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NET通信 《人材開発・教育戦略メールマガジン》 6月21日号 Vol.044
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初夏の候、ますますご発展のほどお喜び申し上げます。
今回は、知って得する人材投資促進税制の基礎知識(4)からお送りします。
また、芦屋広太の“人を動かす言葉”、若鍋孝司氏の“『経営課題の解決者』
としての人材開発担当者”、君島浩の“君爺の新教育学談義”など好評連載を
お届けいたします。
─[ INDEX ]─────────────────────────────
[1] 知って得する人材投資促進税制の基礎知識(4)
〜『人材投資促進税制』創設の背景〜
[2] 【連載】芦屋広太の“人を動かす言葉”(19)
[3] 【連載】『経営課題の解決者』としての人材開発担当者(3)
〜外部パートナーを活用する〜 株式会社セルム 若鍋 孝司
[4] 【連載】君爺の新教育学談義(6)
[5] <月間>eラーニングマガジン第39号のお知らせ
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[1] 知って得する人材投資促進税制の基礎知識(4)
〜『人材投資促進税制』創設の背景〜
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『人材投資促進税制』について、第1回では概要を、第2回では“新税制を
有効活用するための4つのポイント”を、第3回では“新税制下でのeラーニ
ングの活用法”についてご紹介しました。今回は、そもそも『人材投資促進税
制』が創設された背景について考察し、何故いま人材育成の重要性が叫ばれて
いるのかを考察したいと思います。
(学)産業能率大学 総合研究所セルフラーニングシステム開発センター 課
長の古川憲一氏によると、『人材投資促進税制』が創設された背景として、次
の5つが挙げられると述べています。
1.バブル崩壊後の経済停滞による企業活動低迷により、企業はリストラを迫
られ、人材への投資が消極的になった。
2.中国の大学・大学院卒業者数、および米国への留学生数は、日本を大きく
上回っている。(高成長を続ける中国と比べ)人材の国際競争力という点で大
幅に劣後しており、極めて深刻な状況。
3.経済のグローバル化、技術・ノウハウの高度化および短サイクル化、熟練
技術者の高齢化の中で、生産性向上・国際競争力の強化を図るには、“匠の技”
を継承させていくとともに、高度な経営・現場管理ノウハウ、専門知識を有す
る人材を戦略的・継続的に育成する必要がある。
4.雇用流動化の進展に伴い、個々の企業にとって、人材投資の成果が企業外
へ流出するリスクが高まっている。
5.企業経営が株主重視にシフトして経営判断が短期的利益優先となり、人材
投資の縮小が続くと、社会全体の人材の質の低下、将来にわたる企業の競争力、
日本経済の成長力が損なわれ、極めて憂慮すべき状況となる。
このような状況から、企業での人材投資の活性化が緊急課題として浮上した
ため、これらを解決する一助として『人材投資促進税制』が創設されたという
ことです。日本の産業全体の成長力や国際競争力を向上させるために、従業員
への人材投資意欲の減退に歯止めをかけ、投資増大に転じさせる有効な制度と
して機能することが大いに期待されます。
参考文献:「企業と人材 VOL.38」,企業内人材育成の活性化を支援する『人材
投資促進税制』制度の概要と活用のポイント(36p),(学)産業能率大学総合
研究所セルフラーニングシステム開発センター課長 古川憲一著
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[2]【連載】芦屋広太の“人を動かす言葉”(19)
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「確かに俺は反対したよ。うまくいく訳がないと思ったからね。でも君は成功
させた。俺が本気で反対したのに……。だからこそ君は素晴らしいと思うんだ
よ。」
●反対を乗り越え成功に導いた者への報酬
人は仕事の中でさまざまな経験を積みます。成功経験もあれば、失敗体験も
あるでしょう。ただ、優秀人材になるためには成功経験ばかりだけでは駄目、
失敗経験だけでも駄目。両方のバランスが必要になってきます。
成功経験ばかり積んでいると、人は次第に思慮が浅くなっていきます。簡単
に考え、手抜きをするようになる。簡単な仕事で成功ばかりしていると、人は
自分の能力が高いと錯覚するようになる。この状況で難しい仕事をさせるとど
うなるか。かなりの確率で大きな失敗をします。私は、そういう人間を多く見
てきました。
