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NET通信 《人材開発・教育戦略メールマガジン》 4月5日号 Vol.039
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暖かくなり桜も咲きそろう昨今、花冷えとでも申しましょうか、ときに寒さ
が肌身に感じられることもございます。皆様におかれましては、ますますご清
栄のこととお喜び申し上げます。
今回は、防衛庁教育専門官である君島浩の新連載「君爺の新教育学談義」か
らお届けいたします。また、芦屋広太の好評連載“人を動かす言葉”など、人
材教育に関する話題を多彩な視点からお届けいたします。
─[ INDEX ]─────────────────────────────
[1] 【君島浩の新連載!】君爺の新教育学談義(1)
[2] 情報処理推進機構(IPA) ITスキル標準センター
ITスキル標準と研修ロードマップの活用状況調査結果発表
[3] 【連載】芦屋広太の“人を動かす言葉”(14)
[4] バリュー・チェーン 〜 資格取得と個人の価値 〜
[5] ASTD 2005 International Conference & Expo 参加ツアー募集!
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[1] 【君島浩の新連載!】君爺の新教育学談義(1)
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能力とは何かが、コンピテンシー管理や教育基本法などに関して議論されて
います。岩手県立大学の鈴木克明先生の教育工学講義を受けると、能力とは何
かを懇切に指導されます。ところが日本の伝統的な教育学科の教育原理科目に
は、ブルームの能力分類「認知的領域、情緒的領域、運動領域」、あるいはガ
ニエの能力分類「言語情報、知的技能、認知的方略、態度、運動技能」が登場
しません。
私自身の能力としては「自動車の運転ができる」「今はジャンプ力がないが、
昔はバスケットボールができた」「水泳ができない」「ワイシャツのボタンを
修繕できる」「ビーフストロガノフを作ることができる」「市ケ谷の防衛庁へ
出勤できる」などがあります。最後の文は固有名詞を含む事例(インスタンス)
であり、そのほかの文は一般性のある種類(クラス)です。成績表現を付けた
文と、付けなかった文とがあります。バスケットボールの能力という種類には、
パス能力、ドリブル能力、シュート能力などのやや細かな部分種類が所属しま
す。シュートにはジャンプシュート、ランニングシュート、ドリブルシュート
などがあります。このように能力の本質は成績ではなく、種類や事例なのです。
慶應義塾大学の村井純先生の父君の村井実先生の訳本に「アメリカ教育使節
団報告書」(講談社学術文庫)があります。原著は進駐軍時代の日本の教育に
関する報告書です。能力に関する部分を紹介しましょう。
「教育制度はさらに、学生が、一般教育の基礎を終えて、現代社会の多種多様
な職業−農業、工業、商業、家庭、及び専門的職業−に就くための特別の準備
へと進むに従って、彼等の能力、才能(aptitudes)および興味に適したいろい
ろなタイプ(types)の学校や教育機関を整備する責任がある」
「個人の能力にふさわしい教育機会が、性別、人種、信条、皮膚の色の如何に
かかわらず、すべての人に平等に与えられるべきである」
「肢体不自由児や知恵遅れの子供たちに対しては、それぞれ適当な段階で注意
が払われなければならない」
この本によって能力の三つの解釈が分かります。第一に一番カネがかかるの
は、才能などのタイプ別の科目・学科・学校の品揃えです。第二は性別等の差
別の禁止ですが、これは決心の問題です。第三は学習過程に困難さがある人へ
の配慮です。以上は現状の教育制度において対処され、当たり前になっていま
す。教育基本法に関する論争は、能力の当たり前の意味が定義されていないこ
とによって、余計な混乱を生じていると思います。
コンピテンシー管理がブームになっています。会社や役所が望ましい能力を
定義して、従業員の現状の能力と比較し、従業員にギャップを埋めさせる管理
です。そのための制度や管理ソフトウエアが台頭してきました。教育デザイナ
である私が重視するのはその逆であって、能力定義と雇用者側が提供する教育
機会とのギャップ解消です。日本の会社の平均的な教育予算は人件費の約1.5
%、受講日数は労働日数の約1%です。これでは多種多様な能力に応じる科目
を品揃えするのは難しいでしょう。このブームに便乗して、雇用者側の教育科
目の提供率を評価し、提供率向上を働きかけることをお勧めします。
********* [筆者プロフィール] ********
君島浩 防衛庁教育専門官(instructional design specialist)
古参教育デザイナ。防衛庁の民間人材採用第1号。ISD技法の導入に取り組ん
でいる。富士通時代に基本ソフトウエア開発、ソフトウエア工学、ソフトウエ
ア技術者教育を担当した。著書に「新時代の研修技法」(マネジメント社)、
「日本語作文作法」(日科技連)など。
ウェブサイト: http://www2.tokai.or.jp/kimijima/
メール: mailto:mso-ced@ic.jmsdf.go.jp
所属学会:ソフトウエア技術者協会 http://www.sea.jp/SIGEDU/index.html
