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NET通信 《人材開発・教育戦略メールマガジン》 8月9日号 Vol.047
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立秋とは名ばかり、暑さがつづく毎日ですが、皆様ますますご清栄のことと
お喜び申し上げます。
今回は、人材育成コンサルタント、ビズタレントアカデミー講師の柴原健次
氏による新連載“活かされてこそ価値ある人材育成”からお届けします。
また、芦屋広太の“人を動かす言葉”、君島浩の“君爺の新教育学談義”な
ど好評連載と、小誌編集長によるMr.サイトウ プレゼンツ「ITスキル標準とヒュ
ーマンスキル どっちが大事?」の新連載もお届けいたします。
─[ INDEX ]─────────────────────────────
[1] 【新連載】活かされてこそ価値ある人材育成
第1回 IT活用時代の人材価値評価の必要性
[2] 【連載】芦屋広太の“人を動かす言葉”(22)
[3] 芦屋広太氏主宰「論文塾」、情報処理技術者試験 午後U論述試験突破を
サポートする、通信講座の申込み受付けを開始
[4] 【連載】君爺の新教育学談義(9)
[5] 【新連載】Mr.サイトウ プレゼンツ
「ITスキル標準とヒューマンスキル どっちが大事?」
第一回 スキルの登山地図を片手に
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[1]【新連載】活かされてこそ価値ある人材育成
第1回 IT活用時代の人材価値評価の必要性
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OA化そしてIT化という名のもと、一人1台のPCがネットワークでつながれて
いる環境が標準的になり、サーバーもファイル共有だけでなく、さまざまな情
報をインテリジェントに管理したり活用したりする環境も整備され、さらにイ
ンターネット環境により、さまざまなビジネススタイルが変化し、進化してい
ます。
このように、「IT導入」の時代から「IT活用」の時代に移り、さまざまな経
営課題に対する解決法も多様化し選択肢が増えてきました。同時に、導入をし
たものの、もうすでに陳腐化してしまったものや、実は業務効率化などに寄与
していないIT関連の不良資産も注目されるようになってきました。
しかし、不良資産という意味では、より着目すべきものは“人材”かもしれ
ません。最近では人材は“人財”とも書かれ、企業の財産であると考えられて
いますが、不動産や財宝などと大きく異なる点は、その価値(バリュー)の評
価が難しいところにあります。しかし、企業価値を決める要素は多々あれど、
突き詰めていくと ほとんどのものは、会社を構成する人員つまり社員のバリュー
がその元になっているはずです。たとえば、企業価値に直結するものとして、
製品価値、営業力、マーケティング力などがありますが、これらはすべて“人”
に支えられています。つまり、企業価値は、人財の価値の総和あるいはすべて
を掛け算したものであるとも言えるので、それらの価値評価を積極的に行うべ
きです。
製品力、営業力、マーケティング力を強化したいと考えたとき、技術者や営
業パーソン、マーケターなどの増員を行うことが一般的ですが、本当にほしい
のは、人手ではなくバリューのはずです。人数を増やして売上金額をあげても、
実は効率が悪くなっていて利益率を落としているようでは、必ずしも企業価値
を向上させているとは言えません。
現場で必要とされる機能を洗い出し、現状では足りない機能を補充するとい
う考え方をベースに、現在のバリューを評価し、できれば各人のポテンシャル
(近い将来発揮できるであろう潜在能力)まで含めて評価することが重要でしょ
う。つまり、機能の充足に関しては、現状を一番把握している現場、ポテンシャ
ルを引き出す人材育成部門、明確になった足りない部分を補うための人材採用
部門、これらが一体となってまずは価値評価軸および評価値を共有することが
重要です。もとより、会社と各個人が価値評価を共有することが大切です。
とはいえ、価値評価は簡単なものではありません。まずは、社員の一人ひと
りに自分のバリューというものを意識させ、その個人のバリューがどのように
企業価値に寄与し貢献しているのかを考えさせ、それを共有することが近道で
しょう。また、人も会社も成長し、変革スピードの速いこの時代においては、
常々それらの評価および価値向上の意識を持ち続けることも重要です。
企業価値向上をめざすには、まずは“人財”が不良資産にならぬよう価値評
価を行い、かつ社員自身が自分のバリューの意識と、企業のバリューアップに
貢献する意識を持たせることが必要となるでしょう。
********* [筆者プロフィール] ********
柴原健次 人材育成コンサルタント、ビズタレントアカデミー講師
教育および人材育成の世界に足掛け四半世紀、その間、MCP、MOUS、
セキュリティアドバイザーなどの資格制度立上げを行い、ベンダー資格および
教育制度の礎を築く。現在、IT活用時代における人材育成にフォーカスし、
人材育成コンサルティングとともにビジネススキルに関する講師、執筆監修、
講演活動に注力している。
現在、(株)クリエアナブキ ITビズタレント事業推進部 部長。
ウェブサイト: http://www.crie.co.jp/itbiz/
(連載コラムはウェブサイトでも掲載中)
メール: itbizprog@crie.co.jp
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[2]【連載】芦屋広太の“人を動かす言葉”(22)
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「お前は本当にお人よしだ。失敗したら責任を取らされるのはお前なのがな
ぜ分からないんだ?
いいか、ビジネスでは人を簡単に信じちゃいけないんだよ。一番怖いのは人
なんだ。もっと人の怖さを知れ……。それが人を束ねる第一歩なんだよ。」
●人を束ねるために必要なこと
この言葉は、私がはじめて大規模システム統合プロジェクトのスタッフを担
当したときに上司の野田(仮名)から言われたものです。多少、人に対してネ
ガティブな言葉に思えますが、この言葉にはもっと深い意味がありました。
このプロジェクトのマネージャ(PM)は野田で、私は彼の部下としてスタッ
フを担当しました。プロジェクトスタッフとは、PMの元で手足になり、プロジェ
クトがうまく進むように調整する仕事です。
つまり、プロジェクトが問題なく進めば暇だけれど、進まなかったり、問題
が発生したときは解決に向けて手際よく動かなくてはならないという仕事。解
決できなければ、待っているのは「この仕事に向かない」という評価。シビア
なポジションと言えるでしょう。
それまで、私は7年くらいソフトウェア開発者の立場で、プロジェクトスタッ
フの仕事を見ていました。そのときは「楽な仕事」というイメージがありまし
た。
システムエンジニアでないのでソフトウェア設計・開発は行いませんし、PM
でないのでマネージメント責任もない。単に「PMの補助」という認識だったの
です。しかし、この認識が大きな間違いだと後から気づくことになります。
このプロジェクトは、トップダウンで決まったもので、開発準備期間は1年
しかありませんでした。現場に心の準備ができておらず混乱していました。こ
のような状態だったので、私の最初の仕事は各部門の担当者を確認し、体制を
整理することでした。つまり、プロジェクトで一番重要な、体制図と役割分担
表、作業工程表を作成することでした。
私は、各部門を回って誰が担当するのかを確認していきました。そして、作
業スケジュールも確認しました。これらをドキュメントに整理し、野田に説明
しました。
野田は私に「これでできるんだな」と聞き、私は「各部門ができると言って
いるので、大丈夫だと思う。頑張ると言ってくれているので、頑張るしかない」
と答えました。その瞬間、野田の表情はいつものやさしいものとはまったく別
のものとなっていました。そして、冒頭の内容を厳しい口調で言ったのです。
野田は、今回の仕事で私に期待していたのでしょう。そんな私が責任感のな
い発言をしたのを許せなかったのです。さらに、「人を簡単に信じて自分の運
命をゆだねてはいけない。」――PMとして多くの案件に対処してきた野田は、
私にこれを伝えたかったのです。ずいぶん後になって、野田と飲みながら教え
てもらいました。
――人を束ねるために必要なこと
それは、技術や知識でない、もっと根本的な心構えのようなもの。それを言
葉として、若い世代に伝えていかなくてはならないのです。
※バックナンバーは芦屋氏のブログで他のコンテンツとともにお読みいただ
けます。
http://d.hatena.ne.jp/officearon/
********* 【筆者プロフィール】 **********
芦屋広太(Asiya Kouta)IT教育コンサルタント・システムアナリスト
優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教
育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座・
研修、企業向けコンサルティングに活用している。著書に「SEのためのヒュー
マンスキル入門」(日経BP社)、「Dr.芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」
など。
サイト:http://www.a-ron.net
メール:clinic@a-ron.net
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[3]芦屋広太氏主宰「論文塾」、情報処理技術者試験 午後U論述試験突破を
サポートする、通信講座の申込み受付けを開始
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論文塾(主宰:芦屋広太氏、齋藤健氏)は、2005年秋期の情報処理技術者試
験 午後U論述試験対策の通信講座の申込み受付を開始した。今回の受付けは
「アプリケーションエンジニア」、「プロジェクトマネージャ」、「システム
アナリスト」、「上級システムアドミニストレータ」の4区分。それぞれの区
分に対して、サポート内容別に通信講座と教材が用意される。
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トで指導を継続実施している。多くの受講者を合格させた実績に対し、合格に
必要な水準の正しい指導を実践していると高い評価を得ている。難関である高
度区分の午後U論述試験では、論文の第三者によるチェックが有効で、豊富な
「ノウハウ」がある両講師による指導で、高い効果が期待できるとしている。
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[4]【連載】君爺の新教育学談義(9)
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東京ビッグサイトで行われたe-Learning Worldの展示会を7月21日に視聴し
ました。また、後でウエブに公開された発表スライドを読みました。今年は政
府の5か年計画の締めの年であり、この5年間はeラーニングのブームが始まっ
て終わった期間でもありました。
今年の展示会は寂しくなりました。企業向けのWBT商売が全社員共通科目へ
殺到したために、投資した人件費ほどは儲からなかったからでしょう。学校教
育で成功したのはCBTやWBTではなく、大学の授業での教材のウエブ提供やメー
ルの利用です。研究論文になるような改善ではありませんが、教員や学生に支
持されました。もう一つは語学CBTです。成績が向上するからです。
企業向けで有望なのは全社員共通ではない教材であり、日立造船情報システ
ムの設計ツールCATIA模擬演習WBT教材やインジェクション金型設計CBT教材が
その例です。前者は応用ソフトウエアに付加する商売であり、後者は業務教育
です。日本アウトソーシング社のインストラクショナルデザイナー養成講習会
は、この5年間がISDの啓発に成功した時期だったことの象徴と言えます。もち
ろんISDはeラーニング用の手法ではありません。ISDは教育学術の全体です。
玉川大学と我が母校の東北大学は明暗を分けました。玉川大学が発表したの
は教材のウエブ提供とメールの利用という方式です。東北大学はPowerPointに
ビデオを付加した発表再生WBTの反省談を発表しました。学生市場が縮小する
時に発表再生WBTによる市場拡大策を選んでしまったのです。PowerPointと
Excelは1996年から2000年の5年間に、教育の分野で受け入れられた成功品でし
た。しかし、コンピュータの利用効果を疑う教員もいるのです。
大嶋氏によるeラーニング白書2005/2006の解説は、教育の提供側が全社共
通科目を推進し、従業員側は自社商品理解、品質管理、販売業務、プロジェク
ト管理のような業種・業務の科目を要望していることを立証しました。そのほ
かの調査結果も提供側と受講側のズレを表しています。寺田氏が紹介した英国
の施策は、技術先行ではなく業種・業務のニーズに合わせることを重視してい
ます。
eラーニングが退潮して、人材開発管理の比重が増えました。マツダ、SAP
社、富士ゼロックス総合教育研究所、及び山崎氏の人材開発管理の発表は本社
の発想のようであり、金型設計のような現場の理解を得にくいように感じます。
内田氏、多田氏、及び鈴木先生が発表したISDを踏まえたソリューションを期
待します。マツダはISDや現場ニーズ把握のことを反省点として挙げています。
経済産業省の施策はISD、ITSS、SCORMなどで堅実な成果を挙げました。作業
部会などに民間企業の中堅社員が参加したからでしょう。問題なのは民間企業
側が経産省離れしていないことです。民間企業側は手引書作成などの現場寄り
の活動や応用ソフトウエア系教材などの商売寄りの活動を重視しましょう。
総務省の施策の発表はIT一本槍でした。学者や経営者の意見を聴くことも大
切ですが、行政の生産性向上の元締めとしては、生産管理やISDの専門家の意
見を聴き、人間とITの両方を含む使命再設計に注目したらどうでしょうか。
総務省の施策には厚生労働省なども参画しているそうです。しかし、厚生労
働省は本社系人材開発管理の施策を重視して、企業の現場向きのISDの話題か
ら遠ざかっています。人事院も厚生労働省に近い状態です。企業内教育や官公
庁教育へのISD導入施策が必要だと思います。厚生労働省の厚生部門の方は医
学教育学改革と称して、ISD導入や教育IT化を推進しています。
文部科学省の施策では、教員へのIT研修と一般教室へのPCの導入に苦戦して
いるそうです。司会者の岡本先生が指摘したように、職員室が1人1PCになって
いないのが実は問題です。PC教室は視聴覚教室と同じで、全科目でふんだんに
使うことはできません。職員室や一般教室のIT化が大切です。PC嫌いの教員に
PowerPointやCBTを推奨しても抵抗します。
PC嫌いの教員であっても、具体的なシラバスごとに図表、写真、動画、音、
応用ソフトウエア、ウエブ資料、成績のコンピュータ処理の可能性を相談すれ
ば、乗ってくるかも知れません。もう一つの鍵は学校に許されている著作物の
一時的複製にコンピュータを利用することです。技術から出発するのではなく、
教員の立場へ接近することが大切です。施策の作業部会の人選も鍵の一つだと
思います。
********* [筆者プロフィール] ********
君島浩 防衛庁教育専門官(instructional design specialist)
古参教育デザイナ。防衛庁の民間人材採用第1号。ISD技法の導入に取り組ん
でいる。富士通時代に基本ソフトウエア開発、ソフトウエア工学、ソフトウエ
ア技術者教育を担当した。著書に「新時代の研修技法」(マネジメント社)、
「日本語作文作法」(日科技連)など。
ウェブサイト: http://www2.tokai.or.jp/kimijima/
メール: mailto:mso-ced@ic.jmsdf.go.jp
所属学会:ソフトウエア技術者協会 http://www.sea.jp/SIGEDU/index.html
…………◇ 本連載に関するご意見・ご感想をお寄せください ◇……………
…………………………◇ メール:ed2@nextet.net ◇…………………………
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[5]【新連載】Mr.サイトウ プレゼンツ
「ITスキル標準とヒューマンスキル どっちが大事?」
第一回 スキルの登山地図を片手に
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「ITスキル標準」という言葉をご存じでしょうか。初めて耳にする方も多い
のではないかと思います。
ITスキル標準とは、経済産業省が2002年12月に発表した「各種IT関連サービ
スの提供に必要とされる能力を明確化・体系化した指標であり、産学における
ITサービス・プロフェッショナルの教育・訓練等に有用な「ものさし」(共通
枠組み)」と定義されています。
参考: 「ITスキル標準」(IPAホームページ)http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/index.html
◇ITスキル標準発表の背景
ITはビジネスや家庭の中に浸透し、今や社会になくてはならない技術となっ
ていますが、一方でその業界は多様化、高度化し、大きな流れとしてはIBMの
パソコン事業売却の選択に代表されるように、ものづくりから、サービス産業
を指向する時代へと大きく変貌しつつあります。 IT技術者に求められるスキ
ルもますます多様化、専門化し、かつて身につけた開発手法や言語などの知識
・スキルだけでは、ITビジネスの進展スピードに追いついていけない状況となっ
てきています。
あわせて近年、ビジネスの急速なグローバル化の進展とともに、インド、中
国、ベトナムといった安価なIT技術労働力が、オフショア開発という名の下に
進出し始めています。
我が国のIT産業は、早急に国際競争力をつける必要に迫られており、ITスキ
ル標準は、そんな危機意識から国策としての背景を持って生まれてきました。
ITサービス産業での経営資源は人材が全てです。この人材のスキルをいかに
高め、競争力をつけて企業を発展させていくかが、これからの経営課題となっ
ています。
◇スキルの可視化とITサービス業界の登山地図
私は、もともと教育系の編集畑が長くかれこれ数百冊以上の書籍・コンテン
ツを出版してまいりました(歳がわかりますね)。 10年程前は IT系の出版社
に在籍し、 IT資格教材の編集に携わっておりました。当時は、マイクロソフ
トのMCP資格制度が世に出始めたところで、その後オラクルマスターの教材を
発売し、資格ブームに乗って相当数の販売につながりました。
しかしその後、資格取得だけでなく、ビジネスでの実務スキル、実践力が問
われる本質指向の時代に移り、そこで発表されたITスキル標準の考え方は、ま
さに時宜を得た画期的なフレームワークといえると思います。ITサービス産業
の職種を IT スペシャリスト、カスタマーサービス、セールスなどの11職種38
専門分野に分けて、スキルレベルを7段階に設定したITSSスキルフレームワー
クは、まさに、企業の経営戦略の視点から見ても、またキャリアアップを望む
個人の視点から見ても、必要なスキルをマトリックスとして可視化したITサー
ビス業界全体の登山地図といえるものです。これでIT技術者は迷わず目標とす
る山頂を仰ぎ、目指すことができることになります。
◇ヒューマンスキルの必要性
もう一つ画期的だった点は、 ITスキル標準では、 ITの知識、技術スキルを
問うだけではなく、ビジネスを推進する上で重要なヒューマンスキルも、全て
の職種で「基本スキル」として定義したところにあります。
確かにIT技術だけでは、ビジネス推進はできません。例えばプロジェクトマ
ネジメントという仕事では、IT技術全般の広い知識を持っているとともに、顧
客との信頼感を築く上でも、打ち合わせなどの局面においてコミュニケーショ
ンスキルの発揮が必要です。
また、会社の営業や開発部署とのネゴシエーションスキルや気配り、そして、
仕事をスケジュール通り納品まで責任をもって推進していくリーダーシップも
重要です。これまでの情報処理技術者試験などでは、技術知識の有無が問われ
るだけだったものが、実際の実務の中ではIT知識、スキルとともに、ヒューマ
ンスキルがとても重要であるということに気づいたのです。
次回は、ITスキル標準とヒューマンスキルの関係をさらに考えて行きたいと
思っています。ITスキル標準は、現在 Ver 1.1 であり、まだまだ改善課題を
たくさん含んでいるものでもありますが、これをうまく利用することで、ビジ
ネス全体の動きを俯瞰しながら、自身の最適なキャリアアップや、企業の業績
貢献の両面に役立てることができる、すぐれた指標といえます。
※ 本原稿の初出は DaiJob.com「ITスキルアップ」コラム連載より。
最新号はこちらで
http://www.daijob.com/dj/ja/it_skill/it_human/ithuman001.shtml
********* [筆者プロフィール] ********
斉藤 実(さいとう みのる) ITSS ユーザー協会 スキルアセッサー部会
教育・研修 WG 副主査。 JPC 認定プライバシーコンサルタント。スキル診断
・教育サービスコンサルタント。
哲学教育系雑誌編集長を経て、株式会社アスキー入社。パソコンマニュアル
OEM 編集長、IT系教育メディア編集長、健康系編集長を経て、 1999 年にeラー
ニング、スキル診断専門の教育サービスベンチャーである株式会社ネクストエ
デュケーションシンクを立ち上げる。代表取締役社長。
HP: http://www.nextet.net
Mr. サイトウに、直接お便りしたい方はed2@nextet.netへ!
……………………………………………………………………………………………
配信先変更/部署名・役職名のご変更/お問い合せ/ご意見・ご要望は
(株)ネクストエデュケーションシンク 編集部 E-mail: ed2@nextet.net
にお送りください。配信停止のご希望は、お手数ですがこのメールにタイトル
「配信停止依頼」でご返信ください。
※ 名刺交換をさせていただいた方にもお送りさせていただいております。
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