手痛い失敗をした人間は、その後失敗を怖がるようになります。失敗しない
ように、新しいこと、経験がないことに手を出さなくなるのです。誰かが「新
しいことをやりたい」と言うと強く反対する。いわゆるメンタルブロック(心
の障壁)が出来上がり、リスクを許容しなくなるのです。
これは非常に問題です。「新しいことにチャレンジしない」「リスクをとら
ない」「現状が一番と考える」……。このような人間の成長はありません。さ
らに、こんな人間ばかりの組織では企業の成長もまたないのです。
だからこそ、チャレンジする人間は素晴らしいと思うのです。リスクをコン
トロールして成功に導く、周囲が反対しても負けない粘り強さを持つ。信念と
情熱をもって新しいことを試す。こういう人間は貴重です。このような人間は
褒めてあげたい。これが私の考えです。
実は、冒頭の言葉は私が部下の野田(仮名)を褒めるのに使った言葉です。
野田は私を含めた経験豊富な管理職達が「絶対成功しない」と反対した案件を
成功させました。私はこれまでの経験、論理的な推理、周囲の協力など、すべ
ての面で成功はないと考えていました。つまり、大いに自信をもって反対した
のです。この判断を今も間違っていたとは思っていません。
しかし、野田は粘り強く調査・分析を重ねながらこの案件に取り組みました。
最初は「どうせ……」と思っていた私たちも次第に野田に情熱を感じるように
なりました。そして最後には"根負け"しました。
こうなると、みんな野田に成功してほしいと思い、誰もが協力するようにな
りました。私もその一人。若い野田には十分なスキルがなく、業務遂行力も高
くありませんでした。野田一人でやっていても成功させることは厳しかったで
しょう。
しかし、野田の頑張りに心を動かされた周囲が野田を助けました。だから成
功したのです。私が「成功しない」と言った理由には、この要素は含まれてい
ませんでした。論理を超えた世界。これが人間の素晴らしいところだと思うの
です。それを演出した野田に、私は最大の敬意を払う必要があったのです。
「反対を乗り越えて成功に導いた人間への報酬」――言葉にはこのような機能
もあるのです。
********* 【筆者プロフィール】 **********
芦屋広太(Asiya Kouta)IT教育コンサルタント・システムアナリスト
優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教
育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座
・研修、企業向けコンサルティングに活用している。著書に「SEのためのヒュー
マンスキル入門」(日経BP社)、「Dr.芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」
など。
サイト:http://www.a-ron.net
ブログ:http://d.hatena.ne.jp/officearon/
メール:clinic@a-ron.net
…………◇ 本連載に関するご意見・ご感想をお寄せください ◇……………
…………………………◇ メール:ed2@nextet.net ◇…………………………
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[3] 【連載】『経営課題の解決者』としての人材開発担当者(3)
〜外部パートナーを活用する〜 株式会社セルム 若鍋 孝司
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前回は経営からのニーズに対し、改めてターゲットとその育成目標を設計す
ることについて触れました。今回は研修を相談する外部パートナー(研修会社)
について考えてみたいと思います。
さて、ある本に、「研修会社を選定する際のポイントは、(1)研修内容、
(2)マテリアル(教材)、(3)講師についての品質を確認することが挙げ
られる。」と記載されていました。本当でしょうか? これは「教育プログラ
ムを選定」するポイントではないでしょうか。
私は研修会社を選ぶポイントは、「本質的な課題を一緒に考えることができ
るか」と言った方が適切だと考えています。
前回考えた「ターゲットと育成目標」は、言い換えると「課題の明確化」で
す。ここは研修設計の肝になるところです。本当に間違いないか、ほかに本質
的課題はないか、深く思考していくため、外部の(第三者の)目で見ることが
できるパートナーと一緒になって課題の整理と仮説構築・検証を進めていくこ
とは極めて有効です。
ある消費財メーカーの主要商品群のマーケティング部でのお話を1つ。
異動により新しく赴任した部長から「タイムマネジメントの研修ができないか」
という相談がありました。新任部長の目には、その部署の業務の進め方が非効
率に感じたようです。
研修担当者は、この時点でいくつかの研修会社に相談をしました。タイムマ
