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大成建設株式会社 様
「背中を見て盗め」から「教え学ぶ組織風土」へ
アセスメントの活用による指標の明確化、能力の見える化と教育の仕組み化で、
個人と組織の成長の最適化・早期化を実現
人材育成プログラム構築支援事例
大成建設株式会社
エンジニアリング本部 プロジェクト管理部 プロジェクト管理室 室長 中田 文夫様
- 主なご利用サービス
- 人間力診断™〈総合コンピテンシー診断〉
- NET*ASK ™〈適性・資質診断〉
-
上記Webアセスメントのご導入に加え
・人材育成プログラム構築支援
・スキル・コンピテンシー定義策定支援
ほか
大成建設株式会社は、日本を代表するスーパーゼネコン。145年を超える長い歴史の中で建築・土木を核とする事業を中心に、革新を続けながら全国各地そして世界中で、「地図に残る仕事。」を手がけられています。
スーパーゼネコンでは唯一の非同族企業として、「自由闊達で常に新しいものに挑戦していく」という社風により、日本の近代化と経済発展に貢献されています。
今回は、同社のエンジニアリング本部 プロジェクト管理部 プロジェクト管理室 室長 中田 文夫様に、同本部の独自に設計された「人材育成プログラム」の概要と、その7年間の成果についてお伺いしました。
- ■profile■
- 中田 文夫様
- 1987年 大成建設株式会社入社。
一貫してエンジニアリング本部にて病院エンジニアリング、生産施設エンジニアリングで企画・計画、設計、施工管理を経験したのち、同本部の管理部門に異動。
2015年より同本部の人材育成を担当。現在220名相当の同本部の人材育成を統括されています。 - (※所属部署、肩書、インタビューの内容等は、取材当時のものです)
上流から下流まで、フルフェーズで一貫した対応が求められる
ー エンジニアリング本部の事業の概要について教えてください。
一般的な建設会社の建築・土木事業の範囲を超え、ゼネコンという枠の中で、国内をメインに医薬品工場や半導体製造施設、物流施設、水族館といった特殊施設におけるプラント(生産設備、物流設備、情報設備等)のコンサルティングから企画・計画、設計、施工、メンテナンスまでをフルフェーズで手掛けている本部です。
専業エンジニアリング会社の事業は、海外をメインに石油化学系や発電系のプラントやODA案件による発展途上国での事業など、大規模で期間が長い仕事が中心となりますので、その点が異なっています。
ー 貴社エンジニアリング本部の特徴について教えていただけますか。
エンジニアリング本部には現在、220名ほどが所属しており、そのほとんどが技術者となります。
建築・土木事業では、「設計」をする人と「施工」する人は別なのですが、エンジニアリング事業の場合、コンサルティング、企画・計画といった上流工程から、施工、運営支援・メンテナンスといった下流の工程に至るまで、全てのフェーズに同じ人が対応することが基本です。
特に大成建設エンジニアリング本部では企画・計画段階から、その施設の目的にあった運用を考え抜く、例えば工場でいえば、ある工程をどの程度自動化するのか、逆にコストを抑えて運用するかなど、施設稼働後の運用までを見通して、どの方法が最適か考え提案するのが特徴です。
コストセンターからプロフィットセンターへ
ー 本部を取り巻くビジネスの環境変化と、人の課題についてどのように認識されていますか。
環境変化について、外部環境は環境問題やエネルギー問題などさまざまありますが、人の課題で言いますと、どちらかというと内部環境の変化が大きいと認識しています。
エンジニアリング本部は今までは販管費の部門でありましたが、これからは利益を生み出す部門、プロフィットセンター化していこうという事もあり、それに向けて取り組み始めています。
販管費の部門であれば、会社の中での限られた役割・機能を果たしていればよかったのですが、プロフィットセンターになると、所属する人に必要な能力も変化してきます。
技術的なソリューションを提供するだけでなく、自分たちでビジネスを創る、仕事を取りにいくという範囲まで変化しなければなりません。
ー そのような背景のなか、「人材育成プログラム」はどのように考えられたのでしょうか。
「人材育成プログラム」の検討は2015年にスタートしました。
我々が直接会話をするお客様は、企業の代表の方、もしくは役員の方などが中心となるため、プロジェクトのリーダーは通常30代後半~40代のメンバーが務めています。
しかしリーマンショックの時期に採用数を絞ったため、数年後には次の世代の中堅リーダーを担う層が足りないことが明らかでした。
よってそのすぐ下の世代を、早期に若手のリーダーとして育成しなければならない、という課題が浮かび上がってきたのです。
ー そもそも本部で人材をいわゆる【一人前】に育てるには時間がかかりそうですね。
おっしゃる通りで、一人前になるのに最低10年はかかると考えています。
前述の通り、打合せをするお客様が生産部門の役員の方や工場長となりますので、それなりの知識や技術を兼ね備えていないとリーダーとしてプロジェクトを率いるのは難しいです。
また上流から下流まで全てのフェーズに関わりますので、習得することは多いですし、それが弊社の売りでもあります。
フルフェーズで対応できる、という必要があるので、他の業界と比べても、育成には非常に時間がかかるという特徴があります。
「人材育成ワーキンググループ」で本当に現場に必要な育成プログラムに練り上げる
ー 「人材育成プログラム」の概要についてご説明いただけますか?
