グローバル化が叫ばれて久しいのですが、「自分たち」の言葉や「日本流」方法論を探すのに時間をかけている間に、グローバル市場における優秀な人材の確保の困難や、いわゆる「現地」でのリーダー育成の困難に直面している企業も多いようです。その原因として「不明確なパフォーマンス指標」「不明確なキャリアパス」「日本企業で働くことでのグローバル人材としての価値への疑問」などが挙げられています。昨年話題になった「成果主義失敗論」にもあったように、形式だけのさまざまな制度の取り入れだけでは実際には機能しないということが、グローバルマネジメントにも反映されているということではないでしょうか。「コンピテンシー」の見直しをしている企業や、「行動指標」のより具体的な提示を再度始めている企業が多いのは、「形式」から「実践」に向けての取り組みが改めて始まったということなのかもしれません。
では、人材開発におけるグローバルなトレンドは何でしょうか? また、人材開発における共通言語としてのコンピテンシーは何でしょうか?
人材マネジメントの規模が広がれば広がるほど、それに関わるデータ管理や、「組織と個人」の行動指標の整合性を示すためのプロセスが肥大化、複雑化していきます。そんな中で、ビジネスの拡大傾向にあるのがいわゆる"BP"(Business
Process Outsourcing)といわれる、ITのメリットを活かしたサービスの拡大です。カスタマーケアや購買・人事給与関連サービスの部分だけではなく、トータルなHuman
Capital Management(HCM)のIT導入の拡大が欧米の企業を中心に急速に拡大しており、日本でのビジネス拡大傾向が予測されています。
http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20040908Apr.html
実際、「研修」の多くの部分は、今までもアウトソースされてきたわけですが(eラーニングマガジン2005年2月号「eラーニング導入のアプローチ インストラクショナル
デザインが必要なとき」の「■日本国内におけるeラーニングの普及と現状」参照)、HCMのプロセスそのものをアウトソースするためには、発注者側の企業にしっかりとした「戦略」がなければアウトソーシングの価値を引き出すことはできません(JMAM「人材教育」2005年2月号「企業変革を促進するBP人事サービスのアウトソーシングを考える」<慶応大学総合政策学部
花田光世教授>参照)。HCMプロセスの中における人材開発の役割を、より明確にしていく必要があります。
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