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第四回:あなたも会社も、すべての成長の原点はマーケティングマインドにある |
コンサルタントはよく「企業の変革者」と言われます。迅速に経営上の問題を洗い出し、深く分析し、トップにプレゼンする――。なぜ彼らがさまざまな問題に果敢に取り組み、短期間でクライアントを納得させる解決策を提示できるのか。それは、「視点」と「思考の流れ」にあります。本連載「会社を動かすコンサルタントの思考術」は、仕事上のさまざまな問題をコンサルタントはどのように捉え・考えていくのか、その思考術を解説して、読者が「会社を動かす変革者」になるためのスキルを効率的に身に付けられるようにしていきます。
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■業務上の問題例
前回も登場したITサービス企業に勤めるMさん、今年33歳になるシステムエンジニアである。今後どのようなキャリアを積んでいくべきか、キャリアプランについて悩んでいたMさんだったが、前回の連載記事を読んでキャリアビジョン創造の重要性を理解し、自身の会社においての存在意義について深く考え始めていた。自分の得意技は何か、会社のビジョン・戦略との接点はどこにあるのか。これが分かれば明確なキャリアのビジョンも描けるはずである。
そんな矢先、社長から「より一層の顧客志向経営を目指す」という経営方針が表明された。Mさんは顧客志向経営というキーワードを自身のキャリアビジョンにも取り入れたいと考えた。しかしながらそのためには、顧客志向という言葉の真意をしっかりと理解する必要があった。顧客志向とは一体どのような考え方を意味するのだろうか。なぜ社長は顧客志向経営を強化しようと考えたのだろう。Mさんはより的確なキャリアビジョンを設定するためにも会社の方針について深く考えようとした。しかしながら、顧客志向の重要性は直感的に分かるのだか、それをうまく整理して理解することができなかった。顧客志向になるといったい会社がどうなるのだろう?
■問題を捉えるコンサルタントの視点
前回の連載では、あなた自身あるいは部門・企業の存在意義の認識、つまり「ビジョン」を創造するための考え方、そしてビジョンを実現するための「戦略」の策定、さらに「実現能力」「リソース」への落とし込みの一連の流れについて説明しました。これは砕いて言うと、ビジョンを設定することで、あなたの理想とする将来像を描き、その実現のための行動を明確にする作業の流れでした。今回は、この「ビジョン創造→戦略策定→実現能力洗い出し→リソース獲得→ビジョン実現への実践活動」という作業の流れをより一層「高品質」にするための思考方法、つまり「マインド」について考えてみたいと思います。高品質にするとは、より良いもの、効果の高いものにするという意味です。
まずはじめに、「高品質のビジョン」とはどのようなものか考えてみましょう。あるいは、どのようなマインドを持つとビジョンを高品質にできるのでしょうか。また、企業や部門、そしてあなた自身のビジョンを設定する上で、どのように「高品質」を目指していけば良いのでしょうか。答えは、「社会・環境・組織への影響レベル」から説明できます。つまり、高品質なビジョンとは簡単に言うと、「世の中のためになる、実現すると周囲に良い影響を与えるビジョン」を指します。社会に、会社に、あなたの周辺に対して、より良い働きをするものです。この「インパクト」が大きい程、つまり「質×範囲」が大きい程、その品質レベルも高いと言えます。例えば、あなたが仕事上で得た知識・経験を単に部下に教えるよりも、全社員に対して講演する、あるいは本として世の中に出版するという目標(ビジョン)を持つ方が品質レベルが断然高いのです。なぜなら、より多くの人があなたの有益な知識・経験を知ることができるからです。当然本を出版するためには、伝達範囲だけではなく、得た知識・経験の質も高くないといけないでしょうから、質×範囲で高品質なレベルが求められます。
高品質なビジョンを実現すると社会や会社、組織に好影響を与えることができます。つまり多くの人から喜ばれます。これは、より多くの人があなたの会社やあなた自身に感謝し、ファンになってくれる状態を意味します。よって、あなたの存在意義を多くの人が理解し、あなた自身も深い充足につつまれるでしょう。人々の感謝は、さまざまなかたちであなたにフィードバックされます。例えば、金銭的にフィードバックされれば、それがあなたの会社の売上や、あなた自身の給料となるでしょう。高品質なビジョンを実現すれば、当然より多くの売上や給料をもたらすことになります。これは物質的な充足と言えます。また、例えばあなたの業績が大変評価され、ノーベル賞の受賞などに結びつけば、それは社会的賞賛であり、名誉的な充足となります。さらにあなたのファンは、あなたに対して好意を持っている人たちです。これらの人々の意識、つまり「ファンであるという気持ち」は、あなたに精神的な充足をもたらします。例えば、応援してくださるファンのためにも一生懸命頑張りたいとコメントするスポーツ選手が良い例です。このような好循環こそ、企業がそしてあなたが周囲から必要とされ、更なる成長と繁栄を遂げるための「成功の仕組み」と言えます。
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