DX検定委員会
【写真左】サービス&サポート本部
DX技術統括部長 兼 アナリティクスセンター長
恩藤 靖様
【写真右】ソリューションビジネス本部
第一ソリューション営業統括部長
大寺 光司様
【写真左】サービス&サポート本部
DX技術統括部長 兼 アナリティクスセンター長
恩藤 靖様
【写真右】ソリューションビジネス本部
第一ソリューション営業統括部長
大寺 光司様
都築電気株式会社様は、1932年に創業。「人と知と技術で、可能性に満ちた“余白”を、ともに。」というパーパスのもと、ICT技術を通して多くのお客さまの企業価値向上・社会課題解決に携わっています。クラウド、AI、IoTなどの先進技術の活用や、サステナブルな社会構築への貢献を通して、社会への価値提供を行っています。今回は、同社が早期から重要視されている「DXの取組み」のなかで、どのように「DX人材育成」を捉え、「DX検定™」の受検をその戦略の中に組み込まれているのか、お話をお伺いしました。
恩藤 靖様:サービス&サポート本部 DX技術統括部長 兼 アナリティクスセンター長
1991年入社。SEとして主に流通業のお客様向けに販売管理システムの導入を実施。2016年より最新技術を追求する部門に異動し、以降はDX系(AI・データ分析)のビジネスを推進。
大寺 光司様:ソリューションビジネス本部 第一ソリューション営業統括部長
1993年入社。入社以来、レジャー・サービス産業のお客様を中心にアプリケーション開発やインフラ構築の営業活動に従事。現在はアミューズメント業界におけるCX(顧客体験)ビジネスに力を注ぐ。
恩藤様
スピーディーに変化を求められ続ける事業環境のなか、色々と当社も変わっていかなければという機運は、DXという言葉が出始めた頃からありました。具体的には2016年頃から、新しい組織を立ち上げて、AIやロボティクス、最新技術を情報収集し、それをビジネスに展開するための、専門の部署が立ち上がりました。
(編集部注:DX(Digital Transformation)という言葉の誕生は2004年。2010年頃より日本でも知られるようになり、2018年12月に経済産業省の施策により一般に普及)
▲出典:都築電気様公式サイト
「DXの取り組み」ページ
恩藤様
SIerの同業他社さんでも、この頃に組織としては立ち上げずとも、ワーキンググループのような形でやられていた、というお話は聞いていました。おっしゃる通り、この当時はまだ「DX」という言葉が一般的ではありませんでしたので当社でも「シンギュラリティグループ」という部署名でした。途中から「DX」のワードが浸透し始めたので、組織名称にもDXがついたような流れとなります。
(編集部注:シンギュラリティとは、AIが人間の知能を超え、急速な技術進化が社会を根本から変える技術的特異点のこと)
▲出典:都築電気様公式サイト 「DXの取り組み」ページ
恩藤様 DXにおけるビジョンを「当社は、お客さまの事業変革・成長と社会課題解決を先導する企業集団「Growth Navigator」を目指す姿として定め、取り組むことを掲げています。」と定めており、「お客さまと社会のDX実現」と「自らの継続したDX化」の両面で取り組んでいます。その中で、今後は生成AIをいかに活用していくかというところがポイントになりそうです。
恩藤様 DXアソシエイト認定というのは、2021年の9月から開始したDXに関する社内認定制度です。「DXに関する基本的な知識とスキルを全社員に持ってもらいたい」ということを目的に、全社員を対象として開始しています。
恩藤様 まずエントリー、つまり申請されると全部で20問の「マインドチェック」に答えてもらいます。自分ができるか、できないかを選択する自己申告のチェックですが、そこで8割以上取れたら、次のステップに進む、という形です。
次に「知識」を判定するんですが、この知識の部分で「DX検定」のスコア600以上を条件としております。
▲出典:都築電気様公式サイト
「組織強化と人材育成」ページ
恩藤様 はい、この「知識」でスコア600以上を取った人が、次の「経験」のステップに進めます。当社としては「経験」をもっとも重要視していて、実際にDXのビジネスを経験したかを簡単な論文形式に記載してもらいます。それを審査員が判定して、合格すると「DXアソシエイト認定者」ということになります。
▲出典:都築電気様公式サイト「組織強化と人材育成」ページ
恩藤様 合格率はかなり低くて、3割ぐらいです。「単純なシステム入れ替えの経験があります」、というものではなく、自分がどう主体的に行動したかというところを重要視して判定しています。この論文については、制度の設立当初は長文で記載してもらっていましたが、記述の形式や、文章量などを色々と試行錯誤して、現在は要点を短くまとめてアウトプットしていく形式に落ち着いています。
