1.PDCAサイクル
PDCAサイクルは、要するに、プラン・ドゥー・チェック・アクションといわれるマネジメントサイクルのことです。古くからビジネスの基本と言われてきたことが徹底していないのに、BSCを導入すればすべてうまく行くと思ったら、それは大間違いです。もっとも、その社風を変えるために、BSC導入をきっかけにPDCAをきちんと回そうというのであれば、救いはあります。
2.人材開発部門の頑張り
人材開発部門が経営ビジョンや戦略を達成するために必須の人材を計画的に育てられるかという難題は、コンサルタントの我々も、正直、頭を抱えてしまっているというのがホンネです。
GE(General
Electric Company)の前会長ジャック・ウェルチ氏の現役時代、そして現会長ジェフリー・R・イメルト氏が現在、年間の執務時間の多くの時間を従業員教育の最前線で活躍しているとのことです。トップ自身が最前線に立って従業員教育を担当しているような企業が”強い”ことの実例と言ったらよいでしょう。こうした企業の場合は例外的ですが、従業員教育が重要だと言っているとしていても、ほとんどの企業の場合、トップがその執務時間のうち、1/20も教育の現場に直接タッチしていないでしょう。
GEなどの場合、トップが年間執務時間のうち、恐らく1/3、どのように少なく見積もっても1/5以上は従業員教育に直接タッチしていると推察できます(複数の書籍や情報からACで独自に推察)。企業内ユニバーシティーなどを通じた教育です。
もし経営トップがそれをできないのであれば、トップから委任を受けた人材開発部門が、必死になって経営ビジョンや戦略を実行する人材開発をやっているかが成否のポイントとなります。
BSCの形を描くことは比較的たやすい作業です。苦労している方々からはお叱りを受けるかもしれませんが、その後の活用段階に比べるとBSCのシステム構築はそれでも”比較的”たやすいのです。欧米でもBSC構築をして、成功している企業と失敗してやめてしまった企業を分析すると、最後は人材開発がうまくされていたかどうかに行き着きます。つまり、BSCというのは、経営ビジョンや戦略を達成するための手段です。それを使いこなして達成する人材が育っていないと、絵に描いた餅になってしまうのです。つまり、BSCの4つの視点の内、スタートは学習と成長の視点であるということの深い意味はここにあったのです。
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