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「グローバル人財」の「人間力」とは
【連載「人間力講座」その5】
「グローバル人財」の「人間力」とは
執筆:ネクストエデュケーションシンク 代表取締役 斉藤 実
いま企業のリーダーに必要な能力として「人間力」が注目されています。
この「人間力」という言葉は、ビジネスシーンだけでなく政治やスポーツ、芸術など、様々な分野でも言われ、「優れたリーダー達が持っている高い人間性からなる能力」という広い意味で使われています。
ここでは、企業の経営者や役員、幹部、事業部長、部長、課長、マネージャという部下をお持ちのリーダーの方々が備えているべき「人間力」にフォーカスしてお話ししたいと思います。
日本企業における「グローバル人財」とは
これまでの連載(その1、その2、その3、その4)で、「人間力」とは、優れたリーダーに備わっているコンピテンシー(成果を上げる行動特性)のセットであることを解明してきました。
単一のコンピテンシーの組み合わせは無限と言っていいほど多様であり、その独自の組み合わせを選択し身に着けてきたのは、まさにその人の資質、性格、価値観、考え方、行動、経験が混然一体となって選択し、創り上げてきた人生そのもの。ビジネスシーンから見れば、それこそがそのリーダー人財が醸し出す「人間力」として、独特の魅力や共感、信頼感となり、人を惹きつけ感動させるものの正体なのです。
また、日本企業は、国内市場の縮小、少子高齢化の時代となり、ビジネスのグローバル化の波の中で、海外展開を含めた事業戦略を迫られています。
グローバルビジネス展開の仕方は、企業戦略毎に様々な形が存在しますが、本稿では、「日本企業が、海外で新事業を起ち上げ、現地の海外人財を採用し、マネジメントを行い、海外人財と協力してビジネスをうまく推進していける日本人社員・リーダー」の方々を、日本企業における「グローバル人財」と想定して、その選抜・育成に必要な「人間力」(コンピテンシーセット)について明らかにしたいと思います。
「グローバル人財」に必要な「人間力」とは
多くの海外進出企業の経営者が、共通して必要性を語っている能力が下記です。
[1]異文化理解力 [2]多様性理解力 [3]コミュニケーション力 [4]柔軟性 [5]英語力 |
テクニカルスキルとしての[5]英語力などはもちろん必要ですが、今回はとくに重要と言われる「人間力」(コンピテンシーセット)に注目してみましょう。
[1]「異文化理解力」とは、異なる文化、価値観を理解できることであり、異なる考えの人々と理解し合えることです。また海外の情報に興味を持ち、海外赴任経験も役立ちます。ここに必要なコンピテンシーは、チャレンジ精神、好奇心、勇気、環境適応力、受容力などです。
[2]「多様性理解力」とは、ダイバシティとも言われ、性別や人種、年齢、性格、価値観などの多様な人材を理解して活用し、マネジメントしてビジネスの生産性を高めることを言います。これには、好奇心、受容力、共感力、社交性、活動性、ストレス耐性などがあげられます。
[3]「コミュニケーション力」とは、言葉によって、相互に意思疎通し、情報を交換し、また感情面も含めて相互理解し信頼関係を築ける対人能力のことです。コミュニケーション力には大きく2つの側面があります。
1)知識・手法・技術としてのコミュニケーションスキル
ここで、必要なコンピテンシーは、社交性、創造性、積極性、論理性、主体性、自信、などです。なお、グローバルコミュニケーションをする際に、日本人にとって苦手とされている要素がアサーション(自己表現)のスキルです。自分の考え、意見を遠慮せずに人前できちんと表現ができることが大事です。海外人材は、その能力をもっていますので、訓練が必要です。
さらに、2)他者の理解、受容、感情の共有を含めて相互理解、信頼関係を築くコミュニケーション力も重要です。
ここでのコンピテンシーは、傾聴力、共感力、受容力、協調性などで、感情面がキーとなります。
[4]柔軟性も重要です。海外では、自分の考えだけに固執する人は活躍が難しいと言えます。国が違えば文化や人の価値観も異なり、やり方、考え方も違い、意見の違いや立場の違いを理解して、受け入れる姿勢が大事です。
その上でやはり、自分の意見の方が相手にとっても、社会的にも正しいと思えれば、また話して改善すればよいことです。これからの時代は、世界の広い視野で自ら考え、新しい変化に柔軟に対応ができることが、自らの成長にも大いに役立ちます。
ここでは、柔軟性のほか、環境適応力、傾聴力、受容力、ポジティブシンキング、好奇心、活動性、チャレンジ精神などが必要です。
ロバート・カッツモデルを応用した「グローバル人財」に必要な「人間力」
最後に、日本企業の「グローバル人財」に必要な「人間力」(コンピテンシーセット)を整理した一覧表をご紹介します。
海外赴任人財の発掘や「グローバル人財」の育成の参考にされてください。
※DX(デジタル)手法で「人間力」の科学的・総合的な可視化が可能な「人間力診断™」については、詳しくはこちらの情報も参考になると思います。
- 著者紹介
斉藤 実 (さいとう みのる)
株式会社ネクストエデュケーションシンク 代表取締役
哲学教育系雑誌編集長を経て、アスキー入社。PC技術マニュアル編集長、教育メディア編集長を経て、科学的な人財育成・DX手法の人財アセスメント開発会社のネクストエデュケーションシンクを起業し、代表取締役。
「本郷人間塾™」理事長。日本イノベーション融合学会専務理事。ITSS認定コンサルタント/能力診断開発コンサルタント/人財育成コンサルタント/認定診断分析マスターアセッサー
<ご参考動画>
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