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日経ITプロ 田口氏
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2002年12月に経済産業省がITスキルスタンダードを公表してから、日経ITプロフェッショナルではそれに関連する動向を追っている。当初はITSSに対して批判的意見が多数で、国がスキルを定義しても実績重視の現場であるいは実際のビジネスで生かしにくいことや、ITコーディネーター制度と同様に現実の機能性を欠いたまま理論が先行することなどが懸念された。しかしITエンジニアの「質的」高度化が求められる中で、次第にITSSに取り組む企業が急増し、各社それぞれの戦略に組み入れて利用されるようになった。
現在ITSSが抱える主な問題として挙げられることは、
(1)スキル評価の方法が定まっていない、(2)ビジネス形態に即した職種・スキル定義の解釈が困難、(3)IT業界にはITSSに該当しない職種がある −−ということである。
(1)についてはITスキル標準センターで策定する「スキル評価ガイドライン」や、各種ベンダーが提供するスキル診断ツールなどにより解決が期待できる。(2)についてはITSSユーザ協会のワーキンググループでシステム・インテグレータ(SI)、ソフトウェア・ベンダー、ハードウェア・ベンダー、教育ベンダーを対象にした職種・スキル定義の研究・検証がされている。(3)のITSSに該当しない職種への対応策として「組み込みスキル標準」が策定されることが経済産業省より発表されている。
しかし、教育・研修プログラムの充実や大学・学会との協力関係、ユーザの納得する基準として業界で共通利用できるかどうかなど、残されている課題も多い。
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