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第八回:これからのマネージャーはプロデュース力を磨け |
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■前書き
コンサルタントはよく「企業の変革者」と言われます。迅速に経営上の問題を洗い出し、深く分析し、トップにプレゼンする――。なぜ彼らがさまざまな問題に果敢に取り組み、短期間でクライアントを納得させる解決策を提示できるのか。それは、「視点」と「思考の流れ」にあります。本連載「会社を動かすコンサルタントの思考術」は、仕事上のさまざまな問題をコンサルタントはどのように捉え・考えていくのか、その思考術を解説して、読者が「会社を動かす変革者」になるためのスキルを効率的に身に付けられるようにしていきます。
■業務上の問題例
全国のお取り寄せグルメサイトを運営するC社。最近新たな顧客接点として店舗販売をスタートさせました。ネット販売だけではなく、実際に店頭で体験できる「場」を作ることで、既存会員顧客の利便性向上や更なる新規顧客開拓を狙った戦略です。
複数チャネルを融合させた効率的な販売の実施に向けて新たに「プロモーション企画部」も新設されました。そしてM部長が就任しました。M部長は早速お歳暮シーズンに向けたマルチチャネル販促プランの企画に着手し始めました。実際に考え始めるとさまざまなアイデアが湧いてきました。「既存のサイト会員3万人に一律同じプロモーションでよいのだろうか。むしろそれぞれの顧客層別に販促対象商品を詳細に変化させ、ネットチャネルとリアル店舗への誘導を最適に連携させるべきではないか……」さらに、「携帯を駆使したプロモーションシステムをASPサービスで提供している会社を絡めれば、面白いプロモーションが実施できるはずだ。」――さまざまな選択肢が浮かんできます。
しかしながら、最終的な販促プランに落とし込もうとすると逆に頭が混乱してきました。顧客ニーズに細かく対応すればするほど、運用方法は複雑化していきます。一体どのように販促プランをデザインしていけばよいのでしょうか。M部長は明確な答えを出せずに悩んでいます。
■問題を捉えるコンサルタントの視点
世の中がますます細分化・複雑化しています。成熟した日本市場にはモノがあふれており、顧客ニーズの細分化・専門化が急速に進んでいます。ダイエーに象徴されるマスマーケティングは終焉し、ネット通販を代表とするOne to Oneマーケティングが拡大の一途をたどっています。それに呼応して、企業も「少品種大量生産」から「多品種少量生産」へと移行してきました。さらに現在では商品に付帯する「サービス」が企業間競争の重要なカギとなっています。
今後企業は、ますます細分化・専門化する顧客ニーズを的確に捉え、商品・サービスを最適に組み合わせ、迅速に提供する能力が要求されます。ネット技術に代表される「ITインフラ」は、このような要求をさらに加速させました。
「業務上の問題例」にもあるとおり、例えばプロモーションにおいても、顧客セグメント別のリアルチャネルとネットチャネルの最適融合手法の模索、あるいはポイントカードや電子マネー決済機能などIT技術を駆使したサービスの最適な取り込み方法など、販売プロセスを如何に組み立てていくかという「コーディネート能力」が重要となっています。このようなビジネスの「複雑化」に対して、企業も「自前主義」から他社との提携や買収を駆使した「アライアンス戦略」で迅速な顧客ニーズ対応を実現しています。結果、企業の「脱総合化」が進み、「専業」への事業の「選択と集中」が加速しました。
現在では各社が自社の「コア業務機能」に資源を集中する戦略が主流となっています。それに伴い企業の「ノンコア業務機能の外注化」、つまりアウトソーシングが進展しました。従来主流であった人事やシステム開発業務のアウトソースだけではなく、最近では営業やコールセンター、プロモーション業務なども多く外注化されています。究極的には「経営戦略業務以外は全てアウトソースが可能」とも言われるとおり、今後ますます会社の業務機能分化・外部化が進展していくでしょう。
そのような状況の中、企業のマネージャーに求められる能力は、ずばり「企画・コーディネート力」です。顧客ニーズに応じて業務を最適設計し、社内・外の専門機能を統合していく力、別の言い方をすれば、複雑化した商品・サービス、それらを生み出す業務機能を最適に編集する「バリューパッケージング力」なのです。
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