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[2] 情報処理推進機構(IPA) ITスキル標準センター
ITスキル標準と研修ロードマップの活用状況調査結果発表
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2005年3月31日、情報処理推進機構(IPA) ITスキル標準センターは、全国
のITサービス事業者とユーザー企業におけるITスキル標準(ITSS)、および研
修ロードマップの認知や普及状況を把握するために、全国的な調査を実施しま
した。調査対象は、全国の従業員30名以上のITサービス事業者、および全国の
従業員850名以上のユーザー企業2,500社で、それぞれ507社、514社、計1,021
社の有効回答を得ています(調査方法は電話調査、調査期間は平成17年2月4
日〜平成17年2月21日)。
総じて、ITスキル標準の認知は広がり、人材育成や教育体系への導入意欲の
強さを伺うことができる調査結果となっています。特に、従業員の数が多けれ
ば多いほどその傾向が強いようです。
調査結果の詳細は、以下URLをご覧ください。
情報処理推進機構(IPA) スキル標準センター
ITスキル標準と研修ロードマップの活用状況調査
http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/activity/activity2.html#enquete
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[3]【連載】芦屋広太の“人を動かす言葉”(14)
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「お前が本当に評価されたいなら、よい方法を教えてやろう。
人に一目置かれるためには“感心させる”ことが必要だ。
相手の期待を上回る仕事をして“感心させる”……
これを心がければ、必ず高く評価されるはずだ」
●他人の期待をよい意味で裏切る
冒頭の言葉は、私にヒューマンスキルの指導をしてくれた上司の西田(仮名)
がよく言っていたことです。非常に価値のある言葉なのですが、最初にこれを
聞いたとき、私にはこの言葉の意味が分かりませんでした。当時の私はまだ若
く、未熟だったということでしょう。
その当時の私は、他人に評価されるには“よい仕事をする”ことが必要と考
えていました。よい仕事とは、上司が指示したことを忠実にこなすことだと考
えていました。上司の指示をよく確認して、上司の意に沿った仕事をする。上
司に意見を言われた場合は、その意見に沿って確実に修正する。これがよい評
価をもらうために必要なことだと信じていたのです。
しかし、それは正しくありませんでした。指示されたことを確実に行うだけ
では褒めてもらえません。こんな部下は普通の部下。一目置かれる存在にはな
りえません。私は西田にこのことを徹底的に教え込まれました。
西田はよく言っていました。
「私がお前に期待していることを実現しても、それは当たり前。私は驚かない
んだ。お前は大勢の部下の1人。普通の部下でしかないんだよ。もし、俺に高
く評価されたいなら、俺を感心させてくれ。感心させるためには、期待をよい
意味で裏切ってほしい」
西田の話は、非常に勉強になりました。私は「ああ、そういうことなんだな」
と気づきを持ったことを覚えています。当たり前の話ですが、他人が期待して
いること以下しかできないのなら、低い評価しかありません。
期待されていることを実現できれば褒められ、よい評価を与えてもらえるこ
とでしょう。しかし、「よくやったね」くらいの気持ちでしかないでしょう。
本当に高く評価されるのは「期待していたことを超える仕事」をしたときな
のです。
人間は、期待している以上のことを提供されると驚きます。この驚きは、感
心、感動に昇華し、「あいつは凄いぞ」という評価に変わるのです。私は今も
この言葉が大好きです。だから、仕事のときに限らず、「他人が自分に何を期
待しているのか」を探り、それを越えるサービスを提供することを心がけてい
るのです。
********* 【筆者プロフィール】 **********
芦屋広太(Asiya Kouta)IT教育コンサルタント・システムアナリスト
優秀IT人材の思考・行動プロセスを心理学から説明した「ヒューマンスキル教
育」をモデル化。日経コンピュータや書籍への発表、学生・社会人向けの講座
・研修、企業向けコンサルティングに活用している。著書に「SEのためのヒュ
ーマンスキル入門」(日経BP社)、「Dr.芦屋のSE診断クリニック(翔泳社)」
など。
サイト:http://www.a-ron.net
ブログ:http://d.hatena.ne.jp/officearon/
メール:clinic@a-ron.net
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[4] バリュー・チェーン 〜 資格取得と個人の価値 〜
G.F.Infinity Inc. 星野 幸代
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ITエンジニアと"資格取得"について話をするとき、必ずその目的について言
及することになります。大概、次のいずれかに収まります。
(1)企業内の昇進・昇格というキャリアパスのため
(2)転職を見据えて、自分の価値を高めるため