恩藤様 そうですね、毎年挑戦しても残念な結果になる方もいます。また、経験に関しては「申請時の過去2年以内に経験したもの」という条件があります。そのため、合格しても2年ごとに更新が必要です。また、DXの取り組みは一度経験すれば良いというものではなく、常に最新のDX活動を行っているかどうかも確認されますので、簡単なことではないと思います。
恩藤様 現在の審査員は私と大寺の他、ネットワーク系のエンジニア、開発系のエンジニアが入って4名体制です。さらに今は生成AIも参加させていまして、4名プラスAIの平均点で、合格を決定するという形にしています。
▲2016年当初から、社内でDXのお取組みをリードされている恩藤様。
恩藤様 認定制度が開始された2021年には、まだDXに関する検定や資格というものは世の中に少なかったのですが、外部のもので客観的、かつ幅広く知識を問えるものを探しまして、こちらの「DX検定」を採用しました。
▲2016年当初から、社内でDXのお取組みをリードされている恩藤様。
恩藤様 ここを通らなければ、経験の論文を書くこともできませんので、必死に取り組んでくれているのだと思います。
大寺様 営業の現場の方で言うと、これをチャンスと捉える方が意外にいた点が嬉しい驚きでした。今までDXや最新の技術、何か変革を求められるような仕事には携わってない方が多かったのですが、やはり世の中が大きく動いている時に、制度をきっかけに、自分もDXに関連する仕事にチャレンジできるんじゃないか、という前向きな思いを持つ方がいたのは非常に良かったなと思います。
部署的にも、職種的にも、なかなか直接携わることは少なかったのですが、新しいことに取組んだという人は少なからずいるということに我々も改めて気づかされました。
大寺様 そうですね。これは年齢も関係なかったですね。若い人のチャレンジが多いかと想定していましたが、50代を超えるベテランの皆さんも色々なチャレンジをしてくれまして、その点は本当に嬉しいところでした。「管理職は全員受検」という目標も掲げていましたが、役員クラス含め、管理職の皆さんに点数の高い方々が多くいます。先日、個人表彰された方も管理職でしたね。
(編集部注:都築電気様の社員の方が、個人として2023年度の同検定において特に優秀な成績(年間上位3位以内)を取得し「DX検定™シリーズ優秀賞」を受賞されました。)
大寺様 立場的にもビジネスの経験が豊富であったり、勉強した経験も多い方々は、興味があることに対して、情報を取りに行ったり、知識を吸収する力が強いのかもしれませんね。
大寺様 当社の前中期経営計画の中に、「DXアソシエイト」の人数を目標にしていまして、各統括部で何人輩出するというKPIを設定しました。そこが社内でも盛り上がった要因かなと思っています。
恩藤様 認定者の中で、若手を中心に1年間ワークショップを実施しましたが、その中で例えば普段は営業の業務をやっているけれども、技術にも深く興味を持って勉強するようになったとか、ワークショップのメンバー間で、部署が異なってもお互いにこまめに情報交換ができるようになった、という話を聞いています。
大寺様 私も2つほどエピソードがあります。1つは今の恩藤の話のワークショップの延長の話なのですが、集まったメンバーで色々情報交換する中で、出てきたものを実際にお客様に提案した、という事例がありました。
要は自分の部署のお客様だけではなく、他のメンバーのお客様でも、このような事が考えられるのではないか、と仮説を立てて検討し、実際にお客様に提案してみたんですね。残念ながら、今のところそれ自体でビジネスが取れたわけではないんですけれども、実際にお客様へのDXのビジネスの提案に挑戦してもらえたのは非常によかったなと思っています。
▲大寺様の統括する第一ソリューション部の担当顧客には、DXを実際にビジネス活用されている企業様が多いとのこと。
大寺様 もう1つのエピソードは、「マインド」も「知識」も合格はできたが、まだ入社2~3年目で経験が何もありません、という方が認定に挑戦してくれました。経験がないなか、論文を書いてきてですね、「こういうことができるんじゃないか」「こういう経験をしてみたい」といった事を書いてくれまして、これには我々もすごく刺激を受けました。先ほども申したように、我々の中では「経験」を一番大事にしてはいますが、「マインド」と「知識」が備わると、「経験」もしたくなり、前向きな行動が実際に起こっている。これがわかってきたことの一つですね。
▲大寺様の統括する第一ソリューション部の担当顧客には、DXを実際にビジネス活用されている企業様が多いとのこと。