前提として、大成建設の人材育成は、階層別教育は人事部で実施しますが、その他の教育は各本部ごとで実施しています。
2015年より以前には、エンジニアリング本部の人材育成の予算も小さく、またそもそもエンジニアリング本部の能力として何が必要なのかは明確になっていませんでした。
また業界としても「教える」というよりは「先輩の背中を見て盗め」という空気が色濃いということもありました。そこで「人材育成プログラム」を構築し、具体的には以下の施策を実施しました。
■エンジニアリング本部に必要な知識・スキル・コンピ
テンシーを抽出し見える化
■知識・スキル・コンピテンシーそれぞれの教育方法を
設定し体系図として見える化
■1~6年次に教育担当者を配置(原則1対1)
■教育記録書を見直し、教育計画書・記録書の作成(OJT
計画・記録、能力評価含む)
■人材育成プログラムの実施ガイダンス・マニュアル、
個別研修の実施計画書を作成
■エンジニアリング本部の人材育成に関する環境整備
■人材育成推進者向けツールの整備
■Webアセスメントによる定期的な能力の可視化
など
ー 「人材育成プログラム」はどのようなプロセスで構築されたのでしょうか。
まず、中堅リーダー層の中から20名程度を選定し「人材育成ワーキンググループ」を招集しました。メンバーは全員技術者で構成され、人材育成には門外漢でしたので、最初は一人2冊、人材育成に関する書籍を読んでくるところからのスタートでした。
また、本部内のハイパフォーマー30名ほどに、Webアセスメント(ネクストエデュケーションシンク提供の「人間力診断™」「NET*ASK™」)を実施してもらい、またその後に個別のインタビューも行って、エンジニアリング本部に必要なコンピテンシーは何かを洗い出しました。
知識・スキルについては、ワーキングメンバーにて打合せを重ね、エンジニアリング本部に必要な能力を見える化し、人材育成プログラムの詳細を詰めていったのです。
例えば本部に必要なコンピテンシーとして策定されたのが、以下となります。
■プロジェクトマネジメント能力
■コミュニケーションスキル
■マネジメント・リーダーシップ
■人材育成力
■課題設定・解決力
■変革革新(イノベーション)
年度末前に定期的に実施しているWebアセスメントは能力の定量化(見える化)により、成長の度合いがはっきり見え、次年度以降の研修企画や各個人の教育計画に役立てています。
ー 「人材育成プログラム」に含まれる研修はどのように実施していますか。
多様な手法を組み合わせて、「人材育成プログラム」の教育の仕組みを作っています。
例えば、既存ビジネスの知識・スキルは本部内の人材で研修の講師ができます。
また他部署の方に講師をお願いしたり、他部署の研修を受講させてもらったり、場合によっては人材育成ベンダーが提供するeラーニングと紐づけたり、社外の公開講座を利用するなど、フレキシブルに提供しています。
若手リーダーを巻き込み、少しずつ組織風土に変化が
ー 人材育成のプログラムを作る前と後で違いはありますか?