しかし、これにピッタリ収まらないと感じる場合があります。
(3)自分のキャリアアップの手かがりとしてまず取得してみる
このやや曖昧ともいえる(3)の場合、企業がその社員に求めているものが
明確ではないために、社員が迷っているケースが多いようです。そこで、その
人の指向を少しでもクリアにすることができないものかと考えていたとき、こ
んな本に出合いました。
『バリュー・プロフィット・チェーン』(ジェームス・L・ヘスケットほか
著)は、ハーバード・ビジネス・スクールのスタッフが書いた本です。組織論
とマーケティング論の領域から開拓されたものですが、こんなメッセージを伝
えています。
- 従業員満足を高めることが顧客満足を高め、利益の向上に結びつく。だから
顧客関係管理(CRM)だけでなく従業員関係管理(ERM)も同様に重要になる
- 顧客の代理人として奉仕することに価値がある。時には、顧客を従業員のよ
うに"解雇"すべき時がある
- 低すぎる離職率はマイナス効果がある
- 利益を増加させるには、すでに満足している顧客をさらに満足させることが
最も効果的で、顧客の満足をまんべんなく高めることに意味はない
読者が、どきっとさせられる言葉がたくさん並んでいます。
ITエンジニアにとっては、サービス・マーケティング分野は、あまり縁がな
いように思えるかもしれません。しかし、深い思考を自然と引き出してくれる
多くの言葉の中から、自分の指向を考えるためのヒントが詰まった面白い内容
だと感じます。
"資格取得"は個人の価値を高める1つの手段といえます。その価値が、企業
に繋がり、また顧客にも繋がっているというふうに考えるとどうでしょうか。
価値を高めた個人は、とても大きな満足感と自信を得られるはずです。そして
その"価値の重み"を考えたとき、個人と企業との関係性が大きく左右するとい
う点も忘れてはいけないと思います。
最近、多くのITエンジニア達から聞く言葉━━「いつかプロジェクト・マネー
ジメントの仕事をやりたいと願っているのです」と、何か深く関わりがあるよ
うな気がします。
(※ 本記事は、G.F.Infinity Inc.(ジー・エフ・インフィニティ)のご協力
により転載しております)
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[5] ASTD 2005 International Conference & Expo 参加ツアー募集!
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「教育プログラム改善・最適化研究会」は、教育研修の品質管理をはじめ、
人材育成部門(HRD)が必要な専門技術、業務プロセスに関する調査研究活動
を昨年より開始いたしました。
当研究会が実施した「教育研修の運営と改善の取組みに関する実態調査」は
国内の人材育成専門雑誌をはじめ、ASTD ROI Networkの会員機関紙にも取りあ
げられ、また、昨年12月にはホテルメトロポリタン(東京都豊島区)で
Conference 2004「HRDのデザインと評価」を開催いたしました。そこでは人事
・人材育成担当者、コンサルタントなどHRDに携わる方々150人あまりが集い、
HRDが経営の戦略パートナーになるために必要な機能や役割を議論いたしまし
た。今回、それら活動の一環として「ASTD 2005 International Conference &
Expo」の参加ツアーを企画いたしました。
当ツアーは研究会が持つネットワークを活用し、大会スピーカーを招いての
ディスカッションやASTD事務局からのプレスリリース内容のご提供など、ほか
のツアーにはないイベントを開催いたします。また、ツアー事務局には中原孝
子氏(インストラクショナルデザインの専門家)を招き、専門的な立場より、
大会参加にあたってのオリエンテーションやラップアップミーティング等も開
催いたします。
その上、近畿日本ツーリスト神田法人旅行支店のご協力を得、お1人当り50
万円を切る価格も実現することができました。
ASTD2005年次大会に私達と一緒に参加しませんか。みなさまのご参加を心よ
りお待ち申し上げております。
◆企画主催:教育プログラム改善・最適化研究会
◆視察団名:Japan ROI Study Group
◆渡航期間:2005年6月3日(金)〜 2005年6月11日(土) 9日間
◆開催会場: 米国フロリダ州オーランド
オレンジ郡コンベンションセンター
◆参加費用:¥493,500/人(税込)
上記参加費用には、ASTD大会参加費用、国際航空運賃、ホテル宿泊費、
ホテルでの交流会費用等が含まれています。
◆募集人員:30名
◆最少催行人員:15名
▼お問合わせは、近畿日本ツーリスト株式会社 神田法人旅行支店「ASTD研究
会ツアー」係まで
http://www.it-park.com/tour/usa/astd.html
担当:森本、小泉
E-mail:knt@it-park.com
TEL:03-3259-4612
(月曜〜金曜 9:15〜18:00)
FAX:03-3259-1222
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(株)ネクストエデュケーションシンク 編集部 E-mail: ed2@nextet.net
にお送りください。配信停止のご希望は、お手数ですがこのメールにタイトル
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