恩藤様 認定制度も導入から期間がたっているのもあり、技術部門では結局は「日々の情報収集が一番」という認識があり、「DX検定™」に特化した勉強会の定期的な開催等はしていないですね。技術的な面では、毎日技術情報誌やニュースから広く情報収集している等は聞きますね。また技術系のメンバーは普段、AWSやAzureにも触れてるので、色々なサービスを実務に活かしていることもあります。1回検定を受ければ、かなり広い範囲からの出題であるというのもわかっていますから、日々新しい情報にアンテナをたてていますね。
大寺様 日々の営業活動の中で色々なセミナーを受講したり、お客様の発信されているものを吸収して、というところが一番かとは思います。ただし、技術的な問題は営業メンバーには難しい面もあります。その部分については「とにかくeラーニングを繰り返す」という話は聞きましたね。一部は暗記に近い部分もあるのかもしれないですが、そこから出発して、関連キーワードなどを調べていって身に付けられたら良いのかな、と。私自身もそうですが、受検前になって慌ててeラーニングをやって、わからない言葉を調べ続けたら、いつの間にか身についていた、なんていうエピソードは聞きますね。ビジネストレンドの方は比較的入り込みやすいんですが、技術知識については歯ごたえがありすぎて、一生懸命調べた、といった話もよく聞きますね。
大寺様 元々受検費用は会社が負担していますが、福利厚生制度(カフェテリアプラン)の中で、検定準拠のeラーニングも支援対象に入っていますので、そういったものを活用することで、比較的学習にはアクセスしやすい環境も作ってもらっています。
大寺様 社内の経験をうまく活かして、お客様にDXのリスキリングのサービスを展開しています。(D-VUE® 導入支援サービス「DX人材育成リスキリング」)このサービスの実際の運営や、ファシリテーションは当社のDX推進統括部という専門部署が担っていますが、お客様に最初にアプローチするのは我々営業部門です。「社内でこんな制度があり、こういうふうに僕らも勉強しています」といった内容を、説得力をもってお客様にお話できるのが良いのか、DXリスキリングについて興味を持たれるお客様が増えています。
どこのお客様もよく言われるのが、「勉強はしているが、それが何かのアウトプットにつながらない。結果が見えてこない。やらされ感にはしたくない」という点なんですが、こちらのDXリスキリングのサービスはお客様と伴走したプログラム作りで、「知識を学ぶ」だけではなく、主体的に動かなければいけない、最終的には経営層まで上げられるようなアウトプットを出す、というようなコンセプトになっています。
大寺様 「都築電気は昔ながらのSIerだと思ったけど、こんなこともできるんですね」といった反応をいただくなど、これまでと違った角度で当社を見ていただけていますね。業種を問わず様々なお客さまからお声がけいただいております。
▲出典:都築電気様公式サイト
「D-VUE® 導入支援サービス」DX人材育成リスキリングのサービスページ
大寺様 他社さまにアドバイスですか・・・難しいですね。全社的に、管理職層や若手もベテランも含めて、同じ意識というか、意欲で向かっていかなければ、なかなか成功しないなという気はしています。
我々でいうと、色々発信したり、何かワークグループやワークショップをたくさん立ち上げて、中には失敗したものもいくつかあると思います。そういうことを全社横断的に取り組んでいくうちに、志を同じくする仲間が増えていくとか、意識があってくる、ということが必要なんではないかと。
いきなり「はい、みんなでDX」っていうのは難しくて、我々もこの「DXアソシエイト認定」も含めて、当初は周囲から全面的な協力が得られないこともあったと思います。恩藤やチームをはじめ社内のメンバーが諦めずに頑張ってきた成果が出たものだと思います。1度成果が出ると、その後は加速するとは思うので、地道な努力と、そこからのドライブがうまくかみ合うことが重要なのではないかと思いますね。
▲出典:都築電気様公式サイト 「D-VUE® 導入支援サービス」DX人材育成リスキリングのサービスページ
恩藤様 ぜひ、継続して続けていただきたいと思います。
齊藤様 個人的には少し難易度を下げて欲しいと思わなくもないですが(笑)、営業的な視点ですと、新しい価値やビジネスの事例などもさらに取り入れていただきたいですね。
【編集部より】
早期からDXに取組まれ、「DXアソシエイト認定」制度も5年目を迎えられた都築電気様は、すでに「DXの学習」が日常生活に溶け込まれていて、そこが強みになっていらっしゃると強く感じました。
さらに、「学んだ」「認定された」で終わらせるのではなく、「DXリスキリング」をサービス化、自社のご経験を社会に還元されており、DX人材育成企業として、一歩リードされている印象です。ぜひ今後も、「DX検定™シリーズ企業優秀賞」の受賞を目指していただきたいと思います。