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特集2 IT人材のヒューマンスキル教育連載 コミュニケーションリスク・マネジメントのススメ(2)


IT教育コンサルタント 芦屋 広太(プロフィール

  あなたやあなたの部下は、客先との数多くの会話中に知らず知らずのうちに状況を不利にする発言や回答をしていないだろうか。自分ではなかなか気づかないコミュニケーション・リスク。これを適切にコントロールする仕組みを作らなくてはならない。

前回は、コミュニケーションリスクとは何か、リスクが顕在化した場合(インシデント発生時)にどういう不具合が発生するかを具体的事例を使って説明した。そこで、第2回目の本稿では、インシデントの発生を抑えたり、インシデントが発生した場合に被害を最小限に抑えるためのコントロールについて説明したい。

●コントロールとは

 コントロールとは、ある目的を達成するため、または好ましい状態を維持するために行う一連の制御を言う。通常、コントロールには組織内で行われるもの(これを内部統制と呼ぶ)と外部から行われるもの(インシデントが、顧客など会社の外に大きな影響を与える場合の監督官庁によるコントロールなど)があるが、コミュニケーションリスクの場合はインシデント発生時の損害が、ある組織内に限られるため、基本的には内部統制が対象になる。したがって、ここでのコントロールとは組織内部の内部統制のことだと理解してほしい。

 具体的に説明しよう。たとえば、「顧客との要件提示会議内容」について言えば、議事録を残さないことは論外(コントロール以前の問題)だが、たとえ議事録を残すルールになっていても、記録者が書き、そのままファイルしておくだけではコントロールできているとは言えない。顧客の発言やSEの回答に非常にリスキーな内容が含まれていることをチェックできないからだ。この結果、後で「言った、言わない」の泥沼論争になる可能性もある。

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 そこで、このような人がチェックし、顧客にも確認させ、確証をもらうのが一般的である。一般的に、双方の確証がない文書に記載され議事録は責任者を含めた複数ていない内容は効力を持たないため、こういう手続きにしているのである。ここまで実施して始めてコントロールである。

 しかし、このようなことは「やって当たりまえ」のレベルであり、まだまだ甘いというのが筆者の考えである。本当にコミュニケーションリスクをコントロールしたいなら、いろいろなケースを想定し、さまざまな工夫をしなければならない
●コントロールの機能

 コントロールには、(1)インシデントを予防する機能(2)インシデント発生を速やかに検知する機能(3)原状回復させる機能がある。

 (1)については、不用意な発言をしない、応酬話法を使えるようにするという教育やそもそも、不用意な発言を行いそうな人間を顧客と「会話させない」などの方法がある。また、(2)については、重要な会議にインシデントを検知できるスキルをもった人材を必ず参加させるような運営面の方法が考えられる。しかし、全ての会議に参加できない場合もある。この場合は、議事録をチェックしたり、会議の発言内容を録音し、それを速やかにチェックするなどの方法がある。

 この結果、問題になりそうなことがあれば、責任者が速やかに先方と話合い、発言自体を取り消したり、他の内容に置き換えることが必要である。これが(3)に該当する。

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