活用事例

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 様

目指すのは、お客様にとって最適のソリューションを
企画・提案・提供ができる人財の育成

DX人財育成事例

キヤノンマーケティングジャパン株式会社
【写真右】MA事業部 デジタルビジネス推進本部 本部長 田中 剛 様 
【写真左】エンタープライズ事業戦略本部、同事業推進部、同事業推進第二課 
課長 岩橋 聡 様

主なご利用サービス
イノベーティブ人財診断™ [個人編][SX]ver2.0 
DX人財育成研修の企画・運営

キヤノンマーケティングジャパン株式会社は、キヤノングループにおける、日本国内のマーケティング活動、ソリューション提案を担われています。現在の社会や市場の急速な変化をビジネスチャンスととらえ、新たに「社会・お客さまの課題をICTと人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ」をビジョンに掲げ、事業領域の拡大と企業価値の向上に取り組まれています。

今回は、同社MA事業部 デジタルビジネス推進本部本部長の、田中 剛様、エンタープライズ事業戦略本部、同事業推進部、同事業推進第二課 課長の岩橋聡様に、「DX人財育成塾」をはじめとしたDX人材育成施策についてお伺いしました。

■profile■
田中 剛様
1987年キヤノンマーケティングジャパン株式会社入社。システムエンジニア、プロジェクトマネージャーを経験したのち、2003年よりソリューションスペシャリストとして金融業界を担当。大手金融機関向けに新規ITシステム、新規クラウドサービスの立ち上げや導入を行う。2019年より現職、大手顧客向けソリューションビジネス拡大を主導。
岩橋 聡様
1990年キヤノンマーケティングジャパン株式会社入社。システムエンジニア、プロジェクトマネージャーを経験したのち、2007年よりソリューションスペシャリストとして金融業界を担当。主に地域金融機関向けに業務システムの提案・導入を行う。2019年より人財開発を担当。

(※所属部署、肩書、インタビューの内容等は、取材当時のものです)

ソリューションスペシャリスト(SS)の役割

ー 田中様の統括されている、MA事業部 デジタルビジネス推進本部とはどのような組織でしょうか

田中様 キヤノンマーケティングジャパン株式会社は、市場やお客さまのニーズにあわせたソリューションを提供するため、B to Bでは大手企業向けと中小・中堅企業向けのビジネスユニットで構成されています。特に、3,000名以上の大手企業を対象とするMA事業部では、金融・製造・流通・公共などの業種別営業本部の他に、ITソリューションの提案をする上で必要な知識やノウハウを持つSSを統括するデジタルビジネス推進本部があります。

SSとは、顧客企業の担当営業と一体となって、お客様の課題解決につながるITソリューションを軸とした企画立案に携わる弊社独自の職種です。トレンドやビジネスの流れを理解し、お客様にとって最適のソリューションを企画・提案・提供ができ、分野ごとに専門的な知識を深堀し、究める必要があり、日々勉強が必要です。

弊社では、チームセリングとして営業(きっかけ作り)、SS(提案及び詳しい説明)、SE(実際に作る)が役割分担をして、案件を進めています。

ー 貴社全体でも、DXに取り組まれていますか。
▲金融業界担当のSSとして活躍され、また金融部門のSSを統括されてきた田中様。2019年よりSS全体を統括するお立場に。

田中様 中期長期におきまして、ITSを成長の中核とし、サービス型事業モデルを拡充していく、そして、ドキュメントソリューションもその一つですが、全社的にITSにシフトしていくという構想があります。

キヤノンMJの役割は、まず複合機やプリンタ、カメラといったキヤノン製品の国内販売が挙げられます。しかし、それだけでは顧客が抱える課題、社会全体の課題を解決するには不十分であり、ここにITソリューションを加えることで課題を解決する力、新しい価値を創出する力が格段に高まると考えています。

目指す方向性をもう少し具体的に申しますと、ITSを成長の中核とする中で、サービスを自分たちで立ち上げ、サービスをお客様に使っていただくことで継続的に安定した収益を上げるというビジネスモデルを追求しています。

サービスをどうやって立ち上げるのかというところは、お客様と一緒に「先進的なサービスを作っていきましょう」というように、懐にどんどん入っていき、お客様ご自身も気づいていないような課題からソリューションを提案し、新しいビジネスサービスを作っていく。さらにグループの中で汎用化し、大企業以外のお客様にも提案できるようにしていきたいと思っています。

