない成果をあげてくれた!」と感動するはずです。
インサイト・アウト思考の例として最近挙げられる事例は、アップル社のiPodです。従来まではPCの付属品の域を出ていなかったMP3等の新技術を活用した音楽プレーヤーを「音楽とコンピューターとデザインの融合」という独自の世界観を作り出し、多くの女性を取り込み、一気にメジャーにしました。アップル社はターゲットした顧客の潜在ニーズを読み取り、新しい世界観を作り出し、消費者を啓蒙したのです。このような世界観や製品は従来の顧客にいくら聞いても有効なアイデアは出てこないものです。消費者はあくまで自分が見聞きしていること以上のものは分からないからです。
今回は、「上司や顧客を感動させる思考のコツ」ついて説明してきましたが、以下に実際の思考の流れをまとめてみます。「潜在ニーズの読み取り」と「創造力の発揮」は多分にセンスに依存してしまうものですので、日ごろから感性と創造性を磨いておくことが重要です。
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【思考の流れ】
(1)情報収集 |
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潜在ニーズの読み取りを主眼にした上司・顧客の期待の把握 |
(2)整理・分析 |
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上司・顧客の言葉の裏にある潜在ニーズの整理・分析 |
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顕在ニーズ(言葉)が産出されている背景を深く洞察することが潜在ニーズの本質追求のコツ |
(3)統合・解決策の導出 |
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把握した潜在ニーズを「斬新に具現化」するコンセプト(仕事で言えば成果物)の企画 |
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現在保有している仕事力(知識・技術・経験)を駆使したコンセプト具体案の作成 |
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■小泉 雅史(Masafumi Koizumi)氏プロフィール |
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カリフォルニア大学アーバイン校 経営大学院卒業(MBA)
ブランドハンドバッグメーカーにおける商品開発・営業を経て、日本IBMに入社。ビジネスイノベーションサービス(現 IBM ビジネスコンサルティング サービス)戦略グループに在籍し、大手企業を中心としたさまざまな戦略・業務・システム関連のコンサルティングに従事。
その後、大手化粧品メーカー経営戦略室にて全社成長戦略の策定等を手がけ、
現在は、ベンチャー企業の取締役及び経営コンサルタントとして活躍中。 | |
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