このプログラムを作るにあたり、OJTをする側がOJTのスキルを持っていないという大きな課題もありました。
仕事の頼み方、モチベーションの上げ方、コーチングの仕方など、OJTをする側が学習する機会がありませんでした。ですので、まずはOJTスキルアップの研修を実施しました。
いま1~6年生までは 教育担当者がついて、OJTをしたりコーチングをしたりしています。
ー 6年目まで教育担当者がつくのは、とても手厚いですね。
先程お話した通り、一人前になるのに10年はかかるのですが、「人材育成プログラム」では6年生までに一通りの知識・スキルが学習できるように設計されています。
(コンピテンシーに関しては7年目以降も提示があります。)
ー そのほかに違いを感じる点はありますか。
「背中を見て盗め」という風土はかなり変わってきているのを感じます。
スタート時はワーキングメンバーの中にも、なぜ自分がワーキングに参加するのか?何のために?との反応もありました。自分達も先輩方から丁寧に育てられた覚えはないし、どうすればいいのかわからない。中には、人材育成にいくらお金を使っても、効果は目に見えてすぐ出てくるものではありませんから、本音では必要ないと思っている人もいたでしょう。
ですが、そういう方にも「人材育成ワーキンググループ」に入ってもらったり、OJTスキルアップの研修を受けてもらうことで、少しずつ協力的な雰囲気が醸成されたのか、組織の風土が変わっていきました。
社内では他の部署に比べても研修の数も多くなり、以前から比べるととても多くの研修を提供しています。本部の人材育成の予算も大幅に増えました。人材育成ワーキンググループは3年ほどで解散していますが、その後は管理側メンバー3名で引き継いで運用を続け、組織に根付いてきている状況です。
ー その他、人材育成における変化はありますか?
3~4年前から希望者に手挙げ式で「攻めの研修」を提供し始めています。DX(デジタルトランスフォーメーション)にも関連しますが、DXと言っても我々本部に必要なのは、データサイエンティストや、アナリストになるためのスキルや、ツールを使うための教育研修ではありません。
自分でプログラムを組むわけではなく、我々が世の中にある既存の知識や技術をコーディネートして、カスタマイズして新しいビジネスを創っていく。既存のビジネスもDXも活用して再構築できる能力が必要となります。
よって「攻めの研修」としてマーケティングの基礎、ITトレンド、ビジネストレンド、ビジネスの着眼点、ビジネスモデルキャンパスでビジネスモデルを作っていく研修も提供しています。継続的にITとビジネスのリテラシーを高めていく教育が必要だと考えています。
ー 今後の人材育成についてどのようにお考えですか?
最近は規模の大きなプロジェクト案件が多く、かつ従来の半分ぐらいのスピードを求められることもあり、大型化・複雑化・短期間化といったキーワードの難しい仕事が増えています。
さらに前述の通り、新しいビジネスを考えていく力、ビジネスを創り上げていく力も必要ですし、早期に育成することが必要となります。
そのためには金太郎飴的な標準的な教育から、個別最適化、パーソナライズされた教育を提供していきたいという思いがあります。
今後も、ネクストエデュケーションシンクさんのアセスメントを活用した能力の定量化(見える化)と、個々に必要な教育の提供により、人材育成のPDCAを一気通貫に回していきたいですね。
同時に、受け手の意識も高くならないと、教育も受け取れないとも思います。
なので「(自分の)人生のハンドルを上司や教育担当者に渡すのではなく、自分で握っていてほしい」とよく若手には言っています。
自分で育とうという気持ちがなければ、いくら何をやっても育たない。
自分が何のために貢献するのか、何がやりたいのか。目の前の仕事を120%やりきったら、それが見つかるかもしれません。
そのためには、私の知っていることはいくらでも教えたいですね。
ー 本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
<ご参考> ■「必要な知識・スキル・コンピテンシーを抽出して見える化」「Webアセスメントによる定期的な能力の可視化」にご活用いただいているWebアセスメントは 【総合コンピテンシー診断「人間力診断™」】【適性・資質診断「NET*ASK」】 ■人材育成プログラム構築や、スキル・知識・コンピテンシーの体系化等の人材育成コンサルティングへのご相談も承ります。 |
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