米国のeラーニング普及団体であるASTD(American Society for Training
& Development)のボード・メンバーを務めるケビン・オークス氏は、米国でeラーニングが着実に普及しており、企業内研修に対する総投資額のなかでeラーニングへの投資が占める割合は、1999年は10%強だったが2003年には30%に伸びたことを強調している。
ASTDは1944年に設立、米国企業を中心に世界100カ国以上の研修担当者約7万人が所属している非営利団体。研修担当者向けに書籍の出版や研究会などを展開している。LMSベンダーの米サムトータル・システムズの社長も務めるオークス氏は、ASTDの代表に来年就任することが決定している。
「eラーニングへの投資が増えるのに伴い、研修の対象も広がりつつある。これまでは主に自社の社員向けだったが、最近では顧客や販売代理店に拡大する傾向が強い」とオークス氏は続ける。
オークス氏によれば、米国では主に五つの分野でeラーニングの活用が進んでいる。(1)顧客や販売代理店向けの製品やサービスに関する研修、(2)自社の営業担当者向けの新製品や新サービスに関する研修、(3)全社員向けのコンプライアンス(法令順守)や認定制度に関する研修、(4)新人や管理職向けの研修、(5)システム導入時のユーザー向け研修、である。例えば(2)では教育を実施するまでのスピードが、(3)では同じ教育の繰り返しが求められる。「特にこうした分野でeラーニングは威力を発揮する」(オークス氏)。
「企業がeラーニングを導入する最大の意義は、研修の効果を数値化して把握できること」とオークス氏は強調する。さらに研修を管理するLMSソフトを導入すれば、LMSソフトとERPパッケージを連携させることで、研修の効果をより詳細に測定できるとのこと。営業担当者の場合なら、該当する研修を受講した担当者が、その後にどれだけ販売実績を伸ばすことができたかを測定することで、研修の効果が分かる。「それができれば、研修の効率をより向上することが可能になる」とオークス氏は話す。
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