ー SSの皆様にはどのような能力が求められるのでしょうか。

田中様 前述しましたが、トレンドやビジネスの流れを理解し、お客様にとって最適のソリューションを企画・提案・提供ができる能力が求められます。

担当している大手企業のお客様自身が先進的でいらっしゃるので、話についていくだけでも難しいということもありますので、日々勉強が必要です。

また営業のスタイルも、変わってきています。かつてのカタログベースの引き合いきっかけの商談ではなく、今は自分たちの仮説をまずお客様に聞いていただいて商談のきっかけにし、そこからの反応から深堀りしていくなどが必要ですので、高いコミュニケーションスキル等も求められます。

「DX人財育成塾」で発想を鍛え、デザイン思考的アプローチで
ソリューションを提案できるように育成

ー どのようにSSの育成を考えていらっしゃいますか?

田中様 基本的には本部独自で研修を内製し、実施しています。成功モデルの共有をするためにも、意識や行動から変えるためにも、身近な上司や同僚が教えるワークショップ型を用いることで、学習からその後に行動に移す流れを、普段の業務でもレビューできるような形で、組織で完結させたかったからです。

また、共通言語として皆が理解することで社内でも話が通じやすくなるため、デザイン思考を中核に勉強しており、こちらは本部内で7~8割は受講済みです。したがって、デザイン思考的なアプローチをしていきましょうという認識はできています。
しかし、テーマから発想を生み、プロトタイピングから検証改善を重ね問題を洗い出す流れの中で、そもそもの“発想”を生み出すための情報をどこからもってきて、どうやったらいいのかという点で壁にぶつかっていました。

ー そこからどのように、今の「DX人財育成塾」を企画されたのでしょうか

田中様 そのような時、住友生命保険相互会社の岸さんのセミナーを聞く機会がありまして、「発想を生む」という部分に興味をもち、「DX人財育成塾」の企画を決めました。

ー ここで「DX人財育成塾」の概要をご紹介いただけますか。

岩橋様 新しいビジネスモデルを創出する手法・プロセスを学ぶことを目的として、グループワーク中心の研修プログラムを企画しました。メインの講師は、ネクストエデュケーションシンク様からご紹介いただき、住友生命相互保険会社の岸様にお願いしました。
対象はSS全員で、1期15名ほどにクラス分けし、以下のようなスケジュールで実施しています。

「研修1」からグループワークで手を動かすことを中心にしており、例えば「世間のビジネスモデル変革事例を学ぶ」という場合も、座学で講義を聞くスタイルではなく、グループで調べ、発表内容をまとめ、それを共有しあうよう工夫しています。

また、一度の研修だけで終わらせてしまうと学んだ事が定着しないので、継続してフォローアップを実施しています。
フォローアップでは、提示された課題に対し、グループで議論した結果を書面で提出し、講師からのフィードバックを受けます。
それを2~3週間ほどの期間の間で改善・ブラッシュアップを行い、発表はZoom等を活用して実施し、あらためてフィードバックを受けるという形式をとっています。

ー 「DX人財育成塾」を実施されてみていかがでしたか。

田中様 今までも勉強はしてきましたが、「Vitality」(注1)で実際にDXビジネスを推進している岸さんに講師をしてもらえ、しかも企業の決裁者でもある岸さんの「ユーザ視点」からフィードバックをもらえたのがとても良かったですね。実際にDXビジネスをされている方からのフィードバックは腹落ち感があるようです。
同じことを上司や社内の人に言われることに比べて、受け取り方が全然ちがうので、外部にお願いして正解だと思っています。
効果も徐々に現れてきており、「やはり勉強しなければいけない」という考えが浸透したように思います。

自社の顧客のさらに先の、個人のお客様が何を求めているか、を理解することは非常に重要なので、普段B to Cビジネスに従事されている、岸さんのお話が為になり、今後も「DX人財育成塾」は定着させていきたいと考えています。

研修の期待値としては期待通り、またはそれ以上です。受講者の反応がポジティブでしたし、メンバーからも良かったという声があります。

ー アンケートにも前向きなコメントが並んでいましたね。
▲ご自身のSSとしてのご経験を人財育成に活かされている岩橋様

岩橋様 アンケ―トのコメントをいくつかご紹介します。
全体的に非常に満足度が高く、例えば「これまでの研修の中で一番有意義でした 。今後の業務や SOL/ ビジネス立案に繋がる」といった声がありました。

また業務に役立つという点では「B2B2Cの目線を取り入れる事でよりお客様に寄り添った提案ができるようになる」「実際お客様にもヒアリングして、新たな発見もありましたし、キヤノンの強みと掛け合わせてどういった提案ができるか再検討する機会となりました」「お客様が向き合う社会課題の解決に貢献する提案を考える部分は、実業務への応用ができそうだと感じた」といった声があがっています。