ネジメント研修のパンフレットに囲まれていた中、我々から「本当に課題はタ
イムマネジメントのテクニックの問題でしょうか?」という問いかけを受け、
部長・研修担当・弊社との3者間ブレーンストーミングがセットされました。
ブレストを通じて、「マーケティング部の存在意義・求められている役割が
腹の底から理解しきれていない」ことが本質的な課題ではないか、と見い出さ
れました。現場調査により、これは見事に証明され、その課題をベースに「メ
ンバーの役割・業務内容を考え直すワークショップ」を実施しました。
その結果、現在、その部署では、業務効率のみならず、従業員満足度も向上
しています。
********* 【筆者プロフィール】 **********
株式会社セルム 若鍋 孝司(Koji Wakanabe)
大手食品メーカーでの人事部門にて、採用及び全社研修の企画を担当。
同社営業部門を経て(株)セルムに入社。関西支社立ち上げメンバーとして、
関西大手優良企業10数社の人材育成体系の企画支援、次世代経営幹部研修、
海外現地法人マネージャー研修、全社キャリア研修体系構築、企業DNA浸透
プロジェクト等をプロデュース。現在、マーケティング部門マネジャー。
サイト:http://www.celm.co.jp
メール(お問合わせ):info@celm.co.jp
メール(個人):wakanabe@celm.co.jp
…………◇ 本連載に関するご意見・ご感想をお寄せください ◇……………
…………………………◇ メール:ed2@nextet.net ◇…………………………
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[4]【連載】君爺の新教育学談義(6)
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福知山線の脱線事故がありました。原因はカーブ手前での減速が全く不足し
たのと、カーブでブレーキをかけたことでしょう。この二つをアンド条件でや
る運転士は例外中の例外だと思います。ただしこの際、ダイヤを東京方式に変
えることや企業内教育の見直しをすることは有意義なことです。
JR西日本が安全諮問委員会を設置し、委員の一人に元オリンピックコーチを
選びました。大阪府の教育委員会の委員です。教育委員会は学校教育を担当し
ています。企業内教育の専門家がお役に立てないということは残念です。大阪
府役所には商工労働部能力開発課があり、ここが企業内教育を管轄しています。
ここは審議会を持ち、その委員は労務管理や人事管理の学識経験者のようです。
現代教育学術を修得した企業内教育の学識経験者はかなり存在します。東京
農工大学の森和夫先生、職業能力開発総合大学校の新井吾朗先生、岩手県立大
学の鈴木克明先生、東京大学の中原淳先生、メディア教育開発センターの内田
実先生、NECグループの米島博司氏、原田典昭氏、それから堀内淑子、寺田佳
子、中原孝子という女性陣などです。医療教育分野では東京大学医学教育国際
協力研究センターの大西弘高先生、岐阜大学医学教育開発研究センターの鈴木
康之先生などです。あと防衛庁の不肖わたくし。日本第二の自治体である大阪
府にはどなたかいませんか。少なくともガニエとメイガーの理論を知っている
必要があります。
自動車の運転ではカーブに入ってからブレーキが必要になるような速度で、
カーブに進入するのは危険です。アクション映画では背の高いトレーラーが横
転します。更に、カーブでブレーキをかけると、速度の二乗に比例するエネル
ギーを受け止めることに無理があるので、簡単にスピンします。列車はスピン
ができないので、レールに対して車輪が跳ねて脱線することが推測されます。
テニスの硬球がラケットの芯からずれたために、ラケットがねじれる状態が、
カーブでブレーキをかけた状態に相当します。テニスのラケットは軽いですが、
選手が振り回すと硬球を猛スピードで跳ね返すエネルギーを発生します。空振
りした時がブレーキをかけずにエネルギー発散が進む状態に相当します。硬球
がラケットの芯に当たった時が、直進路でブレーキをかけた状態に相当します。
兵庫県南部地震が発生した時に、建物の倒壊の原因は特別な活断層によるも
のだと当時の地震学者が述べていました。現在では大部分の建物は倒壊しなかっ
たので、弱い建物だけが倒壊したのだ、ということが東京大学生産技術研究所
によって究明されました。米国の同時多発テロの時にはニューヨーク貿易セン
タービルが全階崩壊しました。当時は建築学者が、全階崩壊するはずがなく原
因不明だと述べていました。現在では、大型航空機の衝突で破壊された階が数
階に及んだので、上層階が落下して速度の二乗に比例するエネルギーが発生し
たことが、これも東京大学生産技術研究所によって明らかにされました。福知
山線の事故原因調査にもこの二つの事例と似たことを感じます。