ー 受講者のメンバーはどのように決定しましたか。

田中様  「イノベーティブ人財診断™」の結果を使ってクラス分けはしましたが、今回の研修はSS全員が対象です。

「イノベーティブ人財診断™」の得点の高い人は、学習機会を与えると更に成長するのか、そうでないのか。診断のスコアとの相関や、診断ではスコアが出ていない層も後伸びするのか、なども気になるところですが、実は私が最も注目しているのは診断レポートで示される「人財像タイプ」です。
イニシエータ、ファインダ、デザイナ、デベロッパ、エグゼキュータの5タイプに分類されていますが、それぞれのタイプのメンバーがビジネスの局面でどのように特性を発揮してくれるのか、それによって組織編成やプロジェクトのチームビルディングに生かしていけるのか、今後に注目しています。

ー 期ごとの特徴はございましたでしょうか。

岩橋様 1期メンバーは既に現場で高いパフォーマンスを発揮しているメンバー中心でしたが、岸さんのような現役のシステム担当部長(研修当時)の方から的確なコメントを直接いただけることが大きな経験になったと思います。
フォローアップを含め、1年半続けていますので、自分たちのやってきたことにプラスして、塾で鍛えた発想方法が定着してきており、実践で使い始めている状態になっています。
2期メンバーは、研修内容を素直に受け止めて実践する事により、お客様のニーズをとらえた発想で提案できるようになってきています。

3期メンバーは、最初のワークショップが終わった段階なので、これからのフォローアップでさらに成長してもらえると考えています。

ー 「DX人財育成塾」を運営して難しかったのはどのような点でしたか。

岩橋様 応用編とフォローアップは、弊社独自の内容で実施しました。しかし、自社向けのテーマ設定に頭を悩ませました。会社の方針や戦略のなかで、普段の案件活動で手が届いていないことをテーマ設定に盛り込みました。自社向けのテーマで検討することによって、メンバーの意識も上がってきました。

ー 研修後の皆様を受け入れる側の、上司の方には何か働きかけましたか?

岩橋様 日頃の活動の中では課長からの指導が重要なので、塾で実施した内容を課長合宿で共有しました。
適切なテーマ設定とフィードバックができれば短時間で新しい発想がでてくるということがわかってきたので、現場で当たり前に実践できるようにしていきたいと考えています。

ー 最後に、視点の変容、価値観の変容がもたらしたものはどのような点でしょうか。

田中様 デザイン思考の活用をベースに活動してきましたが、研修を通じてさらに社会課題や顧客課題を意識した発想力が向上したと思います。これにより本部での「お客様との共創によるDXビジネス」の形が具体的になりました。これからは事業化に向けてどうするのか、といとうところを強化し「サービス型事業モデル」を拡充していくことによって、中期計画におきまして、ITSを成長の中核とし、全社的にITSにシフトしていくという構想も加速するのではないかと思います。

ー 本日はありがとうございました。

※記事内容および、所属・役職等は取材当時(2021年6月)のものです。

(注1)
住友生命「Vitality」は、リスクに「備える」だけでなく「健康増進」を応援し、リスクを「減らす」サポートをする新しい保険です。
従来の生命保険に、Vitality健康プログラムをプラスした保険、それが“住友生命「Vitality」”。「リスクに備え、リスクを減らす」新しい発想の保険です。』

メイン講師の岸様からコメントを頂きました。

住友生命保険相互会社 理事 デジタルオフィサー 岸 和良

キヤノンマーケティングジャパン(CMJ)の田中 本部長に私のバイタリティDX塾の成果に関する講演を聴いて頂いたことがご縁になり、ビジネス発想研修「DX人財育成塾」の講師を担当させて頂いています。

第一期生の研修当初は「すこし発想が固いかな」と思っていましたが、ワークショップを重ねるほどに良い発想ができるようになったと思います。CMJさんのメンバーは真面目で真剣に取り組んで頂ける方が多く、プレゼンして頂いたビジネスモデルに対して厳しめのフィードバックをしても、めげずにしっかり対処して頂けたことが、発想力が向上していった理由だと思っています。

現在、「DX人財育成塾」は3期生まで進んでおり、2期生も含め順調に力をつけて頂いています。このレベルで進むとCMJさんのソリューション提案はかなりハイレベルになると思い、提案を受ける立場の私も楽しみにしているところです。

 

岸様、ありがとうございました。

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