事故直後に遊興をした社員をマスコミが批判して、それに対して私的な行動
まで批判すべきではないと反論するミニコミがありました。行動は、仕事と私
的行動とに二分類するのではなく、仕事、外出、及び自宅に三分類するとよい
でしょう。スーツと普段着の間に外出着があるのに相当します。外出した時に
はそれにふさわしい服装や行動があります。
********* [筆者プロフィール] ********
君島浩 防衛庁教育専門官(instructional design specialist)
古参教育デザイナ。防衛庁の民間人材採用第1号。ISD技法の導入に取り組ん
でいる。富士通時代に基本ソフトウエア開発、ソフトウエア工学、ソフトウエ
ア技術者教育を担当した。著書に「新時代の研修技法」(マネジメント社)、
「日本語作文作法」(日科技連)など。
ウェブサイト: http://www2.tokai.or.jp/kimijima/
メール: mailto:mso-ced@ic.jmsdf.go.jp
所属学会:ソフトウエア技術者協会 http://www.sea.jp/SIGEDU/index.html
…………◇ 本連載に関するご意見・ご感想をお寄せください ◇……………
…………………………◇ メール:ed2@nextet.net ◇…………………………
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[5] <月間>eラーニングマガジン第39号のお知らせ
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現在発行中のeラーニングマガジン第39号では、以下の特集を掲載しています。
▼eラーニングマガジン http://www.nextet.net/e-learning/
【 1 】あなたが変える! “仕事”の意識を変革する連載
会社を動かすコンサルタントの思考術(2)
<経営コンサルタント 小泉 雅史>
好評連載「あなたが変える! 会社を動かすコンサルタント思考術」――第
二回は、「付加価値の高い仕事」をする際のコンサルタントの思考術を解説し
て、読者が「会社を動かす変革者」になるためのスキルを効率的に身に付けら
れるようにします!
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【 2 】NEC、「ITSS:レベル3」スキル取得スローガン提起!
〜NEC パートナービジネス推進本部 山崎氏が語るITSS人材育成戦略の端緒〜
NEC パートナービジネス推進本部(PB推進本部)は、全国のNEC販売特約店
370社に向けて、今春より「ITスキル標準 :レベル3のスキル取得」をスロー
ガンとして提起しました。なぜ「レベル3取得」なのか、そのポイントについ
て、NEC パートナービジネス推進本部 マネージャー 山崎直樹氏に直接お話
を伺います。
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【 3 】より実践力が求められる資格へとリニューアル
「XMLマスター」の新試験が2005年6月1日よりスタート!
時代は本物の実力をもつ人物を求めています。そのような流れのなか、自分
の実力を証明する一手段としてたいへん価値をもつのが資格です。今回は、既
に1万名を超える認定技術者を輩出しているXML技術者認定制度『XMLマスター』
の新試験、「XMLマスター:ベーシック V2」試験および「XMLマスター:プロ
フェッショナル V2」試験をご紹介いたします。
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【 4 】現場の事例で学ぶマネジメント連載
ヒューマン・マネジメントのテクニック(7)
<芦屋 広太>
前回まで、"マネジメントメソッドマトリックス(TM)"を活用したヒューマン
・マネジメントの基礎となる事項を説明してきました。今回からは、マネージャー
に必要な行動についてより詳細な事項を説明していきます。キーワードは「3
つのコントロール」です。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
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(株)ネクストエデュケーションシンク 編集部 E-mail: ed2@nextet.net
にお送りください。配信停止のご希望は、お手数ですがこのメールにタイトル
「配信停止依頼」でご返信ください。
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『NET通信』【編集